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進境著しいNewspeakの新たな挑戦、セットリスト投票型ワンマン『Your Songs』は「回顧ではなく、次に向かうためのベストなライブ」に

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撮影=Ryotaro Kawashima

英米のインディロックに共鳴するロックサウンドをスタイリッシュかつアンセミックに鳴らす3ピース・ロックバンド、Newspeakにとって、2025年はさらなる挑戦の年になりそうだ。そう感じさせるのが、4月29日(火祝)、渋谷Spotify O-nestで開催するセットリスト投票型ワンマンライブ『Newspeak presents “Your Songs”』だ。ファンの投票によってセットリストが決まるワンマンライブを、いまなぜ開催するのか? 投票が始まってから1週間が過ぎたタイミングで、バンドの近況とともに今回の企画に込めた意図を改めて聞かせてもらうと、メジャー1stフルアルバム『Newspeak』のリリースとそのリリースツアーを経て、進境著しい現在のNewspeakの状況が見えてきた。

Rei(Vo)

Rei(Vo)

ーー投票の途中経過を見て、いかがですか?

Rei(Vo):今のところ、割と予想していた通りかもしれないです。リクエストが来るだろうなと思っていた曲がやっぱり多くて。あ、でも、みんな、意外に暗い曲も好きなんだみたいな新鮮さもあったり。「See You Again」なんて、そんなに話題に上がらないのに「ライブで聴きたいです」という声が多くて、それはちょっとびっくりでした。でもやっぱり、サビがそんなに強くない、「どこがサビなの?」みたいな曲は、今のところあまり上がってないですね。

ーーたとえば、どの曲とかですか?

Rei:「Tokyo」とか、「Firelight」とか。サビはそんなに強くないけど、何か気持ちいいぞみたいな絶妙なインディー感が個人的にはけっこう好きで。もちろんシングルっぽい曲もめっちゃ好きなんですけど、そういう曲は伝わりづらいのかなと改めて思ったりしました。あと、単純にEPの2、3曲目に入っている曲とか、アルバムの前半の曲にみんなすごく注目してくれてるんだなということも分かりました。

ーーなるほど。

Rei:だから、次からアルバムを作る時は、そういうところも考慮して曲順は考えないとなと。アルバムの後ろのほうに強めの曲を持ってきたり、逆に趣味で作ったような曲を1曲目にしたりとか。

Steven(Dr):僕はちょっと安心したね。僕達が普段セットリストに選んでいる曲は、お客さんの希望とそんなに離れていなかったから。

Rei:でも、最近の曲というよりは、みんな、昔の曲を聴きたいみたいですね。

Steven(Dr)

Steven(Dr)

ーーあー、最近あんまりライブでやっていない曲を?

Yohey(Ba):曲の選び方も人それぞれでおもしろくて。1日1回、何曲でも投票できるんですよ。だから、「今日はこのアルバムから」ってコメントに書いて、投票してくれる人もいるし、「この曲が絶対聴きたいから」って、ずっとその1曲だけを投票してくれる人もいるし、ものすごい曲数を一気に投票してくれる人もいて。みんな、いろいろな聴き方してくれているんだなって思いながら、投票結果やコメントを見せてもらっていますけど。

ーー聴きたい曲を投票するとき、コメントも書けるようになっているじゃないですか。おもしろいコメントってありました?

Yohey:「この曲でNewspeakに出会いました」とか、「この曲に辛いとき助けてもらいました」とか、最初に選ぶ曲はやっぱりそういう曲が多いんだなとコメントを読んで思いました。

Rei:そういうコメント、たくさんあったね。おもしろいというか、なんかうれしい。めちゃめちゃうれしいコメントがいっぱいありますね。

ーーところで、そもそもなぜセットリスト投票型のライブをやろうと思ったんでしょうか?

Rei:せっかくだからいろいろな人を、昔のお客さんも最近のお客さんも巻き込めるようなライブにしたいなと。ちょうど曲をたくさん作ってアルバムを出した後だったから、どういう曲を作っていいのかわからなくなっていた時期ではあって。それで、これまでのレパートリーの、どんなところがお客さんの琴線に触れたのか、1回、知ることができたらおもしろいなとふと思って、提案してみたらおもしろいねと。

Steven:そうだね。Reiのアイデアだったね。すぐ賛成しました。

Rei:別に新しいことではないし、いろいろなバンドがやっていると思うんですけど、僕らとしてはタイミングとして、1回、お客さんの意見を聞いてみてもいいんじゃないかって。もちろん、それがそのまま今後の曲作りに反映されるってわけではないんですけど、インスピレーションになって、何かまた違う、新しいものができるキッカケにはなるだろうなって。

Steven:僕もね、お客さんの意見がずっと気になっていたんです。セットリストはいつも3人で作るんですけど、やりたい曲がそれぞれ違うんですよ。もう1曲加えるならこれでしょうっていうのもバラバラで。それはそれでいいけど、お客さんに任せてみたら、どんなセットリストになるのかずっと気になっていたから、今回、お客さんが実際に聴きたいと思う曲をもとに僕らがセットリストを組むので、楽しみです。

Yohey:単純に1位から順番に上位の曲が並んでいるセットリストにはならないと思います。

Rei:今回、好きな曲ではなくて、ライブで聴きたい曲の投票だから、ライブでどういう曲が聴きたいのかが可視化されるから、これからどういうバンドになっていくのかというタイミングで知ることができるのは、Stevenの言う通りすごくいい機会なんじゃないかな。

Yohey(Ba)

Yohey(Ba)

ーーもうちょっと投票の途中経過の印象を聞かせてほしいんですけど、思っていたよりも人気だった曲はありましたか?

Rei:僕はやっぱり「See You Again」かな。個人的には、こんなすごい曲ができたってめっちゃテンションが上がったんですけど、発表したら、思っていたほど話題にならなくて。ライブの定番曲になるくらいパワーがあると思ってたんだけどなと思いながら、じっくり聴かせるバラードだからライブでもやらなくなったんですけど、忘れられてるのかなって思ってたら、今回、みんなめちゃめちゃ憶えていて、投票してくれる人も多かったからうれしかったですね。

Yohey:僕は「Hear It Out」かな。

Rei:そうだね。それも意外だったね。

Yohey:2ndアルバムの『Turn』に入っていた曲なんですけど。

ーーシンセオリエンテッドな軽快なポップナンバーですね。

Yohey:ちょっとドープさもありつつ、日本的なフレージングも入っていて、あ、これなんだ。けっこう(投票数が)多いなみたいな(笑)。

Rei:「Let Down」も人気だったよね。

ーーミニアルバムの『Out Of The Shrinking Habitat』収録の浮遊感のあるポップナンバーですね。

Rei:逆に「Firelight」は僕が弾き語りしたのを投票期間中に投稿して後押ししてみたんですけど、特に効果はなかった(苦笑)。あの曲、大好きなんですけどね。

ーー『No Man’s Empire』収録の、僕はガレージィなダンス・ロック・ナンバーという印象がありますが。

Yohey:Newspeak渾身の1曲なのに。

Rei:たぶんNewspeakのコアな部分が一番出てるんじゃないかな。

ーー4月29日(火祝)はきっと親密なライブになると思うんですけど、どんなライブにしたいですか?

Rei:もしかすると回顧的なライブに思われちゃうのかなという気もしてるんですけど、僕らとしては次に向かうためのものというか、次があるからできるというか。昔のお客さんも、一番新しいアルバム(『Newspeak』)で知ってくれた人もひっくるめて、次のステージというか、新しいところに行きましょうっていうパーティーだと思っていて。新しいお客さんもきっと楽しめるライブになると思うんですよ。Newspeakのライブで聴くベスト選曲を見られるんだから。そういう意味では、新しいお客さんにこそ来てほしいかもしれない。だから、回顧的なイベントじゃないっていうのは声を大にして主張したいというか、次に行くためにベストなライブを1回やるんです、ということを伝えたいです。

ーーなるほど。次のステージに行くためのライブという話が出ましたが、昨年の12月8日に開催したアルバムのリリースツアーのツアーファイナルで一区切りという気持ちもあったのかなとちょっと想像したんですけど。

Steven:Reiは忙しかったよね。

Rei:そうですね。ツアーが終わってすぐに新曲を書き出したから、一区切りというか、次、何しようとか、次、バンドとしてどう動いていこうかみたいになってましたけど。

ーーそのタイミングで今回のライブのアイデアも出てきたと思うんですけど、改めて3人で今後のことについて話し合って、何かしら答えが出たのかとか、それぞれに考えたことがあったのかとか、そこはどうだったんでしょうか?

Rei:実は去年の夏ぐらいには次のリリースがもう決まっていたので、それを軸にしつつ、プラスαでどうやっていこうかってことなんですけど、基本、音楽的にどうしようかみたいな話はしないというか、曲を作っていく中で、毎回、見つけていくので。

Yohey:音楽的な話はさておきですけど、去年の年末ぐらいから作っているものに対しては、誠心誠意作っているし、絶対刺さるはずだって僕らは思っているんです。けど、それをどう届けるかっていうマインドをもっと強くしていかなきゃなという意味では、たぶん、そこに1個のピリオドはあって。そこからさらに、もっともっとっていう話は、レーベル、事務所も含め話をしていて、今回のセットリスト投票型のライブも、そういう気持ちの表れの1つだと思うし、ライブをキッカケにファンになってくれる人が増えてくれたらいいと思うし。結局、バンドってお客さんがいないと成り立たないじゃないですか。そのお客さんも一緒にNewspeakを作ってるんだよ、というところを、どんどん外にアピールしていけたらいいなという考えは、去年の年末ぐらいからより強く思うようにはなってきていますね。

ーーなるほど。せっかくなので、去年の年末から進めている曲作りも含め、バンドの近況についても聞かせてほしいんですけど、年始に25曲ぐらい新曲をチームに聴かせたそうですね。ということは、ものすごくたくさん曲を作ったわけですよね?

Rei:はい。ものすごく作りました。

ーーどんな曲ができましたか?

Rei:いろいろなタイプの曲を作りましたね。去年の9月、10月、11月って全然、曲が書けなくなっちゃったというか、作っているのにどれもダメだみたいなモードに入っちゃっていて、とりあえずダメでも作ってみようと。ダメだから作ることをやめるんじゃなくて、ダメだと思っても、1曲1曲ちゃんと形にしてみようってあんまり考えずに作ってみたら、めっちゃいいと思えるものもいっぱいできてきて。そこから曲を選んで、どういうアレンジにしていくのかみたいな話が年始にやっとできたんですよ。

ーーその25曲は完成しているんですか?

Rei:いやいや、完成していないです。デモとしてはある程度できあがっていますけど、これからみんなでアレンジしていこうって段階です。

ーー25曲を聴いていかがでしたか?

Steven:Reiはいつもいい曲を書きますよ。だから、一緒にバンドやっているんですけど、Newspeakにはいろいろなサウンドがあるじゃないですか。だから、インディ・ロックのアルバムを作ろうよとなっても、作れるぐらいの曲があるし、ダンサブルなアルバムを作ろうよとなっても作れるぐらいの曲があるし。もちろん、出せる曲は限られちゃうけど、いろいろな曲があって、その全曲が使えるのはすごいと思う。新しい曲を聴かせてもらうとき、僕はいつもまずお客さんになるんですよ。

Rei:お客さんになってるかな。

Steven:なってるよ。

Rei:最初から、「どう壊してやろうか、この曲を」って思ってない?(笑)

Steven:それはすごくイヤなお客さん。

Yohey:初めて聴いて、サビが来る前に止めて、「これはね」って。

Steven:ハハハ。

Rei:いや、まず聴けよ、最後まで(笑)。

Steven:でも、最初に一人で聴く時は、お客さんの耳で、いいねって聴いてるよ。

Yohey:実際、全曲いい曲なんです。けど、やっぱり全曲はリリースできないというか、その中から選ばなきゃいけないから、難しいんですよ。

Rei:でも、メンタルヘルスとしては、すごくよかったというか。今回、お客さんがどんな曲を聴きたいか見えてきましたけど、やっぱり1曲1曲アウトプットして、メンバーにも聴いてもらって、「まだまだいろいろな曲を作るんだ」って中から、みんなに響きそうな曲がやっぱりシングルになるじゃないですか。もちろん、そういう曲だって誰かに作らされたわけじゃなくて、作りたいと思って作った曲の中からみんなで選んでいるんですけど、だからって、そういう曲ばかり作って、「もうそれしか作らないんだ」と思われるのもイヤだし。俺自身、そういう人にはなりたくないというか、シングルっぽい曲も好きだし、アルバム曲っぽい曲も好きだし、やっぱりいろいろな曲を作っていかないとと思っているんです。逆に、ずっとシングルっぽい曲だけ作っていたら、ミュージシャンやバンドってできないと思うんですよね。だから、シングルにはならない、アルバムの終わりのほうに入っていて、あまりみんなには聴かれないような曲も大事だということは、今回、いろいろな曲を作っていて楽しかったし、そのほうが安心できたことで改めて思いました。ただ、アウトプットするのは大事だけど、25曲もいっぺんに出さないほうがいいとは思いました。みんなが混乱しちゃうから(苦笑)。

Yohey:いや、混乱はしていないけど、やっぱり意見が割れちゃうんですよね。

Rei:曲がいっぱいできたから、みんなで好きだと思う曲を選んでいこうってなっても、もうバラバラみたいな。だから、みんなに聴かせる時は、もっと絞ろうと思いました。次から5曲ずつぐらいにします。

ーーその25曲には歌詞は付いているんですか?

Rei:付いてないです。以前は仮歌詞ぐらいは考えてましたけど、考えないようにしました。適当な歌詞が付いているより、何もないほうがいいんですよ。歌詞を付けちゃうと、それ以外の歌詞に変えたとき、なんか気持ち悪くなっちゃう。

Yohey:ばっちりなリズムの歌詞が付いているとなおさらね。

Rei:本当は、いい歌詞のはずなのに仮歌詞の印象が残りすぎちゃって、はまってないように感じるんですよ。だから、付けないほうが後からどんな歌詞を入れても、英語でも日本語でも成り立つんですよ。場合によっては、「Be Nothing」のように絶対この歌詞でなきゃって曲もあるけど、そうじゃない限りは基本的には、今のやり方がベストなのかな。

Yohey:僕らも歌詞が付いていないほうが、この曲、日本語がいいんじゃないかみたいなアイデアを出しやすいですよね。あと、この曲とこの曲、くっつけちゃおうってとき、歌詞が付いてないほうがやりやすいんです。

Rei:そうなんですよ。それこそ歌詞が付いているとくっつけられない。

ーーなるほど。

Rei:テンポが近い曲同士をがっちゃんこで合わせて、めっちゃおもしろくなることがけっこうあって。歌詞がないと平気で一つにできるし、2曲のサビを入れ替えても全然違和感がないというか、繋がるんですよね。それもすごくいいなと思いました。でも、それは曲をたくさん作ったからこそできることなんですけど、今作っている曲がまさに、そのがっちゃんこの曲で。それはけっこう新しい発見だったかもしれないです。

ーーセットリスト投票型ライブをはじめ、Newspeakの今後が楽しみになるお話をいろいろ聞かせてもらいましたが、最後に4月29日(火祝)のライブの意気込みを聞かせてください。

Rei:絶対楽しいと思います。みんなも、俺らも。

Steven:長いことやっていない曲もやると思うから、いい演奏ができますように!(笑)。

Rei:そこも含め、おもしろいんじゃない? 別にミスっても。

Steven:I think so! 

Yohey:いや、俺達はプロだから。

Rei:うん、そこはちゃんとやろう。

Steven:そんなことにはならないようにがんばりましょう。

取材・文=山口智男 撮影=Ryotaro Kawashima


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