「HOKUO MUSIC FEST 2017」コンサート、デジタル、著作権など6つのセミナーを北欧音楽産業企業向けに実施
北欧5ヶ国(フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランド)の音楽産業企業約30社が参加する「HOKUO MUSIC FEST 2017」が11月9日、10日に東京・渋谷で開催された。
同イベントでは、商談会、ショーケースライブに先立ち、北欧視察団向けに日本の音楽産業の現状をプレゼンテーションするセミナーが開催され、東京谷口総研の谷口元氏のプロデュースにより、コンサート、デジタル、著作権など、多分野にわたる全6つのセミナーが行われた。
日本市場俯瞰アップデート
講師 谷口元氏(東京谷口総研)
日本の音楽マーケットの状況総括とアップデートを具体的な数字データをもとに解説。フィジカル・マーケットの落ち込み、デジタルとりわけストリーミング・ビジネスの過渡期ではあるが、将来的には決して悲観する必要は無く、フィジカルをデジタルがカニバルことなく、今後ストリーミング・ビジネスの伸長により数字は上乗せになる、マイナス志向にならずに希望を持つべきであると語った。
日本のコンサート・ビジネスアップデート
講師 水上喜由氏(キョードー東京)
コンサート・ビジネスが好調であることを、2010年から2015年のデータを元に解説。単純に公演数・動員数が増えているからだけではなく、チケットにプレミアム価値を付けたり複数の価格帯を提供、マーチャンダイジング、など一人当たりの消費金額が増加していることを理由として挙げた。一方で、国内アーティストが大半を占める市場の中に北欧のアーティストが参入することの困難もデータをもって解説した。
レコード産業のアップデートとデジタル化
講師 河村剛志氏(GTO)
日本の音楽マーケットの分析と、デジタル・ビジネスの現状をデータで示し解説。とりわけデジタル・プロフェッショナルとして、ストリーミング・ビジネスの現状を分析し、今後の展望を示した。
北欧アーティストの日本市場での成功例 1
講師 大井綾子氏(JVCケンウッド ビクターエンタテインメント)
ラスマス・フェイバー(スウェーデン)にみる、日本における独自の360度ビジネス成功例を語る。サードパーティ契約だったDJの音楽的バックグラウンドに着目し、自社のアニメ戦略とコラボし、原盤制作からコンサート・ビジネスまでを長期的に展開出来た秘訣を示した。
北欧アーティストの日本市場での成功例 2
講師 ジェフ宮原氏(作曲家、プロデューサー)
自身の豊富な経験から、北欧作家とのコラボレーション成功例を、作曲家・プロデューサーとしての独自の目線で語る。北欧作家の持ち味と日本マーケットの親和性を、具体的に示した。
作曲家としての可能性+日本の著作権事情の特殊性
講師 ジョーイ・カルボーン氏(作曲家、プロデューサー)
40年近い自身の本国アメリカおよび日本におけるヒットメイカーとしての経験と実績に基づき、日本のマーケットにおけるヒット曲の作り方、秘訣を、具体的に楽曲を聴きながら、詳細に音楽学的に解説を試みた。
過去の実績やデータから日本の音楽マーケットへの正しい理解を深めるだけでなく、成功事例を紹介することで、北欧音楽の輸入についても可能性を広げる貴重な機会となった本セミナー。北欧との取引やコミュニケーションの足がかりとなる「HOKUO MUSIC FEST」は、来年も開催が予定されている。
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