撮影=浜村晴奈
『喫茶店の日2025』2025.4.13(SUN)大阪・梅田Shangri-La
帝国喫茶が、4月13日(日)に自主企画『喫茶店の日2025』を大阪・梅田Shangri-Laで開催した。日本で初めて喫茶店が開業したことから”喫茶店の日”と制定されている4月13日。バンド名にちなんで、一昨年・昨年に引き続く3回目のライブイベント実施となった。
入場者全員にはオリジナルのドリップコーヒーとコースターも配布された。イラストは、帝国喫茶のアートワークを担当するアクリ(Gt)が今回のイベントのために書き下ろしたもの。会場エントランスでは、アクリが手掛けてきたアートワークや、今回のために描き下ろしたトーストをテーマにしたイラストの展示会も。また、メンバー全員で考えたオリジナルドリンク「ミックスジュース」も販売された。
内容は2部構成になっており、第1部は、去年同様にFM802『EVENING TAP』(週月曜~木曜・18:00〜21:00)とのコラボ企画で、番組DJの田中乃絵が司会進行を務め、出張ラジオと題したラジオ生放送モチーフのトークライブが催された。メンバーの杉浦祐輝(Gt.Vo)・疋田耀(Ba)・杉崎拓斗(Dr)・アクリとミックスジュースを飲みながらトークを行なう。
その中では、3月にリリースされたニューアルバム『帝国喫茶Ⅲストーリー・オブ・マイ・ライト』から杉浦・疋田・杉崎が自身の作詞作曲する楽曲を弾き語りで披露するコーナーも。弾き語り一番手は杉浦。杉浦が「会いたいんだよ」を原曲よりもスローアレンジで観客に語りかけるように歌う。流石ボーカリストというだけある圧巻の弾き語り。そして、事前に観客から募った質問に答えるコーナーも。杉崎の髪型についてや、メンバーお気に入りの喫茶店についてなどリラックスした雰囲気で話していく。
また今年は例年には無かった目玉企画として、『喫茶店の日2025』のためにオリジナル曲を披露することに。まずは杉崎が作詞作曲した「帝国喫茶でまちあわせ」の歌詞が舞台後方のスクリーンに映し出される。制作秘話も語られて、その杉崎が弾き語り2番手として、「なんとなく」を歌う。ボブ・ディランの如く首からホルダーで装着したハーモニカを吹きながら、アコギで弾き語った。
再びの質問コーナーでは、どのバンドやグループにも新メンバーとして加入ができるならばという夢がある質問が投げられる。メンバーそれぞれ真剣に答えていき、再び『喫茶店の日2025』限定のオリジナル曲「今ここにだけ咲いた花」について作詞作曲の疋田からスクリーンに映し出された歌詞をもとに制作秘話が明かされた。そして弾き語り3番手として「光を迎えに行こう」が歌われる。アルバム1曲目を飾り、「いっせーので!」という歌い出しが印象的なナンバー。
例年にはなかった目玉企画第2弾としては、事前に観客皆様から募ったカバー曲を第2部のバンド編成ライブで披露されることに。例年はメンバー選曲のカバー曲だったが、今年は観客リクエスト。それだけにメンバーだけでは考えつかないようなリクエスト曲もあったと発表される。
第1部も終わりが見えかけたところで、昨年その場にいた全員の度肝を抜いたアクリによるカラオケが今年も歌われることに! あいみょん「夢追いベンガル」が熱唱されるが、まさかの終盤では田中が乱入して、ふたりで大熱唱! ふたりは第1部の終わりを告げて、颯爽と舞台袖へと去っていく。呆気に取られる観客とメンバー3人だったが、大満足と言って間違いではない約1時間の第1部であった。
10分の休憩を挟み、第2部へ。1曲目は先程、歌詞をもとに杉崎から曲説明が行われたイベントオリジナル曲「帝国喫茶でまちあわせ」。可愛らしいショートナンバーで、帝国喫茶と観客たちが待ち合わせをして、今日出逢ったという雰囲気も感じられたバンド編成のライブ幕開けにふさわしい素敵な楽曲。2曲目も杉崎の作詞作曲で、人気曲である「貴方日和」へ。続いては杉浦作詞作曲で<会いたいよ>という歌いかけから始まる「ノースポール」。弾き語りでの「会いたいんだよ」もそうだが、杉浦の楽曲は多くの人へ会いたいという気持ちが込められている。
ニューアルバムからも疋田の作詞作曲「ひとりぼっちの幸せな空へ」・杉崎の作詞作曲「ハル」なども歌われて、この日限定のオリジナル曲「今ここにだけ咲いた花へ」。杉浦が「めっちゃ好きで!」と言うだけのこともあり、初めて観客の前で歌われるのに、杉浦の歌声が楽曲に気持ち良く乗っかっている。アクリがギターだけでなくタンバリンを叩く姿もキュートであった。
終わり、疋田が「さっきあの瞬間しか鳴っていない音楽……。凄い特別だったと思いませんか?」と話しかけたように、本当に凄い特別な時間であった。凄い特別な時間は、まだまだ続く。杉浦の「選ばれたのは、この曲です!」と歌われたリクエストカバーは、スピッツ「チェリー」。あの特別感があるイントロが鳴っただけで、観客たちは喜びの心の声が漏れ聞こえるくらいに喜んでいる。そのまま、こちらもイントロですぐわかり、すぐ観客たちが体を揺らし始めたHelsinki Lambda Club「ユアンと踊れ」。そこからニューアルバムよりMVも制作されて早くも人気曲となっている「つもる話し」「sha na naなjourney」へ。観客たちの手が一斉にあがり、より会場は盛り上がっていく。
杉浦の「こっからが終盤戦!」という一言から、andymori「革命」へ。リクエストカバータイムは終わったと勝手に思っていた中での嬉しい不意打ちな上に、帝国喫茶が起こす革命にも期待してしまうナンバー。あくまでカバーではあるが、自分たちの心情も見事にオーバーラップさせられていた。「マフラー」では観客たちから「ワンツー!!」という掛け声も上がり、「子守唄」とテンポ良いナンバーで駆け抜けていく。「ガソリンタンク」では、杉浦がよろめきながら髪の毛を掻き乱しながら全身全霊で歌い上げ、ラストナンバーは「春風往来」。マイクスタンドからマイクを外して、エモーショナルに歌いまくる。初期楽曲でもあるので、まさに青春の衝動を表現していた。
アンコール1曲目は、帝国喫茶が結成された2020年夏に初めて作られた記念すべき「夜に叶えて」が歌われるいうのも意義を強く感じた。何よりもメンバーが凄く楽しそうに音を鳴らしている姿が良かったし、杉浦が<世界中の街にロマンスを>の歌詞を<大阪の街にロマンスを>と歌い変えたのも粋であった。
最後はメンバーひとりずつ感想を述べて、杉浦の「毎年喫茶店の日が出来る事は当たり前じゃないと思っています」という観客たちへの感謝も込めた決意表明的な言葉からニューアルバムのラストナンバー「ビフォア・サンライズ」へ。アップテンポでありアップビートであり、とにかく帝国喫茶の躍動感がこれでもかと伝わってきて、メロディーも跳ねまくっている。明るい未来を感じさせる宴であった。
今後は、ニューアルバムを引っ提げたツアー『ストーリー・オブ・マイ・ライト』が5月16日(金)愛知・名古屋クラブクアトロを皮切りに、茨城・北海道・宮城・東京・岡山・福岡、最後は地元の大阪である大阪・心斎橋Music Club JANUSで6月28日(土)・29日(日)の2日連続で〆られる。チケット一般発売は4月19日(土)よりイープラスにて開始となる。兎にも角にも新たな季節へと飛び込んでいく帝国喫茶をその目で確かめて欲しい。
取材・文=鈴木淳史 撮影=浜村晴奈
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