東放学園が専門学校初の逆インターンシップを実施、音響業界企業の若手社員を迎えて実践研修
東放学園音響専門学校は、9月19日、20日の2日間にわたり、コンサートや舞台等で音響(PA)や照明などのオペレーション業務を担うエス・シー・アライアンス(以下、SCA)の入社2年目〜4年目の若手社員10名を迎え、ヤマハミュージックジャパン協力のもと、音響技術基礎コース実践研修を実施した。
音響業界企業の社員を迎えて研修を行うのは東放学園初の試みであり、専門学校としても初の取り組みとなる。
コンサートや舞台の音響(PA)技術は、特殊な専門技術であるがゆえに属人的になりやすく、特にミキシング技術は先輩を見て学ぶいわゆる師弟制度が色濃く、オペレーターとして独り立ちするまでのキャリアステップや、自身の業務が全体のどの地点に当たるのかが見えず、ビジョンを描きにくいことが離職にもつながっている。この問題解決に向けて、東放学園音響専門学校は企業の社員に研修を行う“逆インターンシップ”を企画した。
本研修ではSCAの若手社員がPAシステムの全体像を改めて理解し、自身の業務が全体のどこに位置づけられ、どのような役割を担っているのかを把握し、日々の業務を見直す機会とすること。さらに、実践的な音響機器の操作法を体験することで、今後のキャリアステップを可視化し、オペレーターを目指すモチベーションを高めること。中堅社員に対しては、本校講師の指導法を参考に、若手社員への技術教育のカリキュラム化に取り組むきっかけとなることを目指した。
研修に参加したSCA若手社員からは「少し難しく感じた部分もありましたが、PAっておもしろいと改めて感じ、もっとこのようなことをやりたい、勉強したいと思いました」といった声や「今後の仕事でももっとオペレートをしたいと思ったし、たくさん現場に出たいと思いました」といった感想が聞かれた。
SCAの中堅社員は、若手社員を指導する立場から「きめ細かな指導や実践的な研修内容で、今後の社内研修のカリキュラム構築の参考になった」と述べ、研修講師も務めた東放学園音響専門学校キャリアサポートセンター横田淳氏は「若者の業界離れが一番の心配ごと。業界の活性化に寄与できることは、専門学校にとっても学生たちの卒業後の活躍の幅が増えることに直結する。研修に参加した方々には、ぜひ現場に戻って後輩や同期の方と今一度このPAという仕事の楽しさ・奥深さについて再確認してほしい」と想いを語った。
今回の研修を受けて、SCAの山中洋一代表取締役社長は「各社に共通する課題に、業界全体で解決に取り組んでいく必要性を感じており、今回の研修はその第一歩。好きだから続けられる仕事だけではなく、企業としてしっかりと技術を伝え、若手社員がキャリアを見据えながら働ける会社にしていきたい。同時に、SCAの中堅社員にも、音響技術教育のプロである講師から、若手社員に専門技術を分かりやすく伝える方法を学んで、自身の技術を改めて見つめなおす機会としてほしい」と述べ、今後、同様の研修の継続に意欲を示した。