広告・取材掲載

広告・取材掲載

GLIM SPANKY「All the Greatest Dudes Tour 2025」東京公演のオフィシャルライブレポート到着

アーティスト

「変わることが変わらないこと。挑戦をしていくことがGLIM SPANKYの変わらないことなんです。GLIM SPANKYは挑戦をし続けていくことで芯を保っていこう、ということでやってきました」

GLIM SPANKYの音楽を再生

GLIM SPANKYがベストアルバム「All the Greatest Dudes」を引っ提げて開催したタイトルツアー東京編は、そんな松尾レミ(Vo / Gt)の言葉を体現するようなステージだった。

GLIM SPANKYのSEと言えば、バンドのもっとも大きなルーツの一つであるトラッドフォークのレコードコレクションから選ばれた、Steeleye Spanの「Gower Wassail」。そのアーシーで気高い調べが場内の緊張感を高め……、という入りが長らくの定番だったが、今回はスタートから新たな挑戦を叩きつける。

一瞬そこがクラブのフロアかと錯覚するような打ち込みのダンストラックとともに、松尾、亀本寛貴(Gt)、サポートメンバーの栗原大(Ba)、かどしゅんたろう(Dr)、中込陽大(Key)が登場。そこからシームレスに「Fighter」へ。亀本の鋭いロックギターとのシナジーにより、場内のムードが一気に高まる。GLIM SPANKYのカタログにはダンサブルな曲も多く見られるが、ライブパフォーマンスにおいて、ここまでジャンルとしてのダンスミュージックにフォーカスした瞬間は初めてだ。

そしてパワーとBPMを同時に上げて初期の代表曲「褒めろよ」で、ソールドアウト超満員のフロアに無数の拳が突き上がる。あえて新曲も多く盛り込んだベストアルバムが単なるキャリアの振り返りではなく、明確にネクストフェーズを示すものであることを証明するロケットスタートは大成功。そこから荒々しく太いブルースロック「焦燥」、爽快かつ力強い「吹き抜く風のように」、幻想的な田園風景が浮かび上がるようなバラード「美しい棘」と、それぞれ色彩も温度も異なる3曲を演奏し、その音楽的な多面性をあらためて感じさせてくれた。

「東京!自由に踊っていこう」と、ギターを置いてハンドマイクスタイルでステージを駆ける松尾が高らかに声を上げ始まったのは、1990年代R&Bからの影響を感じるスムースでミニマルな「こんな夜更けは」。その横揺れのグルーヴを受け継ぎながら「Glitter Illusion」、ネオソウルやジャズ、ディスコなどさまざまなジャンルのテイストを展開する新曲「Hallucination」と、GLIM SPANKYが2020年代に入って獲得したミクスチャー感覚とその進化を打ち出す。思い思いに体を揺らす観客の織り成す景色とグルーヴもまた、そんなGLIM SPANKYの新機軸を象徴していた。

「ベストアルバムなんですけど新曲も多く入れまして、前半はその新曲や近年の曲を多めにやってきたかなと思うんですけど」と亀本。続けて新曲は構えられることが多いイメージの中、しっかり盛り上がっていることへの喜びを語り、「新曲もうちょっとやっていいですか!」と、「連続ドラマW ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編」第4話エンディングテーマ「赤い轍」を鳴らす。ロケ地である北海道の大地やドラマに感じるスリル、そして情熱を描き出したようなサウンドスケープの臨場感に気持ちが高まる。続いては花譜を迎えた新曲「ひみつを君に」。フォーキーで優しい調べがフロアを包む。

「今いい感じの新曲が生まれてるんで、まだやりませんけど(笑)」と松尾。ツアー中も曲作りに勤しんでいるらしく「移動中に歌詞書かなきゃとか思うんだけど、みんなからのパワーをいただいて<頑張ろう!>って思える。本当にツアーって最高なんですよ。生きてるわー」と観客を称える。「ここからはわりと古い曲を。ロックのライブって、イエーイ!ってやりたいときあるじゃん。いきましょうよ」と亀本がテンション高めに話し、2015年にリリースされたアルバム「SUNRISE JOURNEY」から「サンライズジャーニー」を。1960年代後半~1970年代前半のThe Rolling Stonesを思わせるロックなナンバーで再びフロアの熱を高めていく。「風にキスをして」で珠玉のメロディを響かせたあとは、ロックの真ん中を射抜くギターリフとシンプルで重心の低いドラム、これぞアンセムなコーラスが轟く「NEXT ONE」、そこからかどの超絶ドラムソロで沸いた大歓声とともに、一気にギアを上げ「怒りをくれよ」「リアル鬼ごっこ」と、ホームでもアウェイでもハイライトを彩ってきたファストなロックを放ち、これでもかとフロアを盛り上げた。

ライブもいよいよ終盤。松尾が、ベストアルバムのタイトル「All the Greatest Dudes」は、Mott The Hoopleの曲、「All The Young Dudes」の“Young”を“Greatest”に変え、ファンやスタッフらGLIM SPANKYを取り巻く人たちに「すべての最高な仲間たち」というメッセージ込めたものだと話す。そして、その気持ちと地続きにあるという、ライブでは欠かすことなく演奏してきた「大人になったら」を披露。始まりの合図、松尾が大きく息を吸う音に身が引き締まり、ダイナミックな演奏と熱いメロディによってすべてのフラストレーションから解放される。やはり何度浴びてもたまらない。ラストはGLIM SPANKYの旅路そのもののようなタイトルがサビで響く「ワイルド・サイドを行け」を演奏し、ロックでポジティブなメッセージを残してステージをあとにした。

アンコールでは、今回のツアーでやりきれなかった曲を盛り込んだ「All the Greatest Dudes Tour 2025 “Another One”」を6月27日から全国7か所で開催することを発表。短いスパンで再びツアーを行うことに対して大きな拍手と歓声が。そして亀本がステージ前方真ん中に立ちギターソロを弾くところから始まる「愚か者たち」へ。観客の叫びとともにその視線がギターのボディー一点に集中する絶景はロックだからこそ。そして未来を指す光が見えるようなバラード「形ないもの」、そしてコラボという新たな挑戦、LOVE PSYCHEDELICOとともに制作された「愛が満ちるまで」で締めた。ロックの歩んできた歴史、文脈に愛とリスペクトがあるからこそ、前を向き続ける“変わることが変わらないこと”なバンド、GLIM SPANKY。そんなソウルを胸に、制作ともライブとも足を止めることなく向き合い続ける二人の2025年、そしてその先の未来がますます楽しみになった夜だった。

Text by TAISHI IWAMI

カメラマン:上飯坂一

全国7都市で開催した「All the Greatest Dudes Tour 2025」は各地SOLD OUTや過去最大動員を記録するなど大好評となり、アンコールツアー「All the Greatest Dudes Tour 2025 “Another One”」の開催が決定した。

「Another One(おかわり!)」と冠しつつ、セットリストや構成はイチから組み直し、東名阪に加え「All the Greatest Dudes Tour 2025」では行くことが叶わなかった4箇所の計7都市をまわると言う。

チケットはオフィシャルファンサイト「FREAK ON THE HILL」会員限定で最速先行予約受付中。今回も完売が見込まれる会場もありそうなので、早めにゲットしてほしい。

関連タグ