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『LustQueen pre. Stairway to Queen vol.3』憧れ続けたSCANDALとの邂逅の先にみえたもの

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LustQueen

LustQueen 撮影=大橋祐希

『LustQueen pre. Stairway to Queen vol.3』2025.02.11(tue)Spotify O-EAST

2月11日、Spotify O-EASTにて、LustQueenによる主催イベント「Stairway to Queen vol.3」が開催された。通算6回目となるライブで、対バン相手が大先輩であり、ボーカル・結那が高校生の頃から憧れ続けてきた存在でもあるSCANDALという事実は、「すごい」を通り越して、「メンタル大丈夫か!?」と心配になるほど。完全に胸を借りるしかない状態だ。しかも、LustQueen主催ということは、出演順は当然SCANDALが先。ただでさえ緊張しっぱなしだったはずの結那は、SCANDALのライブ中、プレッシャーで押しつぶされそうになっていたのではないだろうか。

SCANDAL

SCANDAL

先鋒のSCANDALは、そんな後輩に見せつけるかのようなパフォーマンスをするかと思いきや、非常に温かみのあるボーカルとステージングで会場を包みこんだ。「瞬間センチメンタル」「少女S」「HARUKAZE」と続く最初のブロックでは、しっかりと地に足がついた演奏で魅せた。軽やかに演奏しているようでいて、音はずしりと重い。とはいえ、TOMOMIによる指弾きのベースは温かく、凛とした佇まいでスティックをさばくRINAのドラムはしなやか。そんなリズム隊の上でMAMIのギターフレーズが舞う。

MCではHARUNAが、結那とは今日が初対面であることを告白。しかし、学生時代に自分たちの曲を彼女がコピーしていたという話を聞いて胸がいっぱいになったという。さらに、TOMOMIが言うには、結那はSCANDALのメンバー一人ひとりにバレンタインのチョコまで用意していたというではないか。彼女は「ファンになっちゃった」とうれしそうに笑った。ああ、そうか。彼女たちのライブに流れる温かさの理由はこれだったのだ。

HARUNA

HARUNA

RINA

RINA

そんなMCのあとにプレイした「夜明けの流星群」にはグッとくるものがあった。この曲にある<ずっと叶えたかったその未来って今夜かもしれない>というフレーズは、まさに結那のためにあるものじゃないか。

続く「one more time」ではHARUNAがギターを置き、ハンドマイクを手にした。そして、「(SCANDALを観るのが)初めての人も一緒に歌ったり、振りマネしたりしませんか?」と優しくフロアを誘い、同期を交えた演奏でフロントの3人は軽やかにステップを踏むのだった。

MAMI

MAMI

TOMOMI

TOMOMI

SCANDALは今年で19周年だという。フロアに向かって「私たちも頑張ってやってるんで、これからもライブに来てください」と言ったあと、HARUNAは、結那と出会ったことで「まだまだ頑張らないと」という気持ちになったことを打ち明けた。

ラストのブロックはアップテンポに攻め立て、「SCANDAL BABY」では一番のシンガロングを起こし、LustQueenへとやさしくバトンを渡したのだった。

LustQueen 撮影=大橋祐希

LustQueen 撮影=大橋祐希

さあ、今日の主役の登場だ。「Stairway to Queen vol.3、行くぞ、渋谷ー!」という結那の呼びかけとともに演奏が始まった。この曲に限らず、結那はパフォーマンス中、何度も拳を突き上げ、ステージ前方に乗り出してフロアを埋める観客に向かって何度も指を差していた。それは、観客を煽ろうというよりも、ステージとフロアの壁を取っ払って、よりひとつになろうとしているように見えた。その一方で、キメるべきタイミングではステージ中央にあるお立ち台に立ち、堂々と歌い上げるのだった。

結那のボーカルを支えるのは、柴崎萌、Fami。、くぼたまりん。同期も鳴っているとはいえ、3人の演奏は分厚い。柴崎のギターはシュアな演奏が光り、弾むようなくぼたのドラミングは楽曲にさらなる活力を与え、Fami。のベースは重低音ながらまるで結那と一緒に歌っているかのようだった。結那が安心して自由にパフォーマンスできるのは、彼女たちがいるから。LustQueenというバンドの強靭さの源はこの演奏力にある。

LustQueen 撮影=大橋祐希

LustQueen 撮影=大橋祐希

最初のMCで話したのは当然、SCANDALのこと。「私の青春のすべてがSCANDALだった」と話す結那の言葉には熱い想いがこもっていた。そして、夢の中にいるんじゃないかというくらいフワフワしていたけど、それではダメだから、LustQueenはLustQueenの音楽を届けると彼女は興奮気味にまくし立てた。そして、「みなさん、まだまだ声出せますか!?」とフロアに呼びかけるのだった。

結那のボーカルはクールに聞こえるときもあれば、随所でナチュラルなキュートさが漏れ出る場面もある。だが、どの瞬間も懸命に歌っていることしっかり伝わってくる。ロックボーカル的に歌い上げるというよりは、ただひたすらに想いを伝えようとしている印象で、その姿はまさにクイーンとして皆を牽引しようとしているかのよう。上手へ下手へとステージを移動し、何度も観客に指を差す。そんな様子がすごくひたむきで、胸を打たれる。

LustQueen 撮影=大橋祐希

LustQueen 撮影=大橋祐希

ロックバラード「カゲロウメモリー」でも、結那は自分の世界に入りこむのではなく、常にフロアを意識して、力強く、かつ丁寧に自分の想いを届けよう、共有しようとしているようだった。そんな彼女に対する印象がそれほど間違っていないのではないかと感じたのは、その後のMC。結那は高校生の頃、初めてライブハウスに立ち、そこでSCANDAL「OVER DRIVE」をカバーしたのだが、その初ライブのときに客席にいた人が今日もいるというのだ。何年も前の観客のことを覚えていることも驚きだが、その人物を今日もフロアで見つけたというのは「驚き」のひと言では片付けられない。彼女がしっかりひとりひとりと向き合ってライブをしている、何よりの証明ではないだろうか。

LustQueen 撮影=大橋祐希

LustQueen 撮影=大橋祐希

終盤は、「そうです!!!」「Ready, Steady, Go!」「My life is My story」と勢いのある曲が続いたことで、フロアのテンションはさらに上がり、一体感も増していった。しかし、これは楽曲だけの力だとは思わない。結那の意志の力もかなり大きいはずだ。彼女は、女性ロックボーカリストの定型に自分をはめようとしているのではなく、ただ自分らしくあろうとしている。それは言葉にせずとも伝わってくる。個人的に、一番歌が良いと感じたのはラストの、しかもまだ歌い慣れていないであろう最新曲「FLAG」だった。緊張から解き放たれた部分も大きかっただろう。しかし、みんなの背中をそっと支えるような曲が作りたいと願った彼女の想いもそこには乗っかっていたのではないだろうか。

LustQueen 撮影=大橋祐希

LustQueen 撮影=大橋祐希

終演後、ステージにSCANDALの4人を迎えた結那は、4人から温かいハグを受け、こらえきれず涙を流した。彼女は高校のときに一度バンドを辞めてしまったけれど、LustQueenを始動し、決意を新たにしたのだ。この日、ずっと輝き続けているSCANDALを見た彼女の胸に去来した想いはどんなものだったのだろうか。HARUNAも「誰かの目標になっているということがとても嬉しいです」と話し、両者の心が伝わってくるようなやりとりに、こちらも涙がこぼれそうになった。

ちなみに、結那の想いが最も強く溢れていたのは、集合写真の撮影時にふと漏らした「はぁ……幸せ……」というひと言だったということをお伝えして、このレポートを締めたい。

取材・文=阿刀”DA”大志

LustQueen × SCANDAL 撮影=大橋祐希

LustQueen × SCANDAL 撮影=大橋祐希

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