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レコ協が業界紙懇談会を開催、2017年度の事業計画を発表

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日本レコード協会が、26日、業界紙懇談会を開催し、2017年度の事業計画を発表した。

昨年の市況について、音楽パッケージソフトの生産額が昨年比97%の2,456億円とわずかながら下回ったものの、サブスクリプションサービスが161%と大きく成長したことで、有料音楽配信の売上金額が前年比112%の529億円と4年ぶりに500億円を突破し、3年連続のプラス成長となった。この結果、全体では前年比99%の2,985億円となった。

日本レコード協会会長 斉藤正明氏
同協会会長 斉藤正明氏は、アメリカがデジタルの売上が50%以上を占めるマーケットになったこと、またサブスクリプションが急成長したことでマーケット全体が回復傾向にあることから、「ライフスタイルやサービスの展開方法など研究の必要がある」としたうえで、「約2,500億のパッケージの売上をキープしながら、デジタルの売上を伸ばしていきたい」と抱負を述べた。

また、違法配信が成長の妨げになっているとして、「現在の体制では限界がきている。もう1つ対策を講じなければならない時代に入ってきた。協会の役割を、業界の収益を「伸ばす」、違法を「なくす」、レコード産業からのメッセージを「伝える」に再定義し、課題ごとに優先度をつけて取り組んでいきたい」と語った。

2017年度の事業計画は、新人アーティストの育成が業界全体の課題であるとして、通年を通してユーザーに訴求していくためウェブサイトを構築する。年間各社2組、全36組の新人アーティストを、サイトを中心に「Coming Next」などの施策と連動して戦略的にユーザーへの周知を図っていく。

日本音楽の海外展開の促進については、これまで音楽産業・文化振興財団(PROMIC)と連携して支援を行ってきたが、より海外展開を強化するため、協会の海外事業をPROMICに一元化する。まずは海外から需要の高いアニメに特化した音楽配信、マーチャンダイジング、コンベンションイベントを、作品・制作会社ごとではなく、PROMICが各社と連携をとり海外展開を図っていく。

違法音楽配信の撲滅に向けた施策の強化として、専任組織「著作権保護・促進センター(CPPC)」による違法音楽ファイルの削除要請を引き続き実施。2016年度は78万5千件の削除要請を行い、過去4年間では毎年60万件〜90万件の間で推移しているそうだ。海外サイトについては「国際レコード産業連盟(IFPI)」と連携し、中国サイトに対しては運営者への直接訪問による対策を強化する。また、悪質な事業者に対しては刑事告訴、損害賠償請求を今年も継続して行っていく。

この他著作権に関する重点施策として、TPP協定が定める「レコード保護期間の70年への延長」「配信音源の二次使用に対する使用料請求権の付与」について、早期実現に向けた働きかけを行っていくこと、私的録音録画補償金制度に代替する新たな制度の検討、国際レコード産業連盟(IFPI)や実演家団体と連携した演奏権の法制度の検討、また、動画投稿サイトの運営事業者に係わる法的ルールの見直しを、EUの動向に注視しつつ着手していく。

また、同協会では会員レコード会社だけでなく、音楽出版、インディーズなど500社を超える会社から二次使用料の徴収・分配を委任されており、二次使用料の分配額は2015年に70億を超えている。放送番組のネット配信の利用については、平成18年10月から集中管理事業を行ってきたが、これまでは放送番組の二次利用としてのネット配信の利用に範囲を限定してきた。近年増加傾向にあるネット配信専用の番組の利用については、各社が個別に許諾を出している現状であることから、協会で窓口を一本化し、集中管理事業として行っていくか否かを検討していく方針だ。なお、ネット配信関連の権利収入は、昨年度で5億円を超える水準となっている。

ブライダル分野での徴収および分配については、約3年にわたり集中管理の実証実験を行ってきたが、今年4月から正式に同協会の集中管理事業として行っていく。
 


日本レコード協会