DaPlanet(Vo)
セブンではなくてセベン。一度覚えたら忘れないバンド名、笑顔しかないメンバー写真、ジャズやソウルやロックや歌謡曲をJ-POPに昇華したキャッチーな楽曲、そして見る者すべてをハッピー・グルーヴの渦に巻き込むライブ。それがラッキーセベン。
大阪、梅田、路上発。音楽を生きがいにする6人が出会い、歩んできた道のりの集大成。4月23日リリースのファースト・アルバム『ぼくらのまま』は、スマッシュ・ヒット「ぼくらのまま」「会いたい」など既発曲の再録音に、新曲を加えた集大成的自己紹介作だ。知らない人はここから知ろう。見た目も歌もオリジナリティ溢れるボーカリスト・DaPlanetに、ラッキーセベンとはどんなバンドか?を根掘り葉掘り聞いてみよう。
――とりあえず、どの写真を見てもみんな、めちゃめちゃ笑ってるじゃないですか。
そうですね。賑やかそうでアホそうな奴らがおるなっていう感じは、すごいあると思います(笑)。
――「この中に入りたい」っていうのが第一印象です。絶対楽しいだろうって思うので。
それが第一印象として飛んでいってるのは、嬉しいっすね。たぶん僕単体で見ると、バンドの雰囲気にパッと見そぐわないというか、一人だけ持ってるカラー感がちょっと違うというか(笑)。それが僕のスタイルなんですけど、ラッキーセベンに入ったことは、僕自身も音楽的なスタイルが変わったきっかけでもあるあるんで。
――そこ、詳しく聞かせてください。
僕は元々、日本語の歌を歌うつもりがなくて、海外に行こうと思ってたんですよ。そのタイミングでコロナになって、どうしようかと思ってる時に「大阪で面白いセッション・バーがあるらしいよ」みたいな話を聞いて、行ったら、そこでドラムのゆうしゅんとベースの篤生と出会って。ゆうしゅんはドラムを始めて3、4か月でセッションに来てて、「こいつ根性あるな」と。エイトビートしか叩けないのに。
――それは根性ある(笑)。
「こいつ、何か秘めてるものがありそうやな」みたいな。僕自身、J-POPをバンドとしてやるなんて思いもしてなくて、でもゆうしゅんと初めて会った時に「俺ら、いつかバンドやりそうやな」みたいな話をちょろっとしていて。そこからから2、3年の時を経て、実際バンドを組むみたいな。
――ドラマですねぇ。
ゆうしゅんも、海外に行って帰ってきたところだったんですよ。コロナがきっかけで。だからコロナがなかったら、たぶん出会ってなかったんだろうなって思います。これも縁やなって思います。
――そのセッション・バーって面白いですね。始めて3、4か月のドラマーもステージに上がれちゃう。
ゆうしゅんにはジャズ・ドラマーの師匠がいて、その人が「ステージに行ってガンガンやってこい」っていう感じだったみたいです。そのバーでセッションを開いてるグループがいて、その人たちと演奏したいっていうミュージシャンがこぞって集まる感じなんですけど。
――オープンマイクですね。いわゆる。
そんな感じです。僕もそのグループの人に話しかけられて、「なんかやってはるんですか」「特になんもやってないですけど、歌ぐらいやったら歌います」「ほんなら歌ってや」みたいなんで、歌ってたら、最前列で飛び跳ねてたのがゆうしゅんでした。なんか、歌が良かったみたいで。
――いい雰囲気。東京にはあんまりない場所かも。
ゆうしゅんも、師匠が言うから出たっていうところはあったみたいですけど。ドラマーとしてすごい人なんで。橋本現輝さんって言うんですけど、上原ひろみさんと一緒にやってたり、『BLUE GIANT』の映画に参加されたミュージシャンと同世代の仲良しみたいな感じで。なんか結構、思ってるよりすごい人が周りにいますね、そう考えると。
――みなさん師匠がいるんですかね。
そうなんですよ。なんか面白いっすよね。そこに、何者でもない僕が加わってるのが(笑)。
――そんなことないですけど。あなたに師匠はいないのですか。
僕はいないっすね。よく聴いてたっていう意味で、海外の名だたるミュージシャンたちが、たぶん師匠に当たるんでしょうけど。ネオソウルが好きで、ディアンジェロ、エリカ・バドゥとか、特にボーカリストとして一番のきっかけはアリシア・キーズかな。父がアリシアのライブDVDを、幼稚園か小1ぐらいの時に買ってきて、それを見た時に今まで感じたことのない感動を覚えて、「何これ、すげぇ!」ってなってから、虜になってます。基本、ずっとそこで育ってきてますね。
――なるほど。でもあれですよね、R&Bっぽいフェイクを入れるとか、ソウルフルに歌い上げるとか、そういうタイプじゃないですよね。飾らない、ストレートに生の声を聴かせるタイプというか。
歌唱自慢の感じが、あんまり好きではないので。たぶん今のJ-POP界隈というか、日本の歌い手の現状で、ロー・ボイスの出方がいい人って、あんまりいない印象があるんですよ。ハイトーンを聴かせる人は多いですけど、それって声に魅力があるとはまたちょっと違う気がしてて。僕はソウル味がある歌い方をしたいから、憧れの対象がそっち側やったから、こうなったみたいな感じです。
――で、ラッキーセベンの曲にはJ-POPの要素もあるから、自然にこうなったと。
そうですね。
DaPlanet(Vo)
――化学反応ですね。このバンドじゃなきゃこの歌にはならなかったかもしれない。
今考えても、普通に生活してたら、交わってこなかった子たちなので。今バンドやって、みんな仲良くやってんのって、なんかすごいなって自分でも思いますね。人生ってほんまに何があるかわからんなと思います。
――何だと思います? 6人を結びつけてるものって。音楽性なのか、人間性なのか、共通の目標があるからなのか。
たぶん芯にあるのは、「日本の音楽業界をひっくり返そう」だと思います。メンバーみんながっていうわけじゃないかもですけど、音楽が商業的であることを、僕はすごい好まないんで。もっと芸術的であってほしいし。バンドだからって、結局注目されるのはボーカリストだけみたいなのも、音楽が好きな人間として腑に落ちない部分があって。それぞれのピースがあってボーカリストは生きるもんやし、ラッキーセベンっていうものは、みんなが顔として、ソロでもその人に焦点が当たるようにしてるんですね。
――ですね。
もちろん売れたいけど、売れりゃなんでもいいわけじゃなくて。売れてから言えっていう話かもしれないですけど、商業的な音楽の出来方が嫌いなんで、このままのやり方で、上り詰めるところまで上り詰めて、「音楽ってこういうもんだよ」って言いたいです。音を楽しむって書いて音楽である通り、もっと自由に楽しんだらいいんじゃない?っていうことを、世の中に提示できたらいいんかなって思ってます。
――じゃあ、あれだ、今年フジロックに来るヴルフペックとか、たぶん好きでしょう。
好きです。今年のフジロックはヤバいですね。山下達郎さんも出るし、エズラ・コレクティヴも出る。俺ら、何で呼ばれてないん?(笑) 呼んでくれよー(笑)。
――まだ間に合いますよ。ここからここから。
でも、いいっすよね。ヴルフペックとか見てると、夢あるなーって思います。ライブ見てても、お客さんが死ぬほど楽しそうで。本人たちが楽しそうなんが、一番でかいと思うんですけど。
――ラッキーセベンが目指すのも、そこじゃないですか。インディーで、DIYで、頂点を目指す。
そうですね。まず自分たちが、全力で音楽をすることを第一においてライブをするというか、お客さんも含めてみんなで一緒に音楽を作っていけたらいいなと思います。ひとくくりにしたら良くないですけど、日本のミュージシャンって、クールを気取ってやったりする人が多いじゃないですか。でもうちのギターとか、ほんまにアヘ顔みたいなんとか、大衆の前で晒しまくってるんで。
――ギターのゆうとさんは、どの写真を見てもいい顔してる(笑)。求められることをわかってる。
たとえばジョン・メイヤーとか、白目むきながらギター弾いてたりとか、楽器に対して真摯に向き合う姿勢がすごいじゃないですか。ラッキーセベンのメンバーは、入口がジャズとかソウルとかだったからこそ、ポップスの人らにはあんまりないスタイルになってるのかな?っていうのは思います。海外の音楽をやってる人たちは、ドラム叩きながらめっちゃニコニコしてるとか、自然にそういうのをやっていて、そういうのがいいなって僕は思いますね。
――ゆうとさんのギターソロとか、これは白目むいて弾いてるなって、音源で聴いてもわかりますね(笑)。「YADA」のソロとか、めちゃくちゃブルージーでかっこいい。
この若さでって考えたら恐ろしいですね(笑)。ゆうとのギター、こいつはすげぇわって思います。説得力があって、こだわりも詰まってるから。嬉しいですね、こういう奴と一緒に音楽やれてることが。ゆうとは、自分の好きなギタリストがはっきりあるけど、だんだんとポップスのギタリストとしてアジャストしていってる感じはありますね。耳に残るキャッチーなフレーズを弾くのが、すごい上手やなって思います。
――せっかくだから、メンバー全員褒めちゃいましょうよ。サックスのフォニファイ康平さんは?
康平も、ゆうしゅんと同じぐらいの時期にサックスを始めてるんですよ。二人は淡路島で高校の同級生で、シンプルに仲が良くて。康平がサックスを始めたきっかけは『BLUE GIANT』なんですけど、ゆうしゅんと一緒に楽器屋さんにサックスを見に行って、試奏してた人にゆうしゅんが声かけたらしいんですよ。そこで「今日セッションがあるから来ない?」って言われて、ジャズのセッションを見に行ったのが、二人が音楽を始めるきっかけになったらしいです。二人ともサックスをやりたかったみたいですけど、ゆうしゅんはドラムの人を見て「かっこいい」と思って、いい師匠がいるからって紹介してもらったのが、橋本現輝さん。
――なるほど。
康平は、言ってしまえばまだまだなんですよね。吹奏楽とかで基礎を叩き込まれる瞬間を過ごしてないんで。アンブシュア(口の周りの筋肉の使い方)から始まってるんで。でもだいぶ変わりました。ラッキーセベンをやるってなった時に、サックスが康平でいいのか?みたいな話は何回も出てて、みんな本気で音楽が好きやからこそ、いいプレイヤーじゃないとっていうところもあったんですけど、「お前が死ぬ気で頑張ったらそれでいい」みたいなことで、必死に頑張ってくれて、今も頑張ってます。だから初期の頃に比べると、びっくりするぐらい良くなってますね。一番成長を感じるのは康平です。
DaPlanet(Vo)
――アルバムのラスト、「東京」のサックスソロ、最高ですよ。
ゆうしゅんは、テクニシャンじゃないんですけど、ただただエイトビートをずっと刻む、グルーヴの良さがピカイチで。そこに関しては「俺はお前にはかなわへん」って師匠が言ってるぐらいで。僕がゆうしゅんに対してすごい魅力やなって思うのが、彼の人間性がドラムに乗っかってるというか、ブルーハーツが好きで、パンクとかロックンロールが大好きで、小手先じゃないところでドラムと向き合ってるがゆえに、聴いてて泣きそうなる時があるんですよね。
――そうか。パンク好きだから、「まほうびん」みたいな曲がよく似合うのか。
そうですね。「まほうびん」は、ゆうしゅんが初めて書いた曲です。ゆうしゅんが友達の結婚式に行って、その光景が「美しすぎて言葉にできひんわ」みたいな話をネギにしたら、「もうそれ、曲やん」って言われて、「まほうびん」ができたっていう。ちょっとロマンチックですよね。
――ゆうしゅんさんも、曲を書くんですね。
そうです。このアルバムで言うと、「it’s time of LUCKY SEBEN」「たまらず踊り出す」「Hey You」「どんとこい」「Goodな夜を」「まほうびん」「笑えてくるよな」ですね。それはゆうしゅんが書いてます。
――ネギさん曲とうまく馴染んでます。
ファーストEPが出た時は、ネギしか曲を書けなかったんですけど、ゆうしゅんが「曲を書きたい」ってなって、ネギと一緒に時間を過ごして、書けるようになったので。作曲の仕方も、ギターとベースと僕とサックスで楽曲の雰囲気を作って、そこに合いそうな詞を書いてくるわって、書いてきてくれたり、いろんな形で音楽を生み出そうとしてます。楽しいですね、制作をやってる時は。
――素晴らしい。ベースの篤生さんは?
篤生は、初めて見た時にうますぎて衝撃やったんすよ。びっくりしました。海外のR&Bとか、ベースに重きを置かれてることが多くて、色気がすごいんですよ。そういうのが好きだったから、初めて行ったセッションで篤生が弾いてるのを見て、年下なのにこんなやつおるん?みたいな、なんか気持ち悪かったんですよね(笑)。その時たぶん21歳とかで、そういうベースを弾きそうな雰囲気も持ってないのに、誰よりも音に対するフィーリングとか、グルーヴとかリズムの良さが抜けてたんですよね。一番最初に衝撃やったのは篤生です。
――素敵なメンバー。今はこの6人で、「ポップスをやる」「歌ものをやる」ということでまとまっているわけですか。
そうですね。結局歌ものなんで、そこはブレたらダメやなって思ってます。ただ僕自身は、楽器に対するリスペクトがでかいがゆえに、「しょせん歌」って思ってるんですけどね。でもバンドとして勝負するなら、やっぱり歌にフォーカスを当てて楽曲制作していかないとなっていうのは、みんなで話します。個人的には、日本語と英語はリズムが全然違うんで、日本語のグルーヴを掴むのが最初はめっちゃ難しかったです。でもその中で「YADA」だけは得意やったんですよ。
DaPlanet(Vo)
――「YADA」は、バンドを組んで最初のオリジナル曲ですよね。
そうです。スタジオでみんなで初めて集まった時に、「とりあえずセッションしようか」って、アリシア・キーズの「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」をやって。その帰り道にネギからみんなにLINEが届いて、「曲できた」って。「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」のコードの感じとかを使ってできたのが「YADA」です。1曲目がこれっていうのも、すごいですよね。
――激シブですよ。若いのにこんなのやる?みたいな。
たぶん、ネギから見た僕たちの色がこれだったんだろうなっていうのも思いますし、「YADA」はハチロク(6/8拍子)のリズムで、日本の音楽にはあまりないリズムのイメージなんですけど、僕としては馴染みがあったんで、入り口としてはめっちゃ入りやすかったんですね。でも「Something」とかは、めっちゃ難しかった。アップテンポの、日本語がぎゅってなってる感じがあって、「もうちょっと伸び伸びしたほうが良くない?」みたいな。日本語の歌詞って、詰め込まれてるイメージがすごいあって、ちゃんと言わなあかんし、「なんか忙しい」って感じがします(笑)。
――そこから3年近く時間を過ごして、シングルも出して、EPも3枚出して。そこから厳選した曲に、新曲を加えたファースト・アルバムが『ぼくらのまま』。結成以降の楽曲の、集大成っていう感じですか。
そうですね。やし、バンド自体もレベルが上がってるから、全部入れるなら録り直したいっていうのがあって、去年の10月にリリースされた曲以外は全部録り直してます。アルバムで出すってなったら「もっと良くできるやろ」って。
――どんなファースト・アルバムですか。手応えは?
3年ぐらいの月日をみんなで過ごして、元々のルーツが全然違う中で、それがポップスとしてうまく昇華されてるのが、たぶんこのファースト・アルバムなんじゃないんかな?とは思います。いろんなカラーの楽曲があって、ひとくくりにできないぐらい幅がすごいと思うんで。
――青春パンクもあれば、スカもあれば。
ポップスもあってファンクもあって。
――バラードっぽいのもあれば。
歌謡曲みたいなんもあるし。そういうのをうまい具合に、ラッキーセベンの色としてJ-POPに昇華できたのが、このファースト・アルバムじゃないんかな?っていう、そういう意味でも現段階では集大成ですね。どれが好きでした?
――うん? えっと、この紙資料にマルを付けちゃったけど(笑)。「会いたい」「Goodな夜を」「笑えてくるよな」「東京」とか。
ああー。はいはい。
――恋愛曲が好きですね。歌詞がすごくリアルで沁みるんで。
「笑えてくるよな」と「東京」にマルが付いてるの、めっちゃ嬉しいっす。裏側の話なんですけど、新曲3曲のうちのリード曲が「Doki Doki」なんですね。ただ個人的に、ラッキーセベンを内側から見ると、「笑えてくるよな」がめっちゃ僕ららしいカラーで、いいふうに昇華できてるなっていうのがあるんですけど、たぶん今のお客さんの客層から見たラッキーセベンは「Doki Doki」なんですよね。
――もちろん「Doki Doki」もいいですよ。好き。
ただ僕らの感覚的には、「笑えてくるよな」とか「東京」をプッシュしたいぐらいなんですよね。いや、ちょっとこれみんなに言っときます。みんな喜ぶと思うんで。
――言っといてください(笑)。「笑えてくるよな」が好きなライターがいたぞって。
「Goodな夜を」は、ゆうしゅんが喜ぶと思います。
――「Goodな夜を」は詞とメロディのハマリが絶妙なんですよね。すごくキャッチー。
喜びますよ。ネギが書いた「会いたい」とかも、やっぱすごいですけどね、こんな曲書かれへんわって思います。ネギの才能は、「ぼくらのまま」とかもそうですし、いろんな曲にあるんですけど、でもやっぱ「会いたい」の、♪心も体もズタボロさって、あんなんどないして書いてんやろ?って。ほんまにすごい。
――ブルースとかソウルには、情けない男心をさらけだす歌って、けっこうあるけれど。それを日本語でやると、ちょっと難しいじゃないですか。
うん、だからそれをポップスに昇華してんのが面白いなって思います。
――シュウタネギさんってどんな人ですか。去年の暮れに、ライブ活動からは退くことを正式に表明して、今後はソングライターとしてバンドに関わることになりましたけど。
めっちゃ変な奴です(笑)。バンドやりたいからって、学校行ってなくて、大学を8回生ぐらいまで行ってたし。たぶん、気分で生きてる人だとは思うんですけど、今回、一旦ステージを降りるっていう決断をしたのも、前からそういう感じやったみたいなんですよね。昔からネギのことを知ってる人たちと、この間対バンがあって、「ネギちゃん元気なん?」って言われて、今回こういうことになりましたって言ったら、「ネギちゃん相変わらずやな」みたいな感じやったから(笑)。
――マイペース。自分の感覚で人生の選択をする男ですかね。
一般的価値観で言う常識みたいなものが、まるで通用しない人間なんで。
――ある意味強い人。
そうですね。たぶん自分の世界で生きてるんやと思うんですけど。一言で言うのはなかなか難しいです。妖精みたいな生き物なんで。
――妖精(笑)。彼の何がすごいですか。詞ですか、メロディですか。
どっちもですね。難しいことは全然しないんですけど、彼自身、歌謡曲とかがすごい好きなんで、昔懐かしさみたいなのがメロディに詰め込まれてたり。歌謡曲の時代って、日本の音楽業界がすごい頑張ってたイメージがあるんですよね。
――というと?
歌謡曲とか、そのあとのシティポップとか。それこそ山下達郎さんとかも、海外の音楽に影響を受けて、もちろん表立って聴こえてくるのは歌なんですけど、楽曲的にすごい凝ったことをしていて、そういう昔の音楽を聴いた時に「こんなことやってたんや」って思うんで。そういう昔の懐かしさみたいなのが、たぶん彼の作るメロディのおいしさやったりするんじゃないんかな?とは思いますね。
DaPlanet(Vo)
――去年の1月でしたっけ、「関ジャム完全燃SHOW」(現「EIGHT-JAM」)で「ぼくらのまま」が取り上げられて話題になって。そこでラッキーセベンを知った人も、その後のフェスとかで知った人もいて、さらにこのファースト・アルバムで初めて知る人も、きっと多いと思うので。いろんな人に届けたいですか。
いろんな人に届いてほしいなと思います。まだまだ日本の音楽、腐ってないぞと言いたいですね。
――そして、ライブに来てほしい。
そうですね。僕らは絶対、ライブに来るのが正解なバンドやと思うんで。もちろん音源映えする楽曲もあるとは思うんですけど、やっぱりライブっすね。みんなの表情だったり、ステージで音楽を通して生きてることを、実感しながらやってるんで。こっちが全力で楽しめば、見てて楽しいやろうし、聴いてても楽しいと思えるバンドなんじゃないんかな?って、自分で言うのは気持ち悪いんですけど、そう思いますね。やっぱりライブにすごいおいしさがあると思うんで、ぜひ皆さんには、ライブハウスにお越しいただけたらなと思います。
――あれ、何の歌詞でしたっけ。♪僕たちの、音楽で、あなたを笑顔にしたいだけ。「どんとこい」か。やっぱりそれじゃないですか、ラッキーセベンの本質って。
あの歌詞を考えるのにみんなで話し合いました。最後はゆうしゅんが「僕たちの音楽であなたを笑顔にしたいだけ」というワードを閃いて、めちゃくちゃいいやんと! やっぱ音楽って、みんなに対して届けようとしてやるもんじゃないというか、規模が大きかろうがちっちゃかろうが、一人に対して届けようとするものが全部に広がっていくイメージがあるので、「あなたを」というワードが聴いてる本人に刺さるやろうしって、この歌詞になりました。
――すごく象徴的な一行ですよ。
最初にできた時、爆笑しました。三三七拍子で、♪僕たちの、音楽で、あなたを笑顔にしたいだけ!って(笑)。初めてライブでやる時にも、面白さみたいなのはすごい感じてましたよ。「これを全力でやってんの、めっちゃアホやん俺ら」みたいな(笑)。
――そこがいいんです。
そう。それで刺さってる人も、たぶんいると思うんで。
――アルバムの中には、ほかにもいい歌詞、いいメロディ、いい演奏、いっぱいあるんで。みなさん、お好きな曲をぜひ。
どれか1曲は、絶対刺さる曲があると思います。
――アルバムを出して、このあとはツアーですか。
そうです。今までよりもいっぱい回るので、ぜひ来てほしいです。
――今日はありがとうございました。でも、あれですね、こんなにメンバーのことを好き好きって言ってるインタビューって、珍しいかもしれない(笑)。
そうですか(笑)。でもほんま、死ぬほど仲いいですね。結成してからずっとこんな感じなんですけど、「昔からの知り合いじゃないの?」ってすごい言われます。そういうふうに映ってるのは、めっちゃ嬉しいですね。僕らは仲良くてふざけ合ってるだけなんですけど、でも、そうですね、それぞれがメンバーに対して愛みたいなものを、人間として持ってる人たちが集まってるがゆえに、そういう雰囲気が出てるんかな?と思います。
取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希
DaPlanet(Vo)
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