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『M bit LIVE #3』Omoinotake×ASIAN KUNG-FU GENERATION、Spotify O-EAST公演のオフィシャルレポートが到着

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ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

M bit LIVE #3
2025.1.13  Spotify O-EAST

2025年1月13日(月祝)、Spotify O-EASTは2階席の立ち見まで埋まる超満員。この日行われたのは、「生きていく 好きな曲がふえていく」をスローガンに、ひとりひとりの人生に音楽との出会いを届けるプロジェクト「M bit Project」による対バンライブ『M bit LIVE #3』。本シリーズ初のバンド同士の組み合わせとなった今回に登場したのは、2024年にブレイクを果たし、紅白歌合戦への出演も記憶に新しいOmoinotake、そして20年以上の長きに渡りジャパニーズロックの象徴的存在であり続ける、ASIAN KUNG-FU GENERATIONである。

開演時間を迎え、賑やかなホーンのSEが鳴り出すとすぐさまOmoinotakeの面々が登場。そのまま「アイオライト」の演奏をスタートさせる。パーカッションとサックスを加えた5人編成から生み出される音は華やかで人懐っこく、いかにもポップス然とした装いでありながら、途中で差し込まれるジャジーなパートでのリズムやノリの変化など、要求されるスキルはかなり高い。それを難なく息を合わせて弾きこなすパフォーマンスが、彼らが勢いで駆け上がったニューカマーとは一味違う、たしかな経験と技量を持つバンドであることを一発で知らしめる。

Omoinotake

Omoinotake

ギターレスの3ピースバンドであることはOmoinotakeの大きな特徴となっているが、そのライブにミニマルな印象や圧の低さを感じることはほとんどないはず。「トロイメライ」のように藤井怜央(Vo/Key)がハンドマイクで歌う曲では、シンセベースも駆使しながらファンキー&グルーヴィーに攻めるエモアキこと福島智朗のベースと、高次元の正確性と自在にノリを司る柔軟性を併せ持つドラゲこと冨田洋之進のドラムが、リフやバッキングを担う楽器が不在であることを補って余りあるプレイを展開。藤井の伸びやかなハイトーンボイスも実に表情豊かで、哀愁を帯びたメロディラインを持つ「ラストノート」では彼の歌声が宿す翳りが一段とエモーションを増幅させていた。

Omoinotake

Omoinotake

Omoinotake

Omoinotake

Omoinotake

Omoinotake

世代的にもアジカンはどストライクと語る3人だけあって、MCでは対バン実現への喜びが口々に溢れ出す。藤井曰く「ずっとカッコいい背中を見せてもらっている」という憧れと敬意は「ブラックアウト」のカバーという形でも表された。ギターフレーズをピアノに置き換えたアレンジ、淡々としつつもドライヴ感満載の演奏。どちらも素晴らしいクオリティであり、この日に賭ける彼らの思いの丈がありありと窺える仕上がりであった。続いてアジカンファンのボルテージも上がり切ったタイミングで投下されたのは、大ヒット曲「幾億光年」。歌ものポップスとしての高い完成度を見せつける一方で、変則的な展開でビートを変化させながらダイナミックに届けた「蕾」あたりではロックのDNAも色濃く見えてくるのがこのバンドの面白いところ。場内からありったけの手が掲げられた「トニカ」までの全10曲で、新たに彼らに魅了された人も少なくないだろう。

Omoinotake

Omoinotake

後攻はもちろんASIAN KUNG-FU GENERATION。暗転するとSEもなく現れてスタンバイ、まるでセッションでも始めるような何気ない佇まいから流れ出した「Re:Re:」のイントロに場内が大いに沸く。山田貴洋(Ba/Cho)と伊地知潔(Dr)がミニマルなプレイに徹することで喜多建介(Gt/Cho)の奏でるリフやアルペジオが映え、淡々とした音像に彩りとダイナミズムを加える円熟の演奏に唸らされる。フロアからガンガン拳が突き上がり、大音量のコールが送られたのは早くも飛び出した「リライト」。サイケやダブを思わせる例の間奏部分で「どうか自分らしく楽しんで帰ってください」と後藤正文(Vo/Gt)。力感のない振る舞いとは裏腹に、サビではシャウト混じりに迫力の歌声を響かせるのだから堪らない。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

また、厚みのある演奏にゴスペル的なニュアンスも感じるコーラスが乗った「You To You」や「触れたい 確かめたい」など近作からの曲では、ビートや音色の面で実験性や時代性も感じさせつつ、核の部分には一朝一夕では持ち得ないたしかな説得力とあたたかな包容力を備えるのが、今のアジカンであることを知らしめた。同時に、Omoinotakeのみならず、ジャンルを超えて数多の後進バンドに影響を与え続ける存在であることもその音から、佇まいから、ひしひしと伝わってくる。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

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ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

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ASIAN KUNG-FU GENERATION

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《出来れば世界を僕は塗り変えたい/戦争をなくすような大逸れたことじゃない/だけどちょっと それもあるよな》──。「NO WAR」の文字を模ったオブジェをアンプの上に置いた後藤が歌い出したのは、「転がる岩、君に朝が降る」だ。歓喜の熱狂を生むキラーチューン。端正な演奏が続く中で放たれるギターソロがノスタルジーを掻き立てる。ライブが終盤へと向かう中、ごくシンプルなのにあまりに記名性の高いドラムフィルからの4つ打ちビートというイントロで、この日一番の盛り上がりを生んだのは「君という花」。間奏のギターソロ部分では喜多だけでなく山田もステージ前方まで歩み出て喝采を浴びる。そして、Omoinotakeが下積み時代を経て花開いたことを讃え、また一緒にやる時はお互い良い音楽を作ってるって胸を張れるようにしたい、と後藤が語る。さらに「俺たちもまだ『やれるな』って気持ちになったので、よろしくお願いします」との言葉を添え、「出町柳パラレルユニバース」の晴れやかでエネルギッシュな演奏がフロアを幸福感で満たしたのだった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

アンコールを求める手拍子が鳴る中、ステージ上のはドラムセットとベースアンプがもう一基ずつ運び込まれ、やがてアジカンメンバーが登場するとOmoinotakeの3人も呼び込まれた。島根県から良いバンドとハイトーンボーカリストが出てくるのは(名産の)しじみ汁が関係しているのでは?といったリラックスな話題を楽しんだ後、山田が極太のベース音を撒き散らして始まったのは、総勢7名による「遥か彼方」だ。前後に位置したドラマー2名のシンクロ具合や珍しく地声域でシャウト気味に歌う藤井など、賑やかで見どころ盛りだくさんの幕切れとなった。

ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

片やソウルやジャズなど多様な要素を取り入れながら、J POPシーンを駆け上がるギターレスバンド。片やインディロックやオルタナの席をポップシーンに作った先駆けのバンド。歩む道やぱっと見の印象は違っても、バンドに魅入られた者たちの魂は確かに共鳴しあっていた。我々はそこにバンドのロマンを見た。今回もまた音楽の奥深さを示し、「生きていく 好きな曲がふえていく」を体現してくれた『M bit LIVE』の次なる一手にももちろん期待しかない。

ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

ASIAN KUNG-FU GENERATION、Omoinotake

文=風間大洋
撮影=山川 哲矢


本公演から厳選した楽曲で構成するスペシャルな配信が、明日・1月24日(金)18:00よりM bit ProjectのYouTube公式チャンネルにてスタート。1月31日(金)23:59までの期間限定公開となっており、無料で視聴することができる。貴重なコラボレーションをお見逃しなく。

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