【コラム】日本で大人気!イギリス発の音楽アプリ「Songdrop」って? CEOに直接会ってきた
From editors — Musicman-NET
スタートアップ SongdropのCEO Brittney Bean(プリトニー・ビーン)多忙な来日スケジュールにも関わらず、終始笑顔で熱心に話をしてくれた。
昨今、YouTubeやSoundCloudなどで、好きなアーティストの曲やミュージックビデオを無料で視聴するスタイルが定着しているが、YouTubeやSoundcloud、Bandcamp、Vimeoなどにあがっている音楽やミュージックビデオなどをブックマークしたり、プレイリストを作ったり、共有できる「Songdrop」が口コミで人気を集め、ここ日本で利用者を増やしている。
先頃、英国大使館の招きで来日した「Songdrop」の女性CEO ブリトニー・ビーンに会って話を聞くことができた(ちなみに同席し、通訳してくれたのは「Shazam Entertainment」のピーター・リー。こちらもイギリス発の音楽サービスの担い手である。ビーター、ありがとう)。
「Songdrop」開発のきっかけは自身の身に降りかかったトラブルだと語るブリトニー。
「気に入った音楽やSoundcloudのタグをたくさん保存していたんだけど、あるときブラウザがクラッシュして、呆然としたの(笑)。そのときはPinterestを使っていたんだけど、音楽に特化した、もっと便利なサービスを作れるんじゃないか? とそのとき思いついたの」
その後、3ヶ月の開発期間、6ヶ月のテスト期間を経てPC版をスタートしたのが2012年3月。2013年9月にiOS向けのアプリもリリースし、順調にサービスを展開していた「Songdrop」だが、ある朝、ブリトニーは驚くことになる。
「朝起きて、いつものようにユーザー情報をチェックしてみたら日本人ばっかりで、急いでCTOに電話したら、彼も『一体何が起きているんだろう…?』って言ってた(笑)。すごく驚いたわね」
PC版Songdropのトップページ。Pitchfork、bandcamp、SoundCloud、YouTubeなどのロゴが並ぶ。
現在、アクティブユーザーの約半数は日本人だという「Songdrop」。
「イギリスの音楽業界の人で、日本の音楽業界をよく知る人たちにその話をしたら、『日本にはストリーミングサービスがほとんどないから、”Songdrop”みたいなサービスが人気になったんじゃないか』と言われたわ。日本はこれだけみんなスマートフォンを持っているのに、ストリーミングサービスがあまりないなんてやっぱりおかしいと思うわ」
ストリーミングサービスがないわけではないけど、フリーミアムでないと答えると残念そうな表情のブリトニー。
「そうなのね…日本に来てからも、色々な人と話したんだけど、やはりアプリがあるのがポイントみたいね。あと、日本の音楽ファンは好きなアーティストをより深く聴く傾向があるみたいだから、『Songdrop』みたいに色々なところから音楽を集めて、まとめて聴けるようなアプリは、その趣向に合っているみたいね」
長年、売上減少が叫ばれているとはいえ、未だにフィジカルが売れている日本。来日後、早速向かった日本のレコード店には衝撃を受けたようで。
「イギリスとは全然状況が違うからすごく驚いたわ。店に入って、たくさんのCDが並べられているのを見て、ティーンのときを思い出して、懐かしくなった(笑)。『一体何が起こっているの!?』って(笑)。最近は全くCDを買っていなくて、アナログレコードと配信でしか音楽を買っていないから。とにかく懐かしい景色だったわ(笑)」
日本のアーティストで知っている人はいる? とたずねると「NO!(笑)」と即答のブリトニーだったが、思い出したように語ったのは、あの「アーティスト」。
「そうそうボーカロイド、初音ミクはいいわね。イギリスにはないからすごく興味深いし、色々知りたい。初音ミクはバンドを従えて歌うのよね。バンドがいてその前にプロジェクションで初音ミクが現れて…未来の音楽番組のような光景よね。それが今起こっているんだから凄いわよ(笑)」
さて「Songdrop」は今後どのような計画をしているのだろうか。現状、PC版もアプリも無料。収益の確保について話を振ったところ、
「今、色々と考えているわ。まず、アプリ内で購入できる追加機能、例えばミックステープを作る機能やジュークボックスとして使える機能などを6ヶ月以内に始めようと思っている」
と語ったブリトニー。最後に今後の音楽ビジネスの行方について、彼女の意見を聞いてみた。
「これからは誰でもどんな音楽にでもアクセスできるからこそ、音楽が選びにくくなっていると思うの。だから音楽のキュレーションは今後大事になってくると思っている。また、逆にフィジカルなものやライブに回帰してもいるので、ストリーミングを上手く使って、いかに新しいプロダクトを作るかも重要だと思う。それによって音楽業界も変わってくるんじゃないかしら」
(編集部)
■Songdrop:https://songdrop.com/
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