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斉藤和義が自ら提案・企画『能登半島復興支援チャリティコンサート』、浜崎貴司と岡村靖幸も駆け付けた貴重な一夜をレポート

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斉藤和義『能登半島復興支援チャリティコンサート~空に星が綺麗プロジェクト~』

斉藤和義『能登半島復興支援チャリティコンサート~空に星が綺麗プロジェクト~』

能登半島復興支援チャリティコンサート~空に星が綺麗プロジェクト~
2025.1.27(Mon)Zepp Haneda

斉藤和義が2025年1月27日(月)東京・Zepp Hanedaにて『能登半島復興支援チャリティコンサート~空に星が綺麗プロジェクト~』を開催した。浜崎貴司、岡村靖幸が告知なしでゲスト登場するなど、満員の観客と共に大盛り上がりとなった。

2024年1月1日に発生した能登半島地震、9月に発生した能登半島集中豪雨のために、いまだ平静な生活が戻らず仮設住宅等での生活を余儀なくされている方々がいる。この日のライブは、そうした状況の中、「何かできることがあれば」と斉藤和義が自ら提案・企画された復興支援のチャリティライブだ。オフィシャルウェブサイトには、「この公演に参加してくださる皆さまと楽しい時間を共有し、それが被災された方々の為となる何かを有意義な形の寄付で残すことが出来るのなら、幸せなことだと思っています。」とメッセージが記されていた。

会場となったZepp Hanedaは1Fスタンディングフロア、2F客席までギッシリとお客さんが詰めかけた。BGMのウッドベースの音に合わせて手拍子が自然発生すると、ほどなくして場内が暗転、拍手と声援に迎えられて斉藤和義(Vo.Gt)、真壁陽平(Gt) 、隅倉弘至(Ba)、玉田豊夢(Dr)の4人がステージに登場した。斉藤がギターをフィードバックさせると、歪んだ低音リフを弾き始めてバンドの音が加わり、「Are you ready?」からライブがスタートした。緊張感のあるラウドなサウンドに乗せて斉藤が《Are you ready? Are you ready?》と繰り返し歌うと、客席からステージに向かって拳が上がる。「Hey!ハネダ!」と煽ると歓声が上がる。《Are you ready? 飛び込め ネットなんかに出てないぜ》《本当に欲しいものは エキサイトする心臓だろ》と歌うパンチラインも熱いオープニングだ。アウトロのバンドのキメに合わせて「Hey! Hey!」と会場中がレスポンスすると、ゴールドトップのレスポールに持ち替えた斉藤が「Hey東京~!」と叫んで「罪な奴」へ。4人のパンキッシュな演奏が爆発的に疾走する。ブルージーなリフからロックンロールリフを弾き出した斉藤は「ようこそ~!」と客席に声をかけながら「ずっと好きだった」を歌い出した。エフェクトのかかったレトロなニュアンスの斉藤のギターの音色、真壁が弾くスライドギターが歌詞にリンクしたノスタルジーを演出する。終盤、「Hey東京ー!」と煽る斉藤と声を合わせて《ずっと好きだったんだぜ》と歌うオーディエンス。甘酸っぱく切ない余韻をかき消すように、「Stick to fun! Tonight!」へと突入すると、真壁の幾何学的なリフ、玉田の重たいドラム、隅倉の太いビートが作り出す混沌としたサウンドの中、斉藤がエモーショナルなソロを弾いた。

「今日はたくさん、ありがとうございます! 能登の震災がありまして、何かやりたいなとずっと思っていたんですけど……とりあえず金を集めたいなと」と照れ隠しのように話す斉藤に笑いと称賛の拍手が向けられる。続いてメンバーを紹介すると、「今日は配信で観てくださっている方も、みなさん思いは一緒で今日こうして集まってくれていると思います」と、会場のみならず配信も行われていることにも触れた。「みんな忙しい中、突然やることになったので、ぶっちゃけリハは1回しかやってません。なので大きな目でひとつ(笑)。楽しませてもらいます!」。

ジャジーに聴かせた「寒い冬だから」では、会場近くの羽田空港にちなんだセリフを入れて笑わせたりと、リラックスした歌で楽しませる。「バンドでやるのは久々」とタイトルを告げた客席が「おおっ」とどよめいたのは「メトロに乗って」。真っすぐなフォークソングに乗せた斉藤の歌声が郷愁を誘い、心に沁みる。真壁と隅倉がいったん下がり、ドラムの玉田と2人で聴かせた「レノンの夢も」では、ジョン・レノンを想起させるギブソンJ-160Eを鳴らしながら無骨に歌い上げる。そこに隅倉のベースが加わって8ビートのシンプルなロックンロール「通りに立てば」、吠えるようなギターを鳴らして始まったワイルドな「FIRE DOG」、ドライブ感たっぷりなガレージロック「マディウォーター」と、3人編成でソリッドなサウンドを聴かせた。

浜崎貴司

浜崎貴司

ギターの真壁が戻り柔らかな音でイントロを弾くと、ステージ上手から浜崎貴司が登場。ドッと沸き立つ客席に向かって歌い出したのは、FLYING KIDSのデビュー曲にして代表曲「幸せであるように」だ。サビでは「みんな一緒に!」と求める浜崎に、オーディエンスも腕を大きく振りながら歌い、斉藤もコーラスを重ねる。会場は一瞬にして多幸感に満たされた。歌い終わると、「和義君がチャリティをやるっていうので、電話しちゃって」と浜崎。斉藤は「今回はゲストを誘うのは無しでいこうって言ってたんだけど(笑)。何か手伝いたい、ということで来てくれました!」と感謝。「おしかけといて言うのもなんだけど、もう1曲やろうよ」との浜崎の言葉を受けて、2人の出身地・宇都宮を歌った共演曲「オリオン通り」へ。シャッフルビートに乗せてハーモニーと口笛でデュエットした。

斉藤和義、浜崎貴司

斉藤和義、浜崎貴司

岡村靖幸、斉藤和義

岡村靖幸、斉藤和義

浜崎がステージを降りると、斉藤がエレキギターを弾きながらバンドはファンキーなセッションを開始。しばらくすると下手袖から岡村靖幸が登場して、「うぉ~!」と怒号のような歓声で沸き立つ場内。黒いスーツに赤いシャツのファッションで、「ハネダ! 準備は出来てるか? いくぞ! 1、2、3、4!」と叫んだ岡村のカウントを合図に、2人のユニット“岡村和義”の「春、白濁」へとなだれ込んだ。岡村が斉藤の肩に手を回しながら、《嗚呼 キミよ 幸せであれ!!》と声を合わせる。斉藤のギターソロの間、岡村はステージ端まで移動してフロアを挑発。スーツをバッとはだけるアクションに「キャ~!」と嬌声が上がるなど、とてつもない盛り上がりとなり、最後は1マイクで歌い上げて曲を終えた。「本当にゲスト無しで、と思っていたんだけど、“どうして誘ってくれないんですか? 寂しいじゃないですか”と言うので、“じゃあ来る?”っていうことで。ありがとうございます」と、浜崎と同じタイミングで声をかけてくれたことを明かす斉藤。また、“岡村和義”のデータのやり取りはしているそうで、今後の活動への意欲をのぞかせた。先ほどとは一転してメロウなバラード「サメと人魚」のデュエットで酔わせると、斉藤が泣きのギターソロでエンディングへと導いて、大喝采の中で岡村はステージを後にした。

大盛り上がりのゲストコーナーが終わるとMCへ。石川県には昔からラジオ局のFM石川にプロモーションやイベントでよく足を運んでおり、親身になってくれたスタッフとも交流していたという斉藤。そんなスタッフの1人に能登出身の女性ディレクターがいたが、病気で急死してしまったという。みんなでその方のお墓参りをするために能登に行ったり、斉藤自身もプロモーション先で体調を壊して入院したりと、何かと石川県は心に残ることが多いという。飄々とした語り口ながら、今回のチャリティライブに至る真摯な思いを知ることができた。そんなMCの後に歌われたのは「Small Stone」。ステージバックの幕が開き、真っ赤な照明の中で淡々としたミディアムテンポのリズムに乗せて《夜明け前の紅い空を 白い蝶が飛んでいくよ》と歌い出す。曲が進むにつれ照明の色合いがオレンジ色から黄色へと淡くなり白んでくると、演奏する4人の姿が浮かび上がる。最後に斉藤が《そんな夜明けだ》と歌うと、ステージは明るく輝いた。明日への希望を感じさせる、力強く感動的な1曲だった。

イントロのディレイが鳴り響いて、「やさしくなりたい」へ。ストレートな演奏にこみ上げるメロディが胸を打つ。乾いたテレキャスターのストロークも心地良いパワーポップ「Boy」でミラーボールが回り気分を盛り上げる。玉田がおなじみのあのリズムを叩き出すと、斉藤が「じゃあ、もう一度紹介しましょう!」と浜崎、岡村を呼び込んで、「歩いて帰ろう」を全員で歌唱。爆音でギターを鳴らしながら歌う斉藤から浜崎、岡村へとマイクリレーして、オーディエンスに歌を委ねる3人。会場中が歌声で応えると、最後はステージと客席が一体となるさらなる大合唱となった。

アンコールは、ドラマ『ザ・トラベルナース』主題歌となっていた「泣くなグローリームーン」からスタート。イントロのギターをワンフレーズ弾いたところでピタッと止めて「この前、見た? 役者デビューですよ」と最終回にサプライズ出演したことに触れて、大喝采を浴びた。さらにリクルート「SUUMO」Webムービーに提供した新曲「透明の地図」をフルサイズで初披露。弾むリズムに乗せて、街角のストリートミュージシャンを思わせる軽やかさで歌ってみせた。ポジティブな歌詞が印象的なこの曲は、この日のバンドメンバーでレコーディングされたそうで、今後のリリースが期待される。

メンバーを改めて紹介して4人で並び客席に挨拶すると、1人でステージに残った斉藤。「今日はありがとうございました。またツアーもあるのでそこで会えたら。収益金は、よきところに届くようにしますので、HPなどを見てください。ありがとうございました」。最後はライブタイトルの「空に星が綺麗」を弾き語りして終演となった。

このライブの収益金の一部(収益金から経費を除くすべての利益)は被災地復興のための支援金として寄付される。また、ストリーミング配信が1月29日(水)より実施されている。

取材・文=岡本貴之 撮影=宮家和也

 

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