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シンポジウム「チケット高額転売問題」開催、デーモン閣下、岸谷 香、為末 大らが登壇

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2018年2月6日シンポジウム「チケット高額転売問題」

「チケット高額転売とネットダフ屋行為の抑止」に向けたシンポジウム「チケット高額転売問題」が2月6日、都内で開催された。

まず、日本音楽事業者協会 専務理事 中井秀範氏、コンサートプロモーターズ協会 総務委員 石川 篤氏、Field-R 法律事務所 弁護士 東條 岳氏より「チケット高額転売問題の経緯と業界団体の取り組み」について語られた。

インターネットを利用したコンサートや演劇、スポーツ等のチケット高額転売が横行する中、昨年には悪質な転売ヤーに対する警察の捜査、逮捕も相次ぎ、大手転売サイトの閉鎖も発表された。

4団体(日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽事業者協会、コンピュータ・チケッティング協議会)は、2016年8月に新聞全面広告「転売NO!」を発表し、並行して「ライブ・エンタテインメント議員連盟」の議員へ窮状を訴え、立法化への動きが始動した。

2017年6月にはライブ・エンタテインメント議連と関係各省庁による、高額転売規制立法のプロジェクトチームが発足。2018年2月には、転売規制法案が国会へ提出される見込みとなっている。

途中には、サカナクション 山口一郎、さだまさしからのビデオメッセージも上映された。
 

2018年2月6日シンポジウム「チケット高額転売問題」

続いてのパネルディスカッションでは、アーティスト 岸谷 香、デーモン閣下、陸上選手の為末 大氏、コンサートプロモーターズ協会 会長 中西健夫氏、日本音楽制作者連盟 常務理事 野村達矢氏氏によるパネルディスカッションが行われた。

デーモン閣下は、「チケットの高額転売に関しては、1年くらい前から各方面から話しは聞いていて、驚いていることの1つが、法による規制ができないということ。そんな中、インターネットの普及により転売の規模が大きくなっている。出演しているアーティストは皆さんが思うほどお金はもらっていない。自分たちが主催したらノーギャラといってもいいくらい。

なぜチケット代を高くしないかというと、老若男女あらゆるファンに楽しんでもらいたいと思っているからで、その場に観に来てくれた方がまた観に来たいと思ってもらえるように、次の作品へ活かせるように、将来への投資だと思っている。

本来流れるべきでないところにお金が流れているという点が大きな問題だ。転売業者が行っていることが、我々アーティストや競技者側に還元されず役に立たない、望ましくないことだという認知がされていないということも大きな問題。」と語った。

岸谷は「コンサートのときはどの席も同じ価格なので、後ろの方にも楽しんでもらうにはどうすれば良いか一生懸命工夫しながらステージを作っているのに、当日になってみると高額で転売されているのか、前の方に空席があったりして残念な気持ちになる。

身近なところでは、16歳の息子がすでにチケット完売になっている人気のフェスに行きたいと言って、転売サイトでチケットを買おうとしていたことがあって、高額転売に関して何の悪さも感じていないことに驚いた。」と、自身の経験談を語った。

為末氏は「観客の皆さんはアーティストやスポーツではそのチームを応援したいという気持ちでチケットを買ってくれている。私の経験からすると、競技場が観客で埋まっているときと、スカスカなときとではパフォーマンスに違いが出ます。

今後は、テクノロジーの進化と共にチケットとお金の流れも明確になっていく。それまでは、ファンとアーティストの繋がりを第一に、フォーカスする部分を間違えないようにしなくてはいけない。」と、競技者の立場から意見を述べた。

そして、業界サイドからも「むやみに価格を高くしてしまうと、将来的には顧客になってくれるであろう若い世代が来れなくなってしまう。需給に合わせて価格を上げれば良いということではない。昔のように席の場所によって価格帯を変える方法に戻す方法も良いのかもしれない。(野村氏)」

「ホテル料金のように土日の公演は料金を高くするなどの変動があっても良いのではないか。会場費も平日と休日では変動するし、転売されている様子を見ても土日の方が値段が上がっている。ユーザー目線でもどのように価格設定をしていくべきか考えていく時期。(中西氏)」と、今後取り組むべき、仕組みの改革についての提案がされた。