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FM802『RADIO∞INFINITY』の15年と裏側、ライブハウスとアーティストへの想いーー仲間と迎える15周年記念イベントを目前に歴代DJsが鼎談

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『RADIO∞INFINITY』歴代DJ飯室大吾、樋口大喜、ハタノユウスケ

『RADIO∞INFINITY』歴代DJ飯室大吾、樋口大喜、ハタノユウスケ 撮影=キョートタナカ

「番組とリスナーとアーティストと…1+1=ムゲンの可能性が生まれる(かもしれない!?)。ライブハウスシーンを追いかける木曜深夜のミュージックグラウンド」として放送中のFM802の番組『RADIO∞INFINITY』(毎週木曜0:00~3:00)が、2010年の番組開始から15周年を迎えた。それを記念して、3月24日(月)・25日(火)、大阪なんばHatchで『RADIO∞INFINITY 15th Anniversary pre. 電波無限祭-15の夜-』が行われる。今回はそれに先駆けて、『RADIO∞INFINITY』の歴代DJである飯室大吾、樋口大喜、ハタノユウスケの鼎談をセッティング。番組の歴史やDJとしての知られざる苦労、アーティストとの関係性などを語ってもらった。3人がいかに本気で番組に向き合っているか。オンエアではなかなか聞くことのできないエピソードも飛び出した濃厚な鼎談インタビュー。802も馴染みの居酒屋、鉄板野郎 裏参道店にお邪魔して、早速乾杯からスタート!

リスナーと共に築き上げてきた『RADIO∞INFINITY』の変遷

3人:乾杯~!!!

ーー『RADIO∞INFINITY』のDJチームでは飲みに行かれるんですか?

樋口:それが、6月の『RADIO MAGIC』(開局アニバーサリーイヤー5年ごとに開催する、RADIO HIT曲を中心に披露するスペシャルライブ。直近では2024年6月1日・2日に大阪城ホールで開催)の終わりやったんですね。go!go!vanillasの牧(達弥)さんたちと一緒に行って、そこで「『INFINITY』15周年やから、何かやろうか」という話が出てきたんじゃないですか。

飯室:そうそう。

ーー15周年って、どうですか?

ハタノ:僕はずっとお2人の放送を聴いていたので、今番組をやらせてもらって「僕ができてるんや」って良い意味でふわふわします。大吾さんが2010年からの8年、樋口さんが2018年からの5年ですよね。そんなに長く1つの番組をされてて、ほんまにすごい。

飯室:『RADIO∞INFINITY』は、最初ロック専門プログラムみたいな感じで始まって、どちらかというとJ-ROCKのメインどころをかけていくような番組だったんですよ。802であまりかからへんようなロックバンドの曲をガンガンにかけてたら、リスナーさんから「私の大好きなインディーズバンド、この番組やったらかけてくれるかも」とメッセージとリクエストが届き出して。僕らも知らないバンドやったりするんですけど、こっちで調べて音源を送ってもらってかけたりして、だんだんライブハウスやインディーズシーンに特化する番組になっていきました。

飯室大吾

飯室大吾

ーーリスナーさんと作っていく番組は、そこから始まった。

飯室:完全にそこからですね。音楽好きな友達に、最近好きなバンドを教えてもらうみたいなノリですよね。それで「ええバンドやな」と思ったら、番組が責任持って追いかけて、曲をかけたりしていく。リスナーのタレ込み情報をいただいてやっていく感じになりました。

樋口:リスナーのタレコミを紹介する「こちタレ」というコーナーがありましたもんね。

飯室:そうそう。週1回の深夜番組でインディーズを扱ってるって、802全体から考えたら零細企業なわけじゃないですか。だからその分、自分の足で情報を稼ぐイメージでした。

ーーなるほど。

飯室:時を同じくして、キュウソネコカミとか関西のロックバンドがメインに上がっていく時期で、一緒にこの番組も盛り上がっていった感じがあって。ロックシーンの世代的なところが良かったのかもですね。

樋口:樋口は2014年に802に入ったんですけど、ちょうどその頃関西のシーンから全国にドーンといってる感じがあって。KANA-BOON、キュウソ、フレデリック、THE ORAL CIGARETTES。挙げ出したらキリがないぐらい全部関西のバンドで、全員大吾さんのとこを通ってきてる。当時私は大吾さんの『INFINITY』の後に『LNEM』(木曜3:00~5:00)という深夜番組を担当してて。必然的に大吾さんの番組を3時間しっかり聴いてから生放送をやってたから「ここがライブハウスの最前線の番組」という感じは、当時からすごくしてましたね。

飯室:特にこの番組をやってると、ライブハウスにめちゃくちゃ行くんですよ。何やったらライブハウスから情報をもらったり、店長さんやブッキングマネージャーさんと仲良くなって教えてもらうんですけど、あの人たちのバンドにかける愛情ってヤバいんです。そういう現場の熱量ももらいながらやってたしね。

樋口:確かに。

飯室:ライブハウスの人にはやっぱり頭が上がらない。でっかいアーティストも最初は絶対小さいハコから出てくるわけじゃないですか。その最初の出発点を一緒にとらえてやっていく感じでしたね。

番組の継承と葛藤、そして軸となる番組ディレクターの存在について

樋口大喜

樋口大喜

ーーミナホの振り返り記事でも、樋口さんは今の大吾さんのお話と全く同じことをおっしゃっていましたね。

樋口:言ってましたね。ただやっぱりね、大吾さんからDJを変わってから、ライブハウスの店長やイベントプロモーターからの風当たりは、最初は強かったですね。もう皆「大吾さん、大吾さん」。何をやっても大吾さんと比べられる。「お前に何ができんねん」ぐらいの感じで結構言われましたよ。

飯室:ほんまですか。

樋口:向こうはジョークとして言ってるかもだけど、『LNEM』から早朝の番組『DASH FIVE!』(月~木6:00~7:00/2012年4月〜2018年3月まで放送)を挟んでの『INFINITY』だったからこそ、その風当たりの強さは最初は堪えましたね。

ーー引き継ぎみたいなことって行われたりするんですか。

飯室:この番組は僕の代にADだった龍田という子がその後一貫してディレクターをやってるので、逆に言うとそのディレクターが1番大きい柱なんちゃうか。

樋口:だと思いますよ。その人が全相関図を持ってるから、私は「ビッグデータ」と呼んでるんですけど。

ハタノ:樋口さんが最終回で「龍田さんこそが『RADIO∞INFINITY』や」と言ってはったのをすごい覚えてるんですよね。

樋口:ほんまそうやと思います。初回、自分で「こんなことやりたい」って企画書15枚ぐらい持っていってプレゼンしたら、ディレクターとプロデューサー全員に「これは『INFINITY』じゃないかな」と言われて。

飯室:あははは(笑)。軸がね。

樋口:結構それも食らってたから、「『INFINITY』っぽさ」みたいなのがあるんやろうなというのは、その時にすごい感じました。それが引き継ぎと言えば引き継ぎかもしれないけど、そういう洗礼は受けましたね。

飯室:樋口はDJとしてのカラーをどんどん出していく時期だったけど、結局『RADIO∞INFINITY』は主役がバンドとリスナーで、DJは間を繋いでるだけで1番最後列なんですよね。バンドとその音楽を待ってる子たちが1番前やからというのもあるかもしれんな。

樋口:自分はその役割を落とし込むまでに1~2年はかかりましたね。ようやく掴み出した時にコロナだったので、これもしんどかったですね。

少しでもバンドを知ってもらうための引っかかりを作る

ハタノユウスケ

ハタノユウスケ

飯室:樋口はコロナで1番ライブハウスが影響を食らってる時に番組をやってたのか。僕の時は「全ての情報はライブハウスにある」と思ってやっていたから、それがなくなるってなあ。

ハタノ:コロナ以前と以後で、ライブハウスの影響が全く変わりましたしね。今は僕の番組も、SNSでバンドを見つけてリクエストを送ってくる子がすごく多くて。それで言うと今回イベントに出てくれるChevonやCLAN QUEENはSNSキッカケで火がついて、リスナーも一緒に乗っかってきてくれたアーティストですね。でも、コロナ禍だからこそ生まれた『寿限無座』というイベントがありますよね。ライブハウスがライブを開催できない時に、「とにかく音楽を止めない」というところで樋口さんが落語と組み合わせて、入場無料で企画して。

樋口:イベントプロモーターの清水音泉が「この状況下でもライブハウスに足を運んでもらいたい。バンドを応援したい」ということで、イベントをやりたいと相談があったんです。徐々に半キャパで出来始めてる頃で、イベントをやるのは簡単やけど、何かエッセンスがあった方がいいかなと思って。コロナでツアーができなくて、関西に来たことのないバンドが多かったから「まず名前だけでも覚えて帰ってください」という意味で、樋口がMCでそのバンド名の由来を落語にしたんです。「寿限無」は名前を決める落語なので、タイトルをそう名付けました。

飯室:『INFINITY』はラジオ出演自体初めてというバンドがほとんどで、初めて聴くリスナーさんも多いから「どないして覚えてもらおうかな」の施策はめちゃめちゃやった。

ハタノ:「1分間自己紹介」とかまさにそうですよね。音源はフルで聴いてもらいつつ、やっぱり人柄を知ってもらった方がいいというのが根幹にあった中で、今も初登場の方に恒例で1分間で自己紹介してもらっているので。

ーー樋口さんからハタノさんに変わった時は、コロナは収束した頃ですよね。

樋口:2023年4月にバトンタッチやから、ちょうど終わったぐらい。

ハタノ:ライブハウスもフルキャパになってましたし。

飯室:フルキャパで声出されへん時。

ハタノ:ギリそうですかね。

飯室:あの頃辛かったな~。イベンターの皆さん、ライブハウスの皆さん、ほんとによう頑張ったよね。

樋口:それこそ四星球は、アスティとくしまでお客さんの立ち位置にフラフープを置いて「ここから出ないように」みたいな施策をやってた。キュウソも早いこと動いて、『電波鼠』という無観客配信ライブをやってましたね。SHE’Sの井上竜馬くんには、オンライン弾き語りで番組に出てもらってた。そう考えると今回のイベントには、それぞれに発信してコロナ禍をめっちゃ支えてもらったバンドがいるから、頼もしいですね。

ヘビロに決まった時は「認めてもらえた」という喜びに

ーー『RADIO∞INFINITY』をやっていて、嬉しかったことはありますか?

飯室:僕は『INFINITY』を街のレコード屋さんみたいな気持ちで細々とやってきて。そしたら清水音泉さんが「一緒にイベントを作りましょう」と言ってくれて。つまり、ライブのプロから「この番組は一緒にライブをやるに値する」と言ってもらえてるということ。隅っこでやってたのが「見てくれてる人がおる。やってたこと間違ってなかったかも」と思えて。しかも東京のプロダクションの人たちが番組を聴いてくれてると。うちの番組でかかってるアーティストから新人を見つけようとしてくれてる人が結構いたんですよ。「中の人からも情報源として見てもらえてるんや」と思った。だから年末のロック大忘年会『RADIO CRAZY』や若手もたくさん出演しているサーキットフェスの『MINAMI WHEEL』で、東京の色んなマネージャーさんやプロダクションの人に会う度に「大吾さん最近どんなバンドかけてるんですか?」「次どこ見に行くんですか?」ってめっちゃ聞かれるようになって。「頑張ってきたことが形になってる」と思えて嬉しかったですね。

樋口:私は応援しているアーティストと一緒にヘビーローテーションが取れた時。

飯室・ハタノ:ああ~!(共感)

樋口:これはやっぱり嬉しかった。「この曲でヘビロを狙いたい」と言われた時の、プロダクションやイベントプロモーターの方たちとの、あのチーム感。

飯室:僕らも一緒に取りに行く感じでね。他の番組ディレクターさんやDJさんにプレゼンしましたもん。

樋口:やりましたね。SHE’Sの「歓びの陽」(2018年8月度ヘビロ)、ハンブレッダーズの「ユースレスマシン」(2020年2月度ヘビロ)。チームで共闘する感じ。

飯室:ヘビロが決まった時は、ほんまにご褒美もらえたというか、認めてもらえた喜び。

樋口:ここからまたスタートラインという気持ちにさせてくれるのもヘビロかな。他のDJは「どんな紹介してくださってるんやろう」とチェックしたりして。

ハタノ:アーティストと同じ目線で。

飯室:下手したらヘビロにエントリーする時「どの曲にした方がいいですかね?」って聞かれる。

樋口:Chevonもそうだった。何曲かいただいて「どの曲がいいですか、感想ください」って。特に嬉しかったのは、番組を卒業する2023年3月度の、Re:nameの「prettyfine :)」。心斎橋BIGCATのスタッフでRe:name担当の岸本優二さん(ヘッドライン代表取締役)とスーパー銭湯に行った帰りの車でRe:nameの新曲を聴かせてもらって、「むちゃくちゃ良いじゃないですか。これヘビロいきませんか。『INFINITY』で自分が届けられるのが最後だから、これで勝負したい」と話をしたのを覚えてる。しかもそこからRe:nameと802の関係性ができていった感じもしていて。

飯室:そういう大きな動きになっていく最初の起点を作っていけるのが、『INFINITY』をやってる醍醐味やね。

ーーハタノさんはいかがですか?

ハタノ:僕は今年大学を卒業して社会人になって、今ダブルワークみたいな感じでDJをやっていて、どうしても番組をお休みしないといけない時が4月に2回あって。その時代打でthe paddlesの柄須賀皇司さんとChevonがそれぞれ3時間フルでやってくれて。特にChevonは北海道から飛行機でそのためだけに来てくれて。まだ番組を1年しか担当してなくて、大吾さんや樋口さんみたいに全然関係値もないしなと思ってた頃だったので、自分にもこうやって駆けつけてくれるアーティストができたんだなと思った日でしたね。めちゃくちゃ嬉しかったです。

三者三様の試行錯誤で続いてきた『RADIO∞INFINITY』

ーー同じ番組でも担当DJごとにカラーも違うと思いますが、例えば大吾さんから見た樋口さんの『INFINITY』、ハタノさんの『INFINITY』はどんな印象ですか?

飯室:僕は最初の番組DJだったこともあって、「『INFINITY』がやるべきことはこういうことだよね」を固めて広げていった人間なので、割と直球勝負というか。曲をかけて「どうやってこのアーティストの大阪のライブの動員を5人増やそう」みたいな感じやったから、どちらかというと漢くさい番組のカラーやった気がします。樋口はもうちょっとラジオエンタメを考えてるから、『INFINITY』のカラーを踏襲しつつ、音楽も伝えつつ、もう1個おもろいことを足すみたいな。落語をミックスしたり、アーティストの楽曲を聴いて樋口なりの解釈をするコーナーとか。それは樋口大喜という人間のタレント性のフィルターを通して出すエンタメじゃないですか。俺はコーナーをあまりやってなくて、とにかく曲をかける。3時間で35~36曲とか。

ハタノ:ありえないっす。

飯室:BGMを聞いてゆっくり喋るぐらいなら、1曲でも多く聴いてもらった方がいいという硬派な考え方やったんです。樋口は樋口でコーナーとして面白くする広げ方はおもろいなと思ってました。ハタ坊に関しては新人類じゃないですか。DJデビューが現役の学生で、卒業して就職して社会人を立派にやりながらDJも、しかも深夜のインディーズ番組をやってるわけでしょ。わけわかんないですよね。逆にもっと可愛がられていく『INFINITY』になってるんやろうな。

ハタノ:嬉しいです。

飯室:全然カラーが違う3人だから。

ーー樋口さんは企画力と行動力がすごいなと思います。

樋口:言ったもん勝ちというのもあるし、冒頭でも言いましたけど、やっぱり大吾さんの築いたものがデカすぎる。正面衝突で勝てないとわかってるから、違うことをしないとと。だから自分の何事においても、劣等感が原動力で。

飯室:ロックンローラーみたいなこと言うなあ(笑)。

樋口:2人の『RADIO∞INFINITY』は、音楽を純粋に届けてるから良いなと思う部分がたくさんあります。リスナーからメッセージが来て「知らない音楽だけどかけてみよう」となるピュアな感じとか。私はプロダクションの方の意見を聞いて精査してたから。悪く言えば打算的。とにかく自分は「認めてもらうためにはどうすればいいか」から始まってますね。ラジオエンタメをやりたくてとか、こういうことを実現したくてというよりも、日々何かをやってダメだったことの繰り返し。それが合ってるかもわからなかったから、廊下でミニ四駆を走らせてそれを実況したり。オンエア聴いたら案の定「シャー!」という音しか入ってなくて。

飯室:はははは(笑)。

ハタノ:聴いてましたよ。面白かった。

樋口:でも意味のわからないことをできるのが深夜番組であり『RADIO∞INFINITY』だった。802も寛大ですよね。そういうことをやらせてくれた。ハタノさんはアーティストと世代が近いから、溶け込むのが早い。ベースが早いうちに出来上がってる。それに対して自分は結構悶々としてたから、すごく羨ましいなと思いましたね。

飯室:ハタ坊って、ざっくりのんびりしたイメージあるやんか。実際そうなん?

ハタノ:のんびりしてますね(笑)。

樋口:すごい優しいと思う。

飯室:それはあると思うわ。打ち上げで喧嘩したりせえへんやろ。

ハタノ:喧嘩はしないですね。

樋口:だからそこはちょっと違う。

飯室:俺ももうせえへんわ(笑)。

樋口:私も抑えるけど(笑)。龍田さんとは年が近いのもあって、むちゃくちゃ喧嘩しました。

飯室:それは対等にやれてるってことやから、良い喧嘩やと思うな。

樋口:当時はどのタイミングで曲にいくかで絶対に流れが変わると思ってたし、この曲からこの曲に繋ぐことで世界が変わると思ってた。

飯室:めちゃくちゃわかる。昼間の番組のスピード感と違って、マジで一球入魂を36球投げるみたいなことをやったので、「このタイミングで曲に入ってくれな(あかんやん)!」となって。「曲の並びで3時間が変わってまう」ぐらいの感じ。僕一時期、3時間の流れを全部自分で作ってたんですよ。毎日802に行って、選曲と曲順をずっと考え込んで。その頃から眉間のシワが取れなくなったんです(笑)。でもそれぐらい真剣になれる番組に関われたことは幸せ。

樋口:ほんまにそうかも。

ーーハタノさんは今どんな気持ちで番組をされてますか?

ハタノ:それこそ樋口さんが大吾さんから変わった時にすごい悔しい想いをしたみたいなお話もそうですけど、僕も今でも「『INFINITY』は樋口さん、大吾さんだね」みたいな感じ。最初、僕の声が樋口さんに似てると言われて。

ーーそう、似てますよね。

樋口:多分ミドルの音域が似てるんだと思うんですよ。

ハタノ:MCの台本の名前が樋口さんになってたり、自分が言わないと気付かないような小さいところもあったりして。これを変えるのは時間がかかるんだろうなと思ってましたね。今思うのは「ラジオでこんなに遊べるんや」って。FMラジオで邦楽をこれだけ熱量持って届けて、面白がって、そして反応が来る。『INFINITY』は反応の数が他の番組と全然違うんです。

飯室:深夜なのでリスナーの反応は昼帯に比べると少ないんですけど、めっちゃ熱がある。想いが強い。

ハタノ:深夜2時のタイムラインとは思えないぐらい。お2人が築いてきたものがあるので、ほんとありがたいなと思いながらやってます。

『RADIO∞INFINITY』だからこそ実現した
15年のライブハウスシーンを凝縮したラインナップ

ーー15周年イベントのブッキングは皆さんがされたんですか。

飯室:そうですね。一緒に同じ時間を過ごしてきた人たちばかり。3人それぞれの時代のカラーがミックスされてて、15年間のライブハウスシーンを表しているラインナップになってると思います。ハタ坊のChevon、CLAN QUEEN、TRACK15、猫背のネイビーセゾンとか、例えばコロナ禍で結成したけど、ライブが1~2年できないのが当たり前のバンドが多かったやんか。そういう人たちがどうやってオリジナリティーを出して、今このシーンにいるのか。バンドの強さや魅力を、今度は僕がハタ坊に教わる。僕は今回はもう学びに行く感じ。

ハタノ:嬉しい。僕も学びに行く感じですね。それこそCzecho No Republicは、僕が初めて行った『RUSH BALL 2016』のOAで観たんです。夜の本気ダンスも若手バンドの対バンで出てきて、お兄さん的存在ですごく良いなと気付かされるとこもあったり。

樋口:あとは初日の「TALTOオールスターズ」とか、2日目の「ドラマチックアラスカと大吾のなかまたち」は、この番組のイベントじゃないと観られない。特にTALTOオールスターズは、このためだけに2020年に解散した東京カランコロンのいちろーさん、せんせいさん、おいたんさんが集結してくれて、その先輩の号令に応える形でSAKANAMONがホストバンドになって、マカロニえんぴつのはっとりさんと長谷川(大喜)さんが来てくれる。すごい嬉しいですよね。

飯室:嬉しいしかない。いちろー、せんせい、おいたんが出てくれると決まった時に、久々にカランコロンの曲が聴きたくなって、気付いたら朝やったもんね。「この時あんなんやったな、これで初めて全国流通なったよな」と思い出しながら聴いてて。このカランコロンのステージは、普通でいられないと思います。

樋口:マカロニもマカロニの曲をやってくれるそうなので。しかもSAKANAMONがホストで、TALTOというレーベルの中ではSAKANAMONは中堅どころ。中堅どころが支えて後輩と先輩を立てるところで、大きな見どころの1つだと思いますね。

飯室:SAKANAMONとドアラがホストバンドで何かやるのは、皆見たことないと思う。バンドがひと肌脱いでくれる嬉しさが既にあって、その辺もお客さんに感じてほしいですね。

樋口:電波無限大は過去『RADIO CRAZY』と『MINAMI WHEEL』に出ていただいて、今回4回目になりますけど、これまで違うことをやろうという話が上がってるみたいで、かましてやろうと考えてくれてる。それも嬉しいですね。

飯室:電波無限大って、大阪のバンドマン同士が横でちゃんと繋がって、ライバル心もリスペクトもある、ほんとにライブハウスに出入りしてる人たちをそのまま表現した良さがあって嬉しいですよね。

ハタノ:電波無限大も802のイベントでしか観れないバンドなので。しかも僕に番組が渡ってもなお、4バンドの関係が続いてるのも珍しいですし。

ーーお客さんの熱量も相当高そうですね。

樋口:リスナーから結構「DJ3人の絡みも楽しみにしてます」というメッセージが来ているみたいで。トークなり、アーティストのステージでの絡みなり、何かあるかな。そもそも『RADIO CRAZY』キュウソのステージでこのイベントを発表させてもらったからね。ドラマチックアラスカと大吾のなかまたちは、絶対大吾さん何かあるんちゃいます。

飯室:ギターのシールドとかさばくよ。

ハタノ:ええ、スタッフとして?

樋口:はははは(笑)。

飯室:それで言うと、キュウソに関しては何せ一緒にやってきたんで、(ヤマサキ)セイヤにも「我々3名は何でもやりますわ」と言ってる。

樋口:DJもアーティスト同士も何かしらのコラボがあるかもしれないし、想像が楽しいですね。

飯室:こういう番組なので、1組1組ただライブをやって終わるわけがない。バンドの皆さんの『INFINITY』愛が無茶振りという形で出てきて、ぐちゃっとなることもあると思うので、その辺りも面白がりに来てほしいな。

樋口:15年やってたら、当時のリスナーの14歳は30歳前後なわけで、家族ができたりして、ライブハウスが遠のいてる人もいると思うんですよね。そういう人にもう1回来てほしい。なんばHatchは来やすいし、今回はそういう人たちのために「アフター6チケット」があるから、ちょっとでも番組にタッチして聴いて育ってきたなと思ってくださる方は、ぜひ遊びに来ていただきたいですね。

ハタノ:この間「初めて(番組を)聴いたけどイベントに行きます!」というメッセージもいただいて。今日歴史を振り返る話もしていただきましたけど、最近この番組を知った人も、番組の歴史を知れる環境だし、この日だけの絶対に楽しいライブが観れる場所なので、それは僕たち3人が保証するので、ライブハウスが初めてという人も、安心して来ていただければなと思います。

取材・文=久保田瑛理 撮影=キョートタナカ
取材協力=鉄板野郎 裏参道店

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