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ポーター・ロビンソン 東京で響き渡ったポップ・スターの「LOVE」

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ポーター・ロビンソン

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ポーター・ロビンソン『SMILE! 😀 World Tour』WITH SPECIAL GUEST Galileo Galilei
2025.02.10(mon)東京ガーデンシアター

2年ぶりにポーター・ロビンソンが帰ってきた。今や世界的ポップ・スターとなった彼が今宵降り立つ舞台は東京ガーデンシアター。お互いにリスペクトする存在であるGalileo Galileiをスペシャルゲストに迎え(東京・大阪公演のみ出演)、ポーターの世界観と彼の現状、そして思いの詰まった公演となった。

Galileo Galilei

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オープニングを飾ったGalileo Galileiは「死んでくれ」からスタート。「今日ポーターくんに呼ばれてやってきました、ポーター君、呼んでくれて本当にありがとう」と感謝の言葉を述べながら奏でられる音楽はどこかメランコリックな空気を含んでいる。その中でも「SPIN!」ではダンスミュージックのテイストを盛り込んでおり、ポーターの影響があると彼らも公言している、そして「サークルゲーム」の中にはポーターの楽曲「Something Comforting」を取り入れてみたり、本当に両者がリスペクトし合っているのが音楽を通じて感じられた。

Galileo Galilei

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この日の会場には外国人の観客の姿も多く見られたのだが、TVアニメ『あの日見た花の名前を僕はまだ知らない』主題歌である「青い栞」の前奏が流れた瞬間、僕の後ろにいた外国人のグループが立ち上がり歓声を上げたのはどこか痛快だった。発表から13年を得たこの曲は既にマスターピースとしての地位を確立している。イントロを聴くだけで僕達はあの日に戻れる。寒風吹きすさぶ2月の東京のホールなのに、一瞬で夏の匂いを感じられる、それはGalileo Galileiが持つ音楽のマジックだ。最後に披露したのは「星を落とす」。エモーショナルと高揚感を残して45分のステージを終えた。

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舞台の転換中、巨大なネコのバルーンが設置される中、ナット・キング・コールの「Smile」が響き渡る、その中登場したポーターの一曲目は「Knock Yourself Out XD」。アルバム『SMILE!:D』でも一曲目を飾っているこの曲と共に弾けるようにステージに登場したポーターは満面の笑みだ。

過去に二度ほどポーターにインタビューさせてもらったことがあるが、その時見た彼の印象はどこかシャイな好青年だった。だが今日のポーターはルーズソックスにスカートを身にまとい、ポップ・アイコンとしての風格を備えてステージに立っている。

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『SMILE!:D』はこれまで彼がリリースしてきたアルバムの中でも、もっとも外に向けて開けた印象を与えてくれる一枚だと思っている。その一曲目であるこの楽曲で会場は一気に温度を上げる、彼のライブにはいつも言葉にできない多幸感があるが、今日のステージにはこれまで以上に「そこにいるみんなで作り上げる楽しさ」があったような気がする。「Bitch, I’m Taylor Swift」のリリックは会場全体の大合唱、あまりに痛快。

その後も「Perfect Pinterest Garden」「Kitsune Maison Freestyle」と『SMILE!:D』からの楽曲が次々と披露されていく。「緊張しています、本当に!」と日本語で語るポーターのはにかむような笑顔はとてもチャーミングだ。

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「Mona Lisa」では『SMILE!:D』のジャケットにも登場した巨大バルーンが客席に投入される、大型フェスで見るような光景だが、曲が終わっても戻ってこないバルーンに対して「こいつ厄介だよね」と言ってしまうのがポーター・ロビンソンがどこか僕らの近くにいるような感覚に陥る理由の一つのような気がした。

Galileo Galileiへのリスペクトを込めた「Easier To Love You」では客席がスマートフォンのライトを照らし、まるで銀河のような光景に。「Is There Really No Happiness?」を挟み「Russian Roulette」へ。

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吹き上がる紙吹雪を見るとハートの形をしている。笑顔を浮かべながらもポーターの歌声はシリアスで真摯だ。呼応するように客席も完成と歌声でこれに応える。「また後で!」と声を上げてステージを後にするポーター、間髪入れず客席からは「ポーター・ロビンソン!」の大歓声。

転換が終わるとステージ用にはピアノが、帰ってきたポーターが奏でだしたのは「Wind Tempos」先程のポップ・スターの自分を脱ぎ捨て(実際衣装もチェンジしていた)、たおやかに旋律を奏でる。そこから空気は一転する、「Musician」のメロディーが聴こえると客席は再度爆発、コンサート会場が一瞬でダンス・フロアへと変貌する、音楽のマジックがそこにある。

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「Something Comforting」では熱量を保ちつつ、客席とのコール&レスポンス。勢いは止まらない、「Get A Wish」はロックアレンジとして奏でられる。もう分かるようにこのセクションはアルバム『Nurture』からの楽曲が届けられている。『SECRET SKY 2021』でのパフォーマンスで見た、サビ部分に合わせた打ち上げ花火のエフェクトが映像として映し出された瞬間思わず涙してしまった。美しくて、激しくて、儚い。

『Nurture』をリリースしたときのポーターは2015年から患っていたうつ病を克服しつつも、自身への期待のプレッシャーと戦っていた時期だった。そんな彼がバンドメンバーと笑い合いながら、奏でるメロディがこの大きなステージで、確実にここにいる全員に届いているのを感じられたのが、無性に嬉しかった。

ポーター・ロビンソン

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「Look at the Sky」の大合唱の後、徐ろにポーターがピアノに向き合う、「Look at the Sky」のメロディから深く息を吐いた彼の指先から聴こえてきたのはGalileo Galileiの「青い栞」。歓声が上がる。そして徐ろに歌い出す。しかしすぐに

「ちょっと間違えたごめんなさい!難しいよねこの曲、雄貴くんちょっと助けて」

日本語で流暢に語るとGalileo Galileiボーカルの尾崎雄貴がステージに、ここだけのセッションが始まる。肩を抱き合うポーターと尾崎、ピアノの音と歌だけの空間、バンドメンバーは座ってにこやかにその姿を見ている。特別なものを見ているような、それでいて誰かの家で行われたパーティーのような、兎に角心地よく、幸せな時間。

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もう一度ステージを離れたポーター、ステージには球体型の電子楽器がいくつも並べられる。『SMILE!:D』、『Nurture』とくれば、次のセクションはそう、自身のキャリアを確立した『Worlds』の時間だ。「Sea of Voices」の柔らかな電子音から聴こえてきたのはあまりにも印象的な「Divinity」のメロディ、本当に客席全員が歌っている。

思えばこの三部構成はポーター・ロビンソンの現在から過去へとダイブする展開だ。『Worlds』がリリースされたとき、DTM(デスクトップミュージック)がインターネットによって一気に開かれたような感覚を感じたのを覚えている。誰だって音楽を楽しんで、踊って構わない、クラブに行けなくたって、コンサート会場が遠くても、ネットがダンスフロアになる、という可能性を感じたのだ。そして『Nurture』、コロナ禍での閉じられた世界でもやっぱり僕らは音楽を通じて独りじゃないと気づいた。

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この道のりを逆走したポーターは、『SMILE!:D』というアルバムを引っ提げ、大勢の仲間達と音楽を狂乱的に共有することが出来るようになった。そんな今の彼が歌い、奏でるメロディは、オフライン・オンライン関係なく「世界は開かれている、いつだって僕らは繋がれる」と言っているように感じるのだ。それくらい彼は自由だ。

「Language」で思い切り踊った後は、「Goodbye to a World」、そして「Sad Machine」。この曲がこんなに光を感じる曲だなんて思わなかった。ネットの隅に差し込む一条の光のように感じていた楽曲が、どこまでも広がる青空のように聴こえる。

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10年に及ぶキャリアをワープして旅したポーターだが、アンコールの声は止まることがない。映像にふっと現れたのはMadeonとの共作で生まれた名曲「SHELTER」のMVに登場したキャラクターである「凛」。彼女が手に持ったサンプラーを叩くと「SHELTER」のイントロが、宇宙線の中で涙していた凛に、今またこうやって会えると思わなかった。久しぶり、元気そうで嬉しいよ、幸せかい?凛に思わず声をかけたくなると同時に演奏が始まっていく、この日一番の歓声、ポーターも「手を上げて!飛んで!」と声を掛ける、うねりのようなグルーヴがそこにはあった。

「ありがとうございましたー!」と日本語で叫んだ彼の最後の曲は勿論「Cheerleader」。MVと同じ悪魔の羽を付けて「これで最後、エネルギーが残っていたら、全部出してね!」と叫ぶ。エモーショナルという光の向こうに、もう一度待っていたポップのビック・ウェーブ。パンキッシュなメロディとパフォーマンスを演出するのは信じられないくらいの量の紙吹雪、照明に当てられてダイヤモンドダストのようにキラキラと輝き出す。

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ポーター・ロビンソンというアーティストは、ストレートで、少しだけギークっぽく、センチメンタルなのにポップ・アイコンの輝きを持っている。二律背反するこの感覚をつなげているのは「LOVE」のように思う。音楽に対して、仲間に対して、ファンに対して、ポーターはLOVEを隠そうとしない、それは僕らのような彼を愛してやまない人間に対して、最大の贈り物なのだと思う。

「ありがとうございました!本当に大好き!!」

大きな声で叫んだポーターは微笑みながら小走りにステージを去っていった。会場を後にしてすぐ、イヤホンをつけてポーターの曲を聴いた。どうしてもすぐ聴きたくなったのだ、こんな衝動は久しぶりだ。会うたびにパワフルに、ポップに、メロディックになっていく彼のライブが、今からもう待ち遠しい。

取材・文=加東岳史  撮影=SHIUN ITABA

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