「オーディオ・ホームシアター展 2014」開催、統一テーマは「ハイレゾ」
「オーディオ・ホームシアター展 2014」が10月17日〜19日の3日間、お台場のタイム24で開催された。
今年で62回目を数える「オーディオ・ホームシアター展」、今回の統一テーマは「ハイレゾ」。長年築かれてきた「Hi-Fi」の概念を再確認し、これに続く、もしくは超える概念として「ハイレゾリューション・オーディオ(サウンド)」を位置付け、「ハイレゾ」に沿ったセミナーや展示・試視聴を展開した。
4年ぶりにハイファイオーディオ専用ブランド「Technics」の復活を宣言したパナソニックは、フロア正面に、同ブランドから先日発表されたリファレンスシステム「R1 Series」とプレミアム「C700 Series」を展示。
▲リファレンスシステム「R1 Series」スピーカーシステム
▲リファレンスシステム「R1 Series」ステレオパワーアンプ
▲パナソニック(株) セールスプロモーションチーム 福澤誠氏
パナソニック(株) セールスプロモーションチーム 福澤誠氏は「Technics」の復活について、
「近年ハイレゾリューションが盛り上がり、圧縮音源で気軽に音楽を楽しむ文化から、しっかり音楽を聴こうという文化に変わってきたときに、当社のデジタル技術が活かせる商品ができるんじゃないかと、ここ数年で動いたプロジェクトになります。オーディオを出そうというときに『Technics』ブランドという宝が当社に残っていたので、社長の英断で『Technics』で行こうと」
「『Technics』ファンの方が少なからずいらっしゃいます。実際に、『復活を待っていたよ』などの応援の声を数多くいただけたことは非常に力強いと思っていますし、そういったお客様のために一番良いものを提供したいということで、『リファレンスシステム』というハイエンドなものをご用意すると同時に、音楽離れが進んでいる『Technics』を知らない若い世代も手が出せる「プレミアムシステム」もご用意しました。こちらは『Technics』のプロジェクトリーダーが小川理子という女性ピアニストということもありますので、女性にも購入していただけるように白を基調にするなどデザインも考慮しています」
と説明。”ディスカバリー・ミュージック”をブランドコンセプトに、ハイレゾの特性を生かし、「音楽をもう一回再認識していただくことが第一のブランドミッション」「高級オーディオの国内メーカーの縮小であったり、寂しいニュースが多い中で、メイドインジャパン『Technics』として、若い世代を含めてファンを掴んでいきたい」と抱負を語った。
▲NAS、ハイレゾ対応スマホで「PCレス」を推進
また、ハイレゾの走りとして2005年8月にスタートした「e-onkyo music」とオンキヨーは、今年、“ハイレゾのカジュアル化”をコンセプトに「PCレス」を推進する。
「ドコモのスマートフォンの秋冬モデルは全てハイレゾ対応ということで、それに合わせ、e-onkyo musicのハイレゾ音源を聴くことができる「HF PLAYER」という音楽プレーヤーアプリをリリースします。これをダウンロードしていただければドコモに限らず各キャリアで聴いていただくことができます。また、台湾のQNAPと提携してNASを開発しまして、スマートフォンサイトで購入した楽曲が自動でNASにダウンロードされます(オンキヨー(株) 営業・マーケティング本部 手嶋和紀氏)」
また、アメリカとイギリスとドイツでハイレゾ音源を予定しているそうで、英国7digital Limited(セブンデジタル)と提携し、年内のスタートを目指している。
▲オーディオビジュアル評論家 山之内正氏
初日の基調講演にはオーディオビジュアル評論家の山之内 正氏が登壇し、「世界の最新ハイレゾ事情」をテーマに語った。
ネットワーク再生とUSB再生が併存する中、新録音に加え、アナログ音源からのリマスタリングが進み、ハイレゾ音源のタイトル数は順調に増え、スマホやタブレットなどポータブルオーディオでもハイレゾ再生が注目を集めている現状を説明。今後の課題として、パソコンを使わずに音源を入手できるシステムの構築と、混在したファイル形式の統一、ファイル容量のスリム化を挙げ、サンプリング周波数や量子化ビット数などの数値を偏重するあまり、録音の本質とかけ離れてしまう「数値競争」への懸念を示した。
また、「精度の高い応答性と時間軸分解能の高さ」(音の立ち上がりやキレの良さ)が音の脳内補正に影響を及ぼすと説明し、ハイレゾはこの部分に関して多くの情報量を持っているため、高い精度で再現できる。ハイレゾのメリットはここにあると語った。
▲メリディアンオーディオ ボブ・スチュアート氏
講演中盤では、ゲストスピーカーとしてメリディアンオーディオのボブ・スチュアート氏が参加し、Meridian Audioが考える音楽の未来やハイレゾについて語り、音そのものの定義から脳の知覚にまで話は及んだ。
▲ソニー ハイレゾ音源をジャンル別で試聴できる
▲JVCケンウッド ウッドコーンを採用したハイレゾ対応コンポ
近年の「ハイレゾ」の盛り上がりを裏付けるように、展示・セミナー、そして参加者たちの熱気を帯びた会場内。単にオーディオ好きのための「ハイレゾ」ではなく、より手軽に、身近な存在としての「ハイレゾ」をアピールする各社展示も印象に残る。音楽的な側面からも期待の大きい「ハイレゾ」、今後の鍵である若年層への普及にはまだ時間がかかるかもしれないが、その可能性と裾野の拡がりを感じさせる「オーディオ・ホームシアター展 2014」だった。
■オーディオ・ホームシアター展 2014:http://www.oto10.jp/
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