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Spotifyだけが実行している「武器」の正体

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Spotifyだけが実行している「武器」の正体

2000万人以上のユーザーを抱える世界最大手音楽サブスクリプションサービスのSpotifyは、まさしく現在進行形でムーヴメントを起こしています。日本でもいよいよと言われ、2月のソーシャルメディアウィークではスポンサーを務め、ハッカソンなどを開催するなど待望論が生まれつつあります。

2014年1月現在、世界展開を55ヶ国に拡大し、音楽サブスクリプション市場を牽引している存在といっても過言ではありません。

◆なぜ、Spotifyだけが注目されるのか?

Spotifyだけが実行している「武器」の正体

新しい音楽配信サービスの未来や海賊版撲滅などSpotifyはローンチ当初から際立った存在として、音楽、IT業界を中心に話題を生み出してきました。Spotifyだけが実行している「武器」の正体は、ニュースです

Spotifyとその他の競合サービスとの差別性として、圧倒的なニュース量の違いが挙げられます。ここが決定的に他の競合サービスと異なる点です。会員数増加のニュース、新機能のニュース、新カタログのニュース、新市場ローンチのニュース、資金調達のニュースとあらゆる内容、項目でSpotifyはニュースを生み出し続けています。他の競合サービスとのニュースの差は歴然です。

ニュースを生み出し続けることは、大きな武器になります。それが「トップ・オブ・マインド」です。

◆トップ・オブ・マインドを掴め

日本ネスレ代表取締役社長である高岡浩三さんの著書「ゲームのルールを変えろ」では「ブランドを強固にするためには、ニュースを作り出さなければならない」と高岡さんは述べています。

現に世界に音楽サブスクリプションサービスは数あれど、「音楽サブスクリプションサービスってなに?」と尋ねた場合、尋ねる国にもよりますが、多くの人がSpotifyだと答えるでしょう。

つまり、「トップ・オブ・マインド」を獲得しているのです。「トップ・オブ・マインド」とは、あるジャンルのブランドを聞かれてすぐに出てくるものを指します。「トップ・オブ・マインド」の地位を獲得したブランドこそが、トップシェアを握ると言われています。Spotifyはまさに世界レベルで獲得しているといえるでしょう。

そのように空気を生み出して、満を持して各国でサービスローンチを展開します。

いきなり「はじめまして。僕、Spotifyと言います」ではなく、「ついにきたね、待ってたよ。Spotify」という状況を作り出すことで、さらなる話題化を促進し、エヴァンジェリストからの推奨、大手メディアのニュースからトライブを拡張させていくことが可能になります

待ちわびたファンたちは熱狂性と主体性を帯びて、サービスを利用しますし、リアルでソーシャルメディアでクチコミが誘発します

◆否定的意見が一層うねりを大きくする

さらにSpotifyがムーヴメントを起こしている理由として、賛否両論の存在が大きいです。特に世の中に影響力があるアーティストが言及するほどSpotifyの知名度と話題は加速します。

例えば、レディオヘッドのトム・ヨーク、レディオヘッドのプロデューサーであるナイジェル・ゴドリッチは、アーティストへの分配額への少なさから批判を展開し、Atoms for Peaceなど自身の音源をSpotifyから引き上げました。それに呼応するようにしてデヴィッド・バーンやフォー・テット、ジョニー・マーなど複数のアーティストがSpotifyに対する批判のコメントを表明しています。

参考:
トム・ヨーク、スポティファイからの音源引き上げ騒動への批判に答える(RO69)
アトムス・フォー・ピースのナイジェル・ゴドリッチ、Spotifyに反対する真意を語る(RO69)

Spotifyだけが実行している「武器」の正体

しかし、一方でSpotifyの存在を歓迎するアーティストも存在します。

アメリカのロックバンド「Imagine Dragons」のボーカリスト、ダン・レイノルズはSpotify支持を表明しています。Imagine Dragonsのような新人バンドにとってSpotifyは効率的なプロモーションツールとして、ツアーやライブへの動員確保の導線になっているとダン・レイノルズは述べています。

参考:
ロックバンドImagine Dragonsのボーカリスト、Spotifyを擁護。「トム・ヨークには賛同できない」(All Digital Music)

Spotifyが良いのか悪いのか。音楽サブスクリプションサービスが良いのか悪いのかを論じたいわけではありません。視点や価値観も人それぞれです。重要なのは、Spotifyや音楽サブスクリプションサービスに対する賛成否定の意見が飛び交うことがサービスを拡張させるために必要だということです。

同時にSpotifyはニュースや議論を作りながらも、堅実にサービスをより良くし、ブラッシュアップし、まずベースのSpotifyを改善しています。だからこそ、ユーザーが集い、Spotifyを楽しんでいるのではないでしょうか。アーティストであれば楽曲やライブ、SpotifyであればUI/UXやカタログ数、機能性がそれにあたります。ベースを疎かにしては本末転倒だからです。

日本においても、同様に主にITニュースメディアや影響力のある音楽ブロガーであるジェイ・コウガミさんのブログ「All Digital Music」は早い段階から世界のSpotifyのニュースを配信し、日本におけるSpotifyの空気作りに大きな寄与を及ぼしています。

音楽サービスは「仲間ゴト化」を目指すべきですが、音楽サブスクリプションサービスに限っては「世の中ゴト化」を目指さなければならない中で、Spotifyの海外戦略はムーヴメントを起こし「世の中ゴト化」になりつつあります。それが可能になった背景のひとつに「終わらないニュース」があります。さあ、日本においても楽しみですね。

うねり始めるSpotifyの胎動はまだまだ始まったばかりです。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

■記事元http://takanoshuhei.com/2014/02/spotifymovement/
 


高野修平 the great escape prof
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THE GREAT ESCAPE

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