2025年3月20日(木・祝)、ココラシカがSpotify O-Crestにて開催したワンマンライブ「三原色」のオフィシャルレポートが到着した。
洗練されたサウンドとグッドメロディが早耳のリスナーの間で評判を呼んでいるココラシカは、10代男女3名からなるギターレスのスリーピースバンド。初のワンマンライブとなったこの日には、5月にバンドがメジャーデビューすることも発表された。記念すべきステージは、その類まれなるポップセンスと真っ直ぐな音楽への愛情を示した一夜となった。
開演時間を回ると、拍手に迎えられ、こうき(Vo.Key)、らな(Ba)、こた(Dr)の3人がステージに登場。フロアは幅広い世代の観客で一杯に埋まっている。
「みんなの大切な時間を使ってくれて、本当に嬉しく思っています」とこうきが告げ、ライブは「最後の花火」からスタート。ゆったりとしたリズムに情感あふれる歌声を響かせる。シティポップやAORのテイストを現代にアップデートした洒脱な音楽性が持ち味の彼ら。グルーヴィーな「Signpost」や切ないメロディを聴かせる「ごめんね」など続けざまに披露し、オーディエンスを心地よく揺らす。
キーボードを弾きながら伸びやかな声で歌い上げるこうき、しなやかでツヤのあるベースラインを奏でるらな、力強くリズムを支えるこたと、確かなプレイアビリティを見せる3人。MCでは緊張している素振りも見えたが、メンバー全員19歳とは思えないほどの演奏力と佇まいだ。
この日のセットリストには、これまで発表してきた楽曲を中心に、彼らの幅広い音楽性を見せる曲が並ぶ。「どんな悲しみの先にも幸せが訪れますように」と告げて披露した「花瓶」は、ドラマ『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』のエンディング主題歌に起用された優しいバラードだ。軽快なグルーヴと自由闊達なプレイでフロアを盛り上げた「恋よ、踊り出せ」は、彼らが高校在学中にリリースされSNSでバイラルヒットをもたらした一曲。「占い師」は昭和歌謡にも通じるムーディーな曲調に乗せて女性占い師を主人公にしたストーリーを描く。こうきがハンドマイクで歌い上げた「溶けないで」はキラキラとしたシンセが印象的な爽やかなポップチューンだ。
あっという間に感じる時間を経て、本編のラストに披露したのは“生きる意味”を問いかけるような壮大なナンバーの「Q」。「ちっぽけな人生をドラマティックに歌って、僕たちの日常に意味があるのかもしれないって思ってもらえる音楽を作ることが、僕らのやるべきだと思います」とこうきは語る。熱のこもったパフォーマンスからは彼らが音楽に懸ける思いも伝わってきた。
都立鷺宮高校の軽音楽部で結成され、昨年に高校を卒業した彼ら。Spotify O-Crestのステージに立つのはコロナ禍に開催された軽音楽部の大会以来3年ぶりだという。アンコールを求める声に応えて登場した彼らは、メジャーデビューと2週連続の新曲のリリース、そして1st Mini Album「Freedom」のリリースを発表。一つの節目を前に、こうき、らな、こたのそれぞれがバンドのこれまでを振り返り、決意と覚悟を語る。
そしてメジャーデビューシングルとなる「手のひらで踊らせて」を披露。歌謡曲のギラついたテイストが魅惑的なダンスナンバーだ。「これからも音楽を通じて僕らの思いを全力で届けていきます」と告げ、ラストには情熱的な「またね」を披露してステージを降りた。
まだまだ彼らの物語は始まったばかり。ここからの飛躍を確信させられるようなライブだった。
取材・文=柴 那典 撮影=スエヨシリョウタ
広告・取材掲載