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MAYSON’s PARTYが体現する正しいパンクロック、最新アルバム『GO』を引っ提げての最大級のツアーを前に語る

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MAYSONʼs PARTY

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AYATOMO(Vo/Gt)、MIKI(Gt/Vo)、YANOK(Dr/Cho)、TSUKASA(Ba/Cho)、MOE(Tb)、SAKI(Vo/Tp)、PON(T.Sax/Cho)からなる7人組SKAバンドMAYSONʼs PARTY。1月29日に待望の2ndフルアルバム『GO』をリリース、その最新作を引っ提げての自身最大級となる全国ツアー『Let’s “GO” MAYSON’s TOUR 2025』を3月よりスタートさせる。誰よりもファンとの繋がりを大事に、正にパンクロックを体現する彼らに、新作への手応えとツアーへの想いを存分に語ってもらった。

――最新作『GO』のリリースに合わせて、ファン参加型プロジェクト『メイソンズGO』が進行中ですけど、これはどういうところから始まったものなんですか。

AYATOMO:僕らのファンは<パティスタ>と呼ばれていまして、彼らを集めたフリーイベントを定期的に行っているんですよ。そこではライブ以外にも、どんな物販が欲しいかとか、どういうバンドと対バンしてほしいかとか、そういうことをファンの方たちと一緒に話し合う会議みたいなこともやっているんです。そこで、今回のアルバムをみんなにも宣伝してもらおうということになりまして、具体的にはどうしたらいいか考えた結果、『メイソンズGO』をやることになりました。もちろん、パティスタじゃない方もこの企画には参加できるんですけど、ただ宣伝してもらうだけじゃなくて楽しんでもらうことも考えて、企画内容について話し合いました。たとえば、企画第1弾の「ポスターGO」だったら、今作の告知ポスターの写真がSNSで 5つ以上投稿された都道府県に僕らが行きます、とか。

――なんだか、一時期パンクやロックシーンの宣伝手法として流行ったストリートチーム的な雰囲気がありますね。

AYATOMO:まさにそんなノリです。

――前回のインタビューでも、コロナ禍にツイキャスを使ってファンと一緒に曲を作ったという話をしていましたけど、そういうファンとの濃いつながりは自然と生まれたものなんですか。

AYATOMO:コロナ禍に突入した頃の僕らはまだデモしか出してなくて、正式なリリースもないし、レーベルも事務所もない状態だったんですけど、僕らのことを知ってくれてるお客さんが全国に15~20人ぐらいはいたんです。それはツイキャスを見てくれてた人たちなんですけど、コロナ禍でライブが全然できないとなると、この15人、20人の人たちすら僕らのことを忘れてしまうんじゃないかと思って、そのとき僕らのことを好きでいてくれてる人たちとどういうふうにコミュニケーションを取ろうか、彼らをどういうふうに楽しませようか考えるようになりました。なので、今みたいな関係性になっているのはコロナ禍があったからだと思います。

――ファンの存在の大切さを実感するのはどんなときですか。

AYATOMO:全国各地にいるパティスタが自分の周りにいる人たちにMAYSON’s PARTYを見てくれっておすすめしてくれたり。たとえば、前回のツアーで福岡に行くことが決まってたんですけど、あと30枚で売り切れるっていうところまできてたんですよ。でも、ライブ当日までにその枚数を売り切るのは日数的に難しかったので、パティスタに言ってみたんです、「あと30枚で売り切れるんです」って。そしたら、福岡近辺のパティスタたちが友達をぐわ~って連れてきてくれてソールドアウトしたんですよ。

――それはすごい!

AYATOMO:そういう頼もしさみたいなものを感じることはありますね。なので、僕らも恩返ししなきゃ、楽しませなきゃと思うところはあります。こういうファンクラブみたいなノリを嫌がるバンドはけっこういるし、僕も20代の頃だったら嫌だったかもしれないですけど、僕らはお客さんありきで成り立っているバンドだと思うんですよね。

MAYSONʼs PARTY

MAYSONʼs PARTY

――MIKIさんは自分たちのファンに対して感じることはありますか。

MIKI:内輪ノリって言葉は悪い意味で使われることが多いですけど、それってすげえ大事だと自分は思ってます。パティスタと自分たちの間だけで通じる暗号みたいものがあって、たとえば、物販で売ってるグッズにもパティスタ用の裏メニューがあって、ちょっとだけお得、みたいなことをやってるんですよ。しかも、それは仲間内だけの秘密ではなくて、ありがたいことにパティスタがその輪を勝手に広げてくれるんですよね。あと、僕らがやりたいことがあったら、それを叶えるためにパティスタが手伝ってくれるんですよ。今やってる「ポスターGO」でも、僕とSAKIがちょっとしたノリで「沖縄行きたい!」ってSNSに書いたら、「沖縄までポスター貼ってきます!」ってライブのときにわざわざ言いに来てくれた人がいて、実際に叶うかどうかはわからないけど、そうやって言いに来てくれたことだけでもすごく嬉しくて。そういう目に見えない団結がMAYSON’s PARTYのライブをすごくいい雰囲気にしてくれてるんだと思います。

――そもそも、パティスタになるにはどうしたらいいんですか?

AYATOMO:僕らが物販で売ってるラバーバンドを付けてもらえればそれだけでもうパティスタの証になります。今はそのラバーバンドを付けてくれてる人の数が全国的に増えてきているので、ライブで手を上げてもらえばその会場にどれだけのパティスタがいるかすぐにわかるんですよ。これからもっと増やしていきたいですね。

――SAKIさんは、パティスタとの印象的なエピソードは何かありますか。

SAKI:誰と対バンしてほしいか聞いたら、みんなけっこう自由に言うんですよね。「それ、本当にできるのか?」みたいな(笑)。でも、4月のイベントで挙がった対バンしてほしいバンドの答え合わせを12月のイベントでしたら、4バンドくらい叶ってたんですよ。キュウソ、マンウィズ、四星球とか。そうしたら、メンバーなのかっていうくらいパティスタが大喜びしてくれたんですよ。あと、去年メキシコにライブしに行ったときに作ったTシャツがめちゃめちゃ売れ残ったんですけど、日本でも販売しますってお知らせしたらパティスタが即完させてくれて。しかも、そのTシャツを着てライブに来てくれるんですよ。真のパティスタやなって。

AYATOMO:「助けてくれてありがとう!」って。

SAKI:そうやって、うちらも恥ずかしがらずに「助けて!」って言えるし、パティスタも「もちろん!」って応えてくれるから、言葉にするとクサいですけど、絆というか、パティスタとの結びつきが年々強くなっていってるのを感じます。

――素晴らしい。去年はパティスタの輪がかなり広がった1年だったと思います。大型フェスに出演したり、新たな経験をしたことによって視点が変わったり、新しい気づきがあったりしましたか。

AYATOMO:最前線にいる人たちや先輩たちを見て、そういう人たちの人間力とかバンドマンシップみたいなものを知りました。やっぱり、人間性も素敵な人でないとこういう場所には残れないんだなっていうことを痛感しましたね。自分たちもそういうところを目指すのであれば、人間性を磨かないといけないんだなと思った1年でした。

――音楽はもちろん大事だけども、それが良ければいいということではない。

AYATOMO:そうですね。「なんでそんなにいい人なの?」っていうぐらい、いい人たちが多くて。心も広いし、カッコいいし、粋なところがたくさんあるんですよね。「京都大作戦」に出たときに朝6時くらいまで打ち上げがあったんですけど、僕は最後まで残ってやろうと思ってずっといたんですよ。そうしたら、打ち上げの最後の最後、数人だけになったときに、TAKUMAさんがみんなのためにタクシーを呼んでくれて、「TAKUMAさん、先に乗ってください」って言ったら、「いや、みんなが帰る姿を見てから帰りたいんや」って言われて。本番の2日間だけじゃなく、この日のためにずっと準備してきて、最後の最後にこれを言うのかと。自分だったら疲れて「あとはよろしく」ってさっさと帰っちゃう。だから、本当にすごいなって。そういうことがほかにもたくさんあって、みなさん自分のことだけを考えない人たちばかりなんですよ。

――そういった新たな経験は最新作『GO』の制作に何か影響は与えていますか。

AYATOMO:今作はMAYSON’s PARTYらしさを追求した作品になっていて、このために曲をいくつもつくったし、自分たちがシーンの最前線に立っているイメージで制作したので、去年のライブやフェスの経験はサウンドや歌詞にかなり反映されてると思います。

――候補曲はたくさんあったんですか。

AYATOMO:収録曲の4、5倍はあったと思います。

――え、そんなに!? 去年なんて曲作り中は特に忙しかったでしょうに。

AYATOMO:はい、ツアー中で泣きそうでした。

――じゃあ、気合を入れて曲を出し合うぞ、みたいな感じだったんですね。

AYATOMO:基本的にはこの3人が曲をつくるんですけど、それぞれ得意な曲を書きまくりましたね。曲づくりの後半戦になると、こういう曲が足りないからこういう曲を作ろうって狙ってつくったりしてたんですけど、本当にたくさんボツになって。まあ、それは毎回のことなんですけど、今回はいつもの何倍もつくらないと「これでいいか」って妥協しちゃうし、「これがいい!」と思える曲を集めないといい作品にはならないと思ってたんで。しかも、今回はこのタイミングでアルバムを出したいっていうのが決まってて、前作のEP『3-SUN-』を出したときにはもう、今作のレコーディング日程が決まってたので、締切がある感覚で曲づくりをしてました。

AYATOMO(Vo/Gt)

AYATOMO(Vo/Gt)

――2025年1月にリリースすることにこだわった理由はなんですか。

AYATOMO:レーベルの社長といろいろ話し合う中で、去年は『3-SUN-』をリリースしたこともあってこれまでで一番フェスに出させてもらったんですけど、今年はもっといろんな場所に出たかったので、そうなるとやっぱり何かしらのトピックがある上で活動をしたくて。そのためには春フェスシーズンがはじまる前には作品を出したかったんですよ。そう考えると、1月2月ぐらいしかないんじゃないかと。

――1年の最も早いタイミングでリリースして、ツアーも組んで、その合間にフェスを狙っていくと。

AYATOMO:そこでもっとお客さんを増やしていければなと思って。今年は勝負の1年になることを実感してたのでこのタイミングになりましたけど、こんなに締切が近いフルアルバムはもう嫌ですね(笑)。「こういうことも人生で最後、今頑張れば!」っていう気持ちでやりました。

――『GO』は前作以上に初期衝動感を感じる作品だと思いました。それは曲だけじゃなくて、歌詞の内容とかも含めて。そう言われてみてどう感じますか。

AYATOMO:まさに原点回帰した部分はたくさんあって。いろんなバンドと対バンしていくなかで感じたこともあるんですけど、自分を取り繕ったり、自分の中にないものを出そうとしても仕方がないし、ナチュラルに自分のマインドすべてを曲や歌詞に出すことでライブに説得力が出るんじゃないかと改めて感じて。なので、そういう感覚が素直に出ている曲が多くなってるかもしれないです。

――では、楽曲についてお聞きします。オープニングの「COUNT DOWN」は歌がないのがもったいないくらいカッコいいインストナンバーですね。これはなぜこういう形になったんでしょうか。

AYATOMO:これはホーンのフレーズが先にできた曲で、元々、ライブがはじまる前に流れるSEっぽい曲がほしかったので、そういうイメージをもとにこの曲ができました。

――この曲の作曲はAYATOMOさんですけど、ホーンのフレーズもAYATOMOさんがつくったものなんですか。

AYATOMO:この曲はそうですね。たまに口笛とかでフレーズを送ってSAKIにちゃんとしたものをつくってもらうこともあるんですけど。

SAKI:そうなんですよ。口笛、めっちゃわかりにくい(笑)。でも、今回はギターでしたね。「これやりたいんだけど」って。

――SAKIさん的に、ホーンを吹かない人がつくるホーンのフレーズってどうなんですか。

SAKI:めちゃくちゃ面白いです。MIKIちゃんも曲をつくるときたまにホーンを入れることがあって、「その音、出ない」「それ、速すぎ」っていうこともあるんですけど(笑)、それでもシンプルでカッコよかったりするんですよね。すごく参考になるし、私は好きですね。

――じゃあ、2人ともホーンが吹けないことは気にせず、とりあえず作ってみるんですか。

AYATOMO:そうっすね。音階のイメージとかを伝えてつくってもらうこともあったり。今回のアルバムで言うと、僕がギターでつくったホーンリフは「UNITE&SKA」ぐらいですかね。この曲のリフはMAYSON’s PARTYの前のバンドか、MAYSON’s PARTYで初めてデモをつくる前くらいにあって、個人的にずっと気に入ってたんですよ。それで、いつか使えないかなと思ってたら今回ハマったっていう感じです。

――今話に出た「UNITE&SKA」は今回一番好きです。今、ユナイトと声高に呼びかけるバンドってあんまりいない気がするし、そういうところも含めていいなと思いました。

AYATOMO:歌詞にも往年のパンクとスカのワードを散りばめまくってます。

――その点では「PUNK ROCK BOMB」も同じですよね。自分たちのルーツに実直な歌詞というか。でも、こういう内容の曲はキャリアのはじめの頃にできていてもおかしくないものですよね。

AYATOMO:そう、若いときにも書けたはずの曲なんですけど、今だからこそこういう歌詞を書いてみようと思えたのはあります。若い頃だと多分、どこかしらカッコつけたり、取り繕う部分があったはずなので。だから、ここまでストレートに自分の物語を書いたのは初めてかもしれないですね。

――今だからこそより素直に、カッコつけずに書ける。

AYATOMO:そういう歌詞のほうがライブでお客さんに伝わりやすいって改めて気づけたりもして。

――実際のバンド名がバンバン出てくる感じもいいですよね。

AYATOMO:僕らの時代って、DOLLみたいなパンク雑誌に載ってるインタビューを読むことで自分の好きなバンドがどんな音楽を聴いていたのか知って、それをお店で買う、みたいな流れがあったじゃないですか。それと同じことを歌詞でやってみたら、気になったお客さんがRancidとかNOFXとかDropkick Murphysを聴くんじゃないかなと思って、そういう意味も込めて完全にバンド名を言っちゃいました。

MIKI(Gt/Vo)

MIKI(Gt/Vo)

――「Rachel」はMIKIさん作詞作曲の曲で、今作唯一のラブソングです。

MIKI:ラブソングと受け取ってもらってもいいです(笑)。僕は他の2人とは違って、ちょっと物語っぽい歌詞を書いたんですけど、歌詞を見た人それぞれに思い浮かぶ相手がいると思うので、それが一番かなと思います。あと、僕はスカも好きなんですけど、ポップパンクもめちゃくちゃ好きで、ポップパンクのアーティストがよく人の名前を曲のタイトルにしてることへの憧れもあってこのタイトルにしました。なので、スカの要素もありつつ、自分の中にあるポップパンクのエッセンスを盛り込んだ楽曲になってます。

――このリフ感もいかにもギタリストがつくった曲という感じがしていいですね。

MIKI:そうっすね。ああいう半音で上がっていく感じをリフに取り入れたくて。聴いてる人がちょっと不思議に感じるような構成にしました、

――「Daydream Believer」のカバーも注目ポイントですね。

AYATOMO:けっこう前から「Daydream Believer」をカバーしたらどうかなと思ってて、バンド内でも話に出てはいたんですよ。でも、カバーってフルアルバムじゃないとなかなか入れられないんで、今回試しにやってみたら「いいな!」ってなって。

――元々好きな曲だったんですか。

AYATOMO:もちろん好きではあったんですけど、スカアレンジも含めて合うかなと思ってたんですよね。あと、MAN WITH A MISSIONのツアーに出させてもらったときの打ち上げで、うちのドラムのYANOKがマンウィズのメンバーさんから「『Daydream Believer』のカバーやってみたらいいんじゃない?」って言われたらしいんですよ。この曲は日本語詞でもよく知られてる曲なので、Cメロでちょこっと日本語詞を入れるっていうギミックも成立するイメージもあって。

――ちょっと遊べるというか。

AYATOMO:そうですそうです。実は全編英詞でもレコーディングしてて、ギリギリまでどっちにしようか迷ってたんですけど、日本語詞が入ってるほうがハッとするかなというのもあって、このバージョンにしました。

――Hi-STANDARD「My First Kiss」でもラスサビで一箇所だけ日本語詞で歌っていますよね。

AYATOMO:まさにそのイメージです。

――ハイスタといえば、Ken Yokoyamaもこの曲をカバーしていますけど、そこは意識しなかったんですか。

AYATOMO:実は僕、そのことを知らなかったんですよ。ある日、KENさんもカバーしてることを知って聴いてみたら、KENさんはシャッフルの感じで僕らのアレンジとはだいぶ違ったので、ちょっと安心しました。

SAKI(Vo/Tp)

SAKI(Vo/Tp)

――あと、今作に関して感じたのは、SAKIさんのコーラスがすごく効いてるなと。前作から意識して変えた部分ってあったりするんですか?  いい意味でメロディに収まってないというか、飛び出してる感じがするんですよね。

SAKI:どうですかね(笑)。

MIKI:今作はこれまでで一番3声を強く出そうという意識が強くて、ミックスのときも「もうちょっとここ聞かせたい」とか、「ここの1行、少しだけ音を上げてほしいです」みたいに、かなり細かくやってたんで、そういうところもすっと声が入ってくる要因になってるのかなっていう気はします。

――でも、コーラス然としていないんですよね。ハーモニーを意識しすぎてないというか。

SAKI:確かにそうですね。事前に歌詞の内容をめっちゃ確認して、歌詞と同じ気持ちで歌いたいっていう思いがあったので。

――今回、SAKIさんが手掛けた「TWISTED」はどんなところから着想を得た曲なんですか。

SAKI:私はアニソンが好きなので、「進撃の巨人」みたいな要素がいろいろ入った曲をMAYSON’s PARTYがやったら楽しいのでは、という気持ちでつくりました。だから、「ライブで誰がここを歌うんですか?」ってくらいコーラスが多いんですよ(笑)。歌詞は内臓をさらけ出したみたいな曲で、それぐらい自分と向き合って、もう痛すぎて、辛すぎて、苦しくて、みたいな気持ちを全部歌詞にしてるんですけど、自分の痛いところを見つめた結果、私は自分の中に信じてるもの、譲れないものがあるというところに行き着くという。その気持ちは「La-La-La」の<Nobody can change me>という歌詞にもつながってくる感じがしています。

――今の時代、パンクは多様化していますけど、このアルバムは皆さんがパンクに出会ったときに湧き出したこのジャンルに対する忠誠心がそのまま表現されている作品という印象を受けました。最初にお話ししたファンとの繋がりもそうですし、正しくパンクロックしているなと。なので、聴いていてなんだか嬉しくなるんですよね。

SAKI:それ、めっちゃ嬉しい。一番嬉しい感想。

AYATOMO:パンクロックでも、我々は反骨ばかりの刺々しいものではなくて、ユニティのほうのパンクなので。実は、メンバー全員に色濃くパンクロックのルーツがあるわけではなくて、それぞれのルーツはバラバラなんですよ。なので、自分の趣味をバンドとしてどこまで出していいものか考える部分もあったんですけど、今回はもう何も考えずに自分をそのまま出したので、ある意味、偏った一貫性みたいなものが出てるかもしれないです。

――バンドなのに個人の色がこんなにも濃くなっていいものなんだろうかと。

AYATOMO:元々はそこまでストレートに出してなかった部分もあって。だから、今になっての「PUNK ROCK BOMB」なんでしょうね。以前だったら、MAYSON’s PARTYでこのタイトルを付けてもいいか迷ってたかもしれないです。でも、ライブでこの曲をやる前にMCで自分の想いを伝えることを想像したときに、これはストレートにしたほうがいいという結論に自分の中でなったんですよね。

――今回、パンク色の強い作品になったことに対してMIKIさんはどう受け止めていますか。

MIKI:僕はあんまりパンク色が強いとは思ってなくて。でも、今おっしゃっていただいたように、歌詞もメロもすごくストレートな印象で、伝えたいことをあんまり曲げずにそのまま出してる感じはします。それをパンクだと捉えるなら、それはそうなのかもしれないですね。

SAKI:精神的な部分で言うと確かにね。

――結果としてパンクになってた、ぐらいでしかない。

SAKI:めちゃくちゃそうやと思います。

AYATOMO:サウンドもぐりぐりにパンクロックってわけじゃないですし。

MIKI AYATOMOの持ってる目の強さ、みたいな。AYATOMOはよくも悪くもこういう感じ(と両手を前に伸ばしてすぼめていく)なんですよね。これしかできない、というか、ひとつのことに向き合う強さがすごくある。そういう強さがしっかり出てるアルバムなんだということはほかのメンバーも感じてるだろうし、そういうところがきっとパンクなんでしょうね。

AYATOMO:でも、自分一人で考えてたらここにはたどり着いてないですね。僕だけだったら多分、ストレートなスリーコードのパンクだけになってるんで(笑)。だから、SAKIやMIKIちゃんもそうですけど、それぞれがつくった曲をメンバー全員でMAYSON’s PARTYにしているんだと思います。「TWISTED」なんて、最初の段階では構成がたくさんあってマジでよくわかんなかったですから。そうやってみんなで相談しながらMAYSON’s PARTYらしさができていってるんだと思います。

――その「らしさ」はがっちり固まったと思いますか。それとも、まだ構築してる最中ですか。

SAKI:まだ探りたい部分もあったりはするんですけど、見えてきたものはすごくあると思います。

AYATOMO:オリジナリティとか「らしさ」というのは常に変化していくものだと思うので、2025年の時点でMAYSON’s PARTYが出したいオリジナリティはこれなんだろうなと思います。で、これからツアーを経て、年末とか来年になったらまた新たに僕ららしさが形を変えていくのかもしれない。

――じゃあ、この先自分たちが変わっていくことは全く恐れない。

AYATOMO:「前と言ってること全然違うじゃん」って言われることに対して恐れることはないし、変化するほうがいいと思うんですよね。

――人間だから変わって当然だと。

AYATOMO:僕らはメンバー7人がいてMAYSON’s PARTYですけど、そのMAYSON’s PARTYという箱が一番喜ぶことをやりたい、という感覚です。「これはMAYSON’s PARTYが喜ぶかな?」みたいな。そういう意味では、もう自分個人を飛び越えたところにあるんだと思います。

MAYSONʼs PARTY

MAYSONʼs PARTY

――3月3日から始まるツアーはどんなものになるんでしょうか。

AYATOMO:6月頭までが前半戦で15本あって、最終的に10月のFinal Seriesまで続くので、全部で30本くらいになりますね。フェスも含めると40本近くになる可能性もあります。

――当然、過去最大規模のツアーになるんですよね?

AYATOMO:最長最大です。今年はほぼ丸1年、このフルアルバムをひっさげてライブをしようと思ってます。前回のツアーは14、5本だったので、フルアルバムならではのボリューム感にできたらなと思ってます。

――ライブの雰囲気は徐々に変わってきてますか。

AYATOMO:そうですね。僕らからは何も言ってないけど、お客さんたちの中でこれが来たらこうっていう定番のノリができてきてて、それは見ててすごく面白いです。今回のツアーも、序盤とFinal Seriesで全く違う雰囲気になると思います。

――今回のツアーでは何を成し遂げたいですか。

AYATOMO:メインの目標は自分たちのことを見てくれるお客さんの数を増やすことだと思います。

――でも、最近はライブのよさだけで集客を増やすのがどのバンドにとってもすごく難しい状況になっていますよね。

AYATOMO:でも僕らは昔ながらのやり方でお客さんを増やしてきたバンドで、全国をぐるぐる回って、前回より2人増えた、3人増えたっていうことを積み重ねて今につながってるので、まだMAYSON’s PARTYのライブを見たことない人たちに対してはやっぱりライブを通じてアプローチすることがこのバンドの一番の強みだと思ってます。もちろん、ほかにもいろんなやり方があると思うし、僕らもブースターみたいな感じでSNSを使ってみようと考えてはいるんですけど、パティスタを増やすためにはライブでの説得力に特化することが一番の近道なんじゃないかなと思ってます。

――確かに、最初からファンとの繋がりを大事にしてきたバンドですもんね。今回のツアーについて、MIKIさんはどうですか?

MIKI:過去最大規模なので、本当にどうなっちゃうんだろう、みたいなところはあるんですけど、めちゃくちゃ楽しみです。曲が増えたことでセットリストの構成もかなり変わると思うし、やれることもすごく増えると思うんですよね。となると、今回のツアーという大きな物語が、これまで想像してなかったような方向に進んでいくかもしれない。そのワクワク感をみんなにも知ってほしいし、僕らもバティスタも一緒になって、「今日のアレ、よかったよね!」って言い合えるぐらいの距離感で進めたら最高だなって思います。

SAKI:パティスタは本当に自由に遊び方を作ってくるので、今回のアルバムの曲ではどうやってくるのか楽しみです。あとは体調に気を付けて頑張ります。もうそんなに若くないので(笑)。

AYATOMO:僕ら、コロナ禍に3回もライブをキャンセルしてて、デビュー作のツアー初日も飛ばしてるんですよ。もうあんなことは2度と起こらないようにしたいですね(笑)。

取材・文=阿刀”DA”大志 撮影=大橋祐希

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