カネコアヤノ Ⓒ Taio Konishi
『FUJI ROCK FESTIVAL’25』(以下、フジロック)のキックオフイベント『Smash Go Round FUJI ROCK NIGHTS』が、3月19日に東京・SHIBUYA CLUB QUATTROにて開催された。
2月にチケットが発売されるやいなや瞬く間に完売した『FUJI ROCK NIGHTS』。この日、イベント開催地・東京では早朝には雹が、午前中には大粒の雪が降るという暦の上では春なのに真冬に戻ったかのような事態に。その後、雨へと変わって快晴になるという、たいへん珍しい天候となった。イベント開始前から来場者でぎっしりと埋まった会場の状況からは、天候に影響されずに済んだように見受けられたものの、都会にいても空の様子をずっと気にしながら一日を過ごすという、天気の変わりやすい苗場を彷彿とさせる『フジロック』らしいキックオフ日和であった。
スペシャルステージにはKID FRESINO、カネコアヤノ、おとぼけビ~バ~が出演し、2025年の第1弾として開催された『フジロック』イベントを大いに盛り上げた。
■KID FRESINO、おとぼけビ~バ~、カネコアヤノが登場した『FUJI ROCK NIGHTS』スペシャルライブ
【KID FRESINO】
KID FRESINO Ⓒ Taio Konishi
『フジロック』のロゴがあしらわれた、苗場でお馴染みの赤いフラッグが掲げられたステージに最初に登場したのはKID FRESINO。2024年のRED MARQUEEでトリとして『フジロック』を結んだ彼が、2025年のキックオフを告げる第一音を鳴らしにやってくるというストーリーも粋な布陣だ。雪降る東京となったこの日に思い出されたのは、彼が雪景色の広がる都内を闊歩する姿が印象的な「Coincidence」のMV。だが今回は積もることなく無事に会場へと辿り着いた人々でフロアはごった返していた。そんななか、誰もが知る往年の名曲などを散りばめたセットをクールに投下し、場内を徐々に温めてオーディエンスの身も心も揺らしていく。今年の『フジロック』の始まりを心地の好く口火を切ったDJタイムを届けた。
【おとぼけビ~バ~】
おとぼけビ~バ~ Ⓒ Taio Konishi
続いて登場したのは、おとぼけビ~バ~。直近では、ジャック・ホワイト(Jack White)、グリーン・デイ(GREEN DAY)、アイドルズ(Idles)らのジャパン・ツアーのオープニングアクトを担ったことでも話題の日本発の4人組バンドだ。今年の『フジロック』に出演することが決定しているが、過去には2017年に新人アーティストの登竜門ステージ・ROOKIE A GO-GOに出演したことがある。「前夜祭にふさわしい悪天候!」という挨拶もご愛嬌ということで、「孤独死こわい」「おまえのストライクゾーン入らんでよし」「ジジイ is waiting for my reaction」などパワフルな楽曲を縦横無尽に炸裂。オーディエンスの熱気は曲を追うごとに上昇していった。カネコアヤノと交わしたという約束について触れ、「カネコさんと一緒にできてよかった。このイベントに感謝しています。フジロック、晴れたらいいですね」と語る場面も。16年のキャリアで培ったのライブバンドたるロックンロール魂をこれでもかと見せつけつつ、夏本番に向けて気合い十分なショーを披露した。
【スペシャルトークショー ゲスト:津田昌太朗、おとぼけビ~バ~・よよよしえ(Gt)】
スペシャルトークショーには津田昌太朗とライブを終えたばかりのおとぼけビ〜バ〜・よよよしえ(Gt)が登場。『フジロック』にまつわる話はもちろん、世界のフェスや共演した海外アーティストについての話も飛び出した。
■「あの屈強なレッチリのフリーが『あのフジロックが一番大変だった』と言っていた!」(おとぼけビ~バ~・よよよしえ)
2024年、世界の名だたるミュージシャンからも多くの支持を集めているおとぼけビ~バ~は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)の北米ツアー参加やイギリスの『グラストンベリー・フェスティバル』にも出演を果たすなど、海外での実績を着実に積み上げている。そんな彼女たちが今夏の苗場でどのステージに立ち、どんなライブを繰り広げるのかに注目が集まる中で開催された今回のイベント。
スペシャルトークショーでは、『フェス旅: 日本全国音楽フェスガイド』の著者でもある津田が進行役となり、おとぼけビ~バ~が2017年に『フジロック』に初出演した時のことをはじめ、海外アーティストと『フジロック』について話をすることもあるといった話題から、『グラストンベリー』と『フジロック』では泥対策が必要だということ、さらには今夏の『フジロック』で観るべきアーティストなど、海外のフェス事情に精通した二人ならではとも言えるトークトピックは多岐にわたった。その他、オーディエンスに対してフジロックに参加したことがあるか、今年参加を予定している人にはどのアーティストを楽しみにしているのかなどを直接問いかけるコーナーもあったりと、オーディエンスと共に夏本番への期待値を上げるコミュニケーションの場にもなっていた。
【カネコアヤノ】
カネコアヤノ Ⓒ Taio Konishi
この日はkanekoayano名義で登場する予定だったが、メンバーの体調不良により急遽弾き語りでの出演となったカネコアヤノ。ギターを抱えた彼女は「バンドでやる予定だったんですけどメンバーが病気になっちゃって弾き語りでやります。一生懸命やります」と告げて、「さびしくない」からスタート。見えないけれど確かにある、そんな緊張の糸が張り巡らされたクアトロに「わたしたちへ」「エメラルド」などが真正面から投下される。ひたすら全力で歌い紡いでいき、ラストの「気分」まで9曲を一心に届けた。
なお、今回出演したカネコアヤノとおとぼけビ~バ~の2組は、今夏の『フジロック』に出演することがすでにアナウンスされている。
夏の苗場ではどんなステージを見せてくれるのだろうか。そんな気持ちを心に残した、まったく違う世界観を持つ3組のアーティストによる白熱のライブは大盛況で幕を閉じた。
■クアトロの2フロアがフジロック・カラーで彩られた『FUJI ROCK NIGHTS』
撮影=SPICE編集部
ライブ以外にも『フジロック』を感じられるものが満載だった『FUJI ROCK NIGHTS』。無料開放された4Fフロア入口には、“嵐の天神山”として伝説となった『フジロック』初開催当時の1997年のラインナップが記されたポスターが来場者をお出迎え。通路には、『フジロック』感を感じさせる色とりどりのガーランドや、過去のライブ写真や場内で撮られたオーディエンスの写真が数多く展示されていた。
撮影=SPICE編集部
撮影=SPICE編集部
その他には、『フジロック’25』のチケットやオフィシャルグッズの販売をはじめ、『フジロック』場内の森の中を約2kmにわたって設けられた木道・ボードウォークに使われる天板への寄せ書きコーナー、『フジロック』の誇る美味しいフードを代表して「苗場食堂」の出張とろろ飯と、iichikoが一番美味しい割合で飲めるという“いい茶こ“の特別販売が実施されており、来場者はお祭り気分を楽しんでいる様子だった。
撮影=SPICE編集部
撮影=SPICE編集部
そして、今回のキックオフイベントや今後開催されるプレイベントなど、7月の『フジロック』本番までの間に開催される、『フジロック』にまつわるイベント間で遊べる「スタンプラリー」が登場。3つのスタンプを集めると場内で使用できる1000円券になるそうなので、今回参加された人はもちろん、次回から参加する人も参加してみてはいかがだろうか。
取材・文=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ
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