定額制音楽配信の利用率は昨年比2.2ポイント増の14.1%、無料プランは6.5%
インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)の利用実態調査を実施し、その調査結果を発表した。
調査は、3月5日〜3月9日の期間、スマートフォン上でのウェブアンケートにて行われた。20,271人に対して定額制音楽配信サービスを現在利用していると回答した人に対して詳細な利用実態を調査した(有効回答数:1,300人)。
なお、回収率が性年代別に異なり母集団を正しく推計することが困難であるため、利用率に関する集計は上記の性年齢階層別のスマートフォンでのインターネット利用人口構成比を用いて比重調整を行っているとのこと。
定額制音楽配信サービス利用率は2.2ポイント増の14.1%、無料プランは6.5%
調査対象者全体に占める定額制音楽配信サービス利用率は、「有料プランを利用している」(※トライアルも含む)が14.1%となり昨年調査よりも2.2ポイント増加した。
また、「無料プランのみを利用中」が6.5%、「過去に使用したことがある」が12.4%と続きます。これらをあわせた利用経験者の比率は33.0%となった。
年代別にみると、有料プランの利用率は男性50代が18.3%で最も高く、男性40代が17.9%、男性20代が17.6%で続く。女性より男性の方が利用率は高い傾向が見られる。一方、無料プランのみの利用率は女性10代が12.7%で他の年代よりも突出して高い比率となっている。
スマートスピーカーを世帯で保有しているが7.4%、認知度は63.6%
スマートスピーカーの製品名を挙げた上で、世帯で保有しているか、あるいは知っているかを調査したところ、「世帯で保有している」と答えた人は7.4%、「どのような製品かを知っている」が27.3%、「名前をきいたことがある」は28.9%となった。
なお、保有するスマートスピーカー(複数回答)は、Google Home/Google Home Miniが39.2%、Amazon Echoシリーズが32.4%、LINEのClova WAVE/Clova Friendsが21.6%と続いた。
スマートスピーカーの保有別に定額制音楽配信サービスの利用率を見ると、世帯にスマートスピーカーがある人の有料プラン利用率は43.1%と高く、非保有者の11.8%と比較すると大きな差が見られる。
利用しない理由は「毎月お金を支払いたくない」「料金が高い」
定額制音楽配信サービスを利用したくない理由は「毎月お金を支払いたくない」が43.3%と高く、「料金が高い」「無料のコンテンツのみで楽しめる」が続く。特に女性の10代や20代でこれらの理由の比率が高い結果が見られる。
Prime Music利用者が4割弱、LINE MUSICは女性若年層から強い支持
続いて、有料プランと無料プラン問わずに定額制音楽配信サービスを現在利用していると回答した人に対して利用実態の詳細を調査した。
現在メインで利用してるサービスは、Amazonがプライム会員向けに提供しているPrime Musicが36.4%で最も高く、無料プランのあるSpotify(16.5%)、無料ユーザーでも1曲30秒間聴くことができるLINE MUSIC(11.3%)が続く。
一方、有料プラン利用者に限定すると、トップは同じくPrime Music(47.6%)で、以下、Apple Music、LINE MUSIC、Spotify、dヒッツと続く。昨年調査と比較すると、Prime Musicの比率の増加が顕著となった。
性年代別にみると、男女13-19歳、女性20代ではLINE MUSICの利用者が最も多く、その他の年代ではPrime Musicの利用者が最も多くなっている。
利用のきっかけは「おまけ的に利用できる」がトップ、スマートスピーカー利用者の2割はスマートスピーカーの入手がきっかけ
現在メインで利用しているサービスを選んだ理由では、「月額の利用料が安い」(21.3%)、「他サービスの会費によりおまけ的に利用できる」(21.3%)、「好きなアーティストの楽曲が配信されている」(21.1%)、「楽曲の数が多い」(21.0%)、「ずっと無料で利用できる」(20.4%)、「オフラインで再生できる」(19.9%)、「コストパフォーマンスがよい」(18.7%)が20%前後で並んでいる。
納得して支払える程度の料金、通信環境によらず音楽を楽しめる利便性と、聴き放題のアーティストや楽曲数等がサービスの選択基準になっている。
一方、定額制音楽配信サービスの利用のきっかけでは、Prime Musicの利用者が多いことから「他サービスの会費によりおまけ的に利用できるから」(21.3%)がトップで、「CDを買ったり借りたりするより、金額的にお得だと思ったから」(17.7%)、「キャンペーンがあったから」(16.9%)が続きます。「スマートスピーカーを入手したから」は全体では3.4%ですが、スマートスピーカー保有者に限定すると19.4%となり、「他サービスの会費によりおまけ的に利用できるから」(20.9%)に次ぐ比率となる。
8.9%がスマートスピーカーで利用、そのうちの65%は利用機会が「増えた」
定額制音楽配信サービスを利用する頻度では、「ほぼ毎日」が20.5%、「週に2〜3回」が18.7%で続く。65%のユーザーは週に複数回利用すると回答しており、男女とも10代で80%前後と高い比率となっている。
一方、利用する機器に関する設問では、本調査はスマートフォン・タブレットユーザーを対象としていることから、スマートフォンが89.2%と高い結果となっているが、スマートスピーカーの利用も8.9%となっている。スマートスピーカーで利用する人の64%は、スマートスピーカーによって定額制音楽配信サービスの利用頻度が増えたと回答している。
7割のユーザーが満足、有料プラン利用者の方が満足度は高い
定額制配信サービスを利用した満足度では、「非常に満足」が21.6%、「やや満足」が49.2%となっており、両者をあわせるとユーザーの70.8%が満足していると回答している。有料プラン利用者に限定すると満足度は72.1%となり、無料プランのみの利用者(67.4%)よりも高い満足度だ。
一方、不満に思うことでは、「好きなアーティストの曲が配信されていない」が39.7%で最も高く、「楽曲数が少ない」が22.5%と続いている。利用料を支払っている有料プラン利用者の方が無料プランのみの利用者よりもこれらの項目を不満に思うユーザーの比率は高い。
多くのサービスで楽曲数、国内人気アーティスト配信数ともに1年前より向上
今回の調査で利用者が多かったサービスについて、楽曲数が多いのはApple Music(4,500万曲以上)、LINE MUSIC(4,400万曲以上)、AWA(4,300万曲以上)が挙げられる。ただしこれらは海外アーティストを含む総数となる。
一方、国内の人気アーティストの指標として「オリコン 2017年度年間ヒットランキング アーティストトータルセールスTOP100」を用いて、このTOP100に含まれる人気アーティストの楽曲が配信されているかどうかを調査すると、dヒッツが79アーティストで最も多く、次いで、うたパスが77アーティストとなっている。
携帯電話事業者が運営する両サービスは、ラジオ型であるため多くのサービスと比較し半額程度の月額料金だが、月間10曲まで保存することが可能。また、楽曲数は多くないものの、国内人気アーティストという強みを持っている。
ただし、全てのサービスで昨年調査時よりも国内人気アーティストの配信数は増加している。
ランキングによるアーティストの変動という要因もあるが、配信されているサービスが増加したアーティストも多数存在している。また、多くのサービスの楽曲数も増加している。
ユーザー調査でも課題に挙げられている好みのアーティストや楽曲数、注目されるスマートスピーカーへの対応、料金プラン、アプリの機能や使いやすさなど様々な面で向上が図られ、今後もより洗練したサービスへと競争が続くことが予想される。