音楽ソフト年間売上が6年ぶりに前年比増へ転換、オリコン発表
オリコンは、「2012年年間音楽ソフトマーケットレポート」(対象期間:2012年1月2日(月)〜2012年12月30日(日))を発表。年間総売上が金額、枚数ともに6年ぶりに増加へ転換した。
【全体売上】
CDなどのパッケージ商品によるシングルやアルバムに、音楽DVD、音楽Blu-ray Disc(以下音楽BD)を加え総合計した音楽ソフト市場の、2012年の年間総売上額は3,270.3億円となった。対前年比は104.1%で、2006年以来6年ぶりに前年比増。しかも前年2011年の集計期間が通例より1週多い53週となっており、2012年は前年より1週少ない期間での集計にもかかわらず前年を上回るという活況を呈している。
総売上枚数で見ても1億2053.4万枚、前年比101.4%と前年比増に転じており、枚数での前年比増は調査開始した2004年以来初めてとなった。
売上金額を盤種別に見ると、全盤種(シングル・アルバム・音楽DVD、音楽BD)が前年比増を示しており、これは2005年以来7年ぶりとなる。特に伸長幅が大きいのは音楽BDの前年比194.2%で、音楽DVDと合わせた対前年比も114.0%と1割以上の増加となった。
加えて、アルバム売り上げの下げ止まりによる効果も大きい。これまで、アルバムが音楽ソフト売上額シェアのメインでありながら2007年以降連続で減少を続けていたため、市場全体も前年比減となっていたが、2012年下半期についに回復基調(アルバム売上額の上半期前年比94.1%に対し、下半期前年比107.3%)となった結果、音楽ソフト市場全体が前年比増へと押し上げられた形だ。
なお、アルバム以外の各盤種となるシングル、音楽DVD、音楽BDそれぞれの2012年売上額は、オリコンが音楽ソフトの年間市場全体規模調査を開始した2004年以来、いずれも最高額を記録している。
2012年の音楽ソフト市場を盛り上げることになった動きとして、アイドル、特に女性アイドルグループの活躍が目立った。ジャニーズ関連8作(嵐3 作、Kis-My-Ft2 3作、関ジャニ∞(エイトレンジャー含む)2作)、AKB48関連が12作(AKB48 5作、SKE48 3作、NMB48 4作)。上位20作をジャニーズとAKB48関連が独占するという勢いだ。その下にも、AKB48からのソロや派生ユニットに加え、2012年デビューの乃木坂46や2012年に躍進したももいろクローバーZなどの女性アイドルグループがずらりと名を連ねている。
2012年は他の女性アイドルグループにも波及し、1つの大きなシーンとしてユーザーに受け入れられ定着してきたとともに、しばしば指摘されるように「女性アイドル戦国時代」的な様相を帯びてきた年と言えるだろう。
また、アルバム売上を見ると、2012年はベテランアーティストが市場を盛り立てた年となった。年間売上額20億円以上のアルバムタイトルは12作で、そのうちの半数である6作はキャリア20年以上のベテランアーティストによるものだ(Mr.Children3 作、桑田佳祐、松任谷由実、山下達郎が各1作)。
そのうちの4作は下半期に発売されており、下半期からのアルバム市場の一気巻き返しに、彼らの底力が大きく貢献した。また、由紀さおりのピンク・マルティーニとの共演アルバムも、前年2011年10月の発売ながら2012年も異例のロングセールスを続け、NHK紅白歌合戦へ出場を果たすなど話題となった。
【ジャンル別シェア】
ジャンル別シェアでは、音楽ソフトを大きく5つのジャンル別に見ると、「J-POP」売上額が対前年比110.2%と1割以上の伸びとなった。一方、残る「演歌・歌謡」「洋楽」「ジャズ・クラシック他」「アニメ・サントラ他」の4ジャンルは全て前年比減となっており、2012年の音楽ソフト市場全体の前年比増という好調は「J-POP」市場の伸びに依存していることが見てとれる。結果、2012年の音楽ソフト市場に占める「J-POP」売上額シェアは79.0%に。音楽ソフトのほぼ8割が「J-POP」という情勢にまで至っている。
【メーカー別シェア】
メーカー(発売元)別では、エイベックス・グループ・ホールディングスが売上額を対前年比116.8%と大きく伸ばし、2008年以来4年ぶりに売上額トップに立った。前年2011年の同社タイトルで年間10億円以上を売上げたのは4作だったが、2012年はEXILEのアルバム2作、音楽DVD2作をはじめとして、安室奈美恵、Kis-My-Ft2、浜崎あゆみの各アルバム、東方神起、Kis-My-Ft2の各音楽DVDの計9作にのぼっている。
SKE48も、2011年はシングル3作のうちの最高額は6.4億円だったが、2012年発売のシングルは3作とも7億円を超え、ファーストアルバムも6.9億円を売上げるなどして貢献した。
2012年は売上額上位10社のうち6社が前年比増となった。前年2011年の上位10社で前年比増だったのはキングレコード1社のみだったが、そのキングレコードは2012年も順位こそ4位と変わらなかったが売上額は伸びており、これで4年連続の前年比増となっている。前年に記録的な大ブレイクを果たしたAKB48が2012年もその勢いを保ったのに加え、新たにももいろクローバーZがブレイクし売上増に貢献した。
また、トイズファクトリーは2011年は11位だったが、同年にリリースのなかったMr.Childrenが2012年はベストアルバム2作をミリオンヒットさせるなどして貢献し、同社は売上額を前年の2倍以上にも伸ばして9位に浮上、4年ぶりのTOP10入りとなっている。
オリコン調べ(oricon.co.jp)
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