テクニクス×ナガオカ×東洋化成「レコード再発見プロジェクト」発足イベントを開催
左より和田博巳氏、鈴木慶一氏、アリス=紗良・オットさん、ピーター・バラカン氏、藤本国彦氏
テクニクス、ナガオカ、東洋化成の3社によるコラボプロジェクト「レコード再発見プロジェクト」を発足し、4月12日に東京タワー大展望台 club333ステージで記者発表を行った。
近年、オーディオ市場は定額制配信サービスの拡大やハイレゾ音源の普及を背景に盛り上がりを見せる一方、アナログレコードの人気もシニア層、若年層双方から急速に盛り上がっている。そんな中、先月発表されたテクニクス50周年記念モデル「SL-1200GAE」は大きな反響を呼んだ。
そのテクニクスと、レコード針開発・製造のナガオカ、日本唯一のレコードプレス工場を持つ東洋化成による「レコード再発見プロジェクト」は、「Made in Japan」にこだわりを持つ三社が中心となりオーディオの情報発信を行い、活動を通じてより高いレベルの製品開発に昇華するとともに、日本の音楽ファンにアナログレコードの魅力を広めることを目的に今後、様々なコラボレーションを展開していくという。
会の冒頭、壇上に上がったパナソニック テクニクス担当 伊部哲史氏はSL-1200シリーズ復活の狼煙となる「SL-1200GAE」について、「”ダイレクトターンテーブルの再定義”をコンセプトに、部品全てを見直し、従来機の課題であった『コギング』(回転ムラや回転中の微少な振動の発生)を解決することで、より再現性の高いレコードプレイヤーになった」と語り、「三社が協力することで、日本のレコード文化をより活性化していきたい」と抱負を語った。また、東洋化成のカッティング・エンジニア 西谷俊介氏も「このプロジェクトを通じて、針と溝との共鳴からなるアナログの感動な音をより多くの方々と共有していければ」と語った。
アリス=紗良・オットさん
その後、トークゲストとして、アリス=紗良・オットさんが登場し、テクニクスや日本製品に対する想いを語り、この日のために作られた自身の演奏が収録されたレコードに針を落とし、その優しく「ノスタルジックな音色(アリス=紗良・オットさん談)」に耳を傾けた。
和田博巳氏
続いて、ミュージシャンの鈴木慶一氏とオーディオ評論家 和田博巳氏が登壇。結成45周年を記念して再集結が発表された「はちみつぱい」のメンバー同士として、気心の知れたリラックストークを展開。「これからはオーディオ評論家ではなく、”ロックミュージシャンの和田博巳”と呼んで頂きたい(笑)」と語る和田氏は、「今回の”SL-1200″は以前の機種より10倍以上性能がアップし、恐らくこの価格帯では世界最強のプレイヤーに仕上がっている」と新機種を評価。
両氏がレコードを持ち寄っての試聴では、鈴木氏がGrateful Dead『American Beauty』(モービル・フィデリティ社 45回転2枚組)より「Box Of Rain」を選曲。対して、和田氏は昨年、自身が監修したベルウッド・レコードのアナログ再発より、はちみつぱい『センチメンタル通り』の「薬屋さん」。「ライブでやろうと思っている曲でまだ練習していない曲です(和田氏)」「和田君が聴いて予習しておきたいと(笑)…(鈴木氏)」
鈴木慶一氏
両曲を聴き終えて鈴木氏は「レコードは録音当時の空気を閉じ込めてある感じがひしひしします。その年代のスタジオの空気ってあって、それがちゃんと聴けるのは嬉しいことですね」と感想を述べた。
最後のトークセッションは、ブロードキャスターのピーター・バラカン氏と編集者の藤本国彦氏。長年、アナログを聴き続けてきた両氏がアナログの魅力について語る。一年間アナログのレコードしかかけないラジオ番組をやっていたバラカン氏は、「リスナーも音の違いが分かっていた。またCD、ハイレゾ、アナログと聴き比べるイベントに時々参加するが、最終的にはアナログがいいという結論になってしまう」とアナログの魅力を語った。また「今はアナログブーム的な面もあるので、必要以上に煽りたくはないが、今までアナログに触れたことのなかった若い人に少しでも良さが伝わっていって欲しい」と語り、藤本氏も「新譜もアナログで出たり、プレイヤーも手頃なものが出ているので、そういったものがきっかけになれば」と語った。
ピーター・バラカン氏
藤本国彦氏
視聴では、バラカン氏がイギリスで発売日当日に買ったというDerek and the Dominos『Layla』よりTedeschi Trucks Bandも来日公演で演奏していた「Keep On Growing」をかけ、UKオリジナル盤 1st Pressの素晴らしい音を堪能。藤本氏はThe Beatlesのホワイトアルバム、UKステレオ盤から「Back in the U.S.S.R.」を選曲。時間が押していたが、バラカン氏の「やっぱりシングル盤も聴きたい!」の一声で、急きょThe Beatles「Rain」(UK盤シングルB面)のシングルならではの圧倒的な音圧に包まれつつ、イベントは終了した。
「レコード再発見プロジェクト」公式ページ
http://rediscover.jp/
■テクニクス:http://jp.technics.com/
■ナガオカ:http://www.nagaokatrd.co.jp/
■東洋化成:http://www.toyokasei.co.jp/
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