電子音楽とデジタルアートの祭典「MUTEK.JP 2018」日本科学未来館 DAY2 オフィシャルレポート
11月2日、電子音楽とデジタルアートの祭典「MUTEK.JP 2018」が東京・日本科学未来館で開催された。
ここでの開催は今年で2回目。昼と夜、それぞれのプログラムに分かれての開催となった。
昼のプログラムは午前10時から。昼は、ワークショップやアーティストや関係者などによるカンファレンスが行われた。
まずは、TouchDesignerのワークショップを実施。TouchDesignerは、プロジェクションマッピングやメディアアート、VJ用コントローラーまで、さまざまな映像や音に関するシステムを簡単に組み上げることができるオーディオ・ビジュアルツール。初級コース、中・上級コースと2つあり、2日間かけてしっかりと学べる内容となっていた。
ほかに45分〜60分にわたるカンファレンスも行われた。テーマは「female:pressureの20年間」「キュレーションにおける多様性」「東アジアのエレクトロニック・ミュージック・シーンにおける多様性」「MUTEKの20周年」など。「MUTEK.JP 2018」に出演するSapphire Slowやmachinaなども登壇した。
17時30分からは夜のプログラムがスタート。夜は、アーティストによるパフォーマンスが3つのエリアで楽しめるほか、夜にも特別なコンテンツが2つ用意された。
そのひとつが、KDDI × MUTEK.JP da Vinci ers(ダビンチャーズ)「BLOCK UNIVERSE #001」とIntrinsc Music“NO-ON” by KOEL「脳波による内発音楽表現」。
「BLOCK UNIVERSE #001」は、特殊メイクで再現されたレオナルド・ダ・ビンチのモナ・リザがスマートグラスを通じて立体的な姿で目の前に現れるというもの。
空間には、ひとつ椅子が置かれ黄金比をかたどった手すりが設置されており、椅子の背景には、たくさんの線で作られた映像が映し出される。参加者はスマートグラスをかけ、誰も座っていない椅子を見るとモナ・リザの絵画が現れ、手すりをたよりに歩いて行くとモナ・リザの絵画の世界に入り込む。するとモナ・リザはこちらを見て手を振り、モナ・リザの前を過ぎ振り返るとカシャッとスマホを片手に写真に撮る彼女の姿も。
「脳波による内発音楽表現」は、参加者の脳波を検出し自動作曲を行うというもの。3面の透過スクリーンに囲まれた椅子に座り、脳波を検出するデバイスを頭に付ける。
スクリーンには映像が映され、それを見て発せられる脳波によって音が変わっていき、デルタ波、シータ波、ロー・アルファ波、ハイ・アルファ波、ロー・ベータ波、ハイ・ベータ波、ロー・ガンマ波、ハイ・ガンマ波の8種類を検知し、音も映像も変わっていくという試みがなされた。
「MUTEK.JP 2018」のいわゆるメインステージにあたるSpecial Exhibiton Zone 1Fでのライブパフォーマンスは、日本人アーティストSapphire Slowsからスタート。
18時30分。本来であれば閉館して静かになった日本未来科学館が、Sapphire Slowsの出す低音に共鳴して震えだす。
続くBen Frost & MFOではさらに低音が強烈になると、スピーカーの前では呼吸が苦しいほど、ダークでミニマルな振動がフロアを満たす。
7階にあるPlay 1ではElectric Indigoのパフォーマンスも。彼女の音は、どこで何が鳴っているかが分かるほど。左斜め前の上のほうでヘリコプターが飛ぶような音が聴こえ、前後左右では、大きなスピーカーに電気を通したときに起こるパチパチといったノイズ音が至るところで鳴り、あまりにもはっきりし過ぎて生々しい音がその場を支配していた。
「MUTEK.JP 2018」の人気プログラムであるドームシアターではSynich Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Expressのパフォーマンスを体験。
シートに座わり上の見上げると視界は、ドーム型のスクリーンで埋まる。そして彼らのパフォーマンスは3Dメガネをかけて楽しむというもの。
目の前に砂漠、海、氷河などのようなものが現れては動き消えていく。葉脈や稲妻のような光の線、たくさんのドットに囲まれた。
このあとに、Symbol Zone 1FでSynich Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Expressのドームシアターと同じパフォーマンスが披露された。
日本科学未来館のシンボルである地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」に同じ作品を投影するというもので、普段は地球が投影されているジオ・コスモスに前述した映像が映し出される。
そしてSpecial Exhibiton Zone 1Fは、この日のヘッドライナーであるCorneliusが登場。
転換中、ステージにはスクリーンが降ろされ、中央に光の粒で円が描かれ、振動に共鳴するように細かく動く。ポチャンと水面に石が投げ込まれる音がすると、各楽器の音も聴こえだし「あなたがいるなら」のインストが流れると各メンバーのシルエットがスクリーンに。
最後にKEIGO OYAMADAのクレジットとシルエットが写り、そしてメンバー全員が照らされる。スクリーンが落ち、Corneliusが姿を表すと、そこから「いつか / どこか」を演奏し、ライブは進んで行った。
60分におよんだライブ。最後の曲は、オープンニングで演奏された「あなたがいるなら」を再び。演奏が終わるとスクリーンに「Thank you very very much everyone Mellow Waves」の文字が。
照明が上がり、ステージに並ぶメンバー4人に万雷の拍手が注がれた。
©MUTEK Japan