USEN-NEXT HOLDINGSが「働き方改革セミナー」を開催
12月11日にUSEN-NEXT HOLDINGSの目黒本社にて「働き方改革セミナー」が開催された。
USEN-NEXT HOLDINGSでは、働き方改革推進の一環として、「Work Style Innovation」と名付けた新人事プロジェクトを2018年6月より導入し、9月からグループ全社でフレックスタイム制度、テレワーク勤務制度を実施している。本セミナーでは、「生産性高く、活き活きと働くために時間や場所の概念を捨てる」という経緯に至ったUSEN-NEXT GROUPの想いや考え方、その結果得られた価値などが話された。
「働き方改革セミナー」は、まずオフィスツアーからスタート。
USEN-NEXT GROUPは、2017年12月にU-NEXTグループとUSENグループの2社グループが経営統合し、発足した。目黒の本社には、グループ企業9社約1,300名が集っている。
当セミナーの会場となった13階の「HOSPITALITY Floor」には、カンファレンスルームや、窓際に設けられたオープンな環境のミーティングスペース、応接室の他、カフェと社員専用のコミュニケーションスペースなどが設けられている。
その他、同社のサービスを紹介するショーケースラウンジも設置。「アパレル」「クリニック」「ビューティーサロン」「ダイニング&バー」「ホテル」それぞれの事業へ向けたサービスを体験できるスペースとなっている。
第1部では、USEN-NEXT HOLDINGSの働き方改革プロジェクト「Work Style Innovation」を導入した現場の話として、USEN-NEXT HOLDINGS People Activation部 Design課 課長の山本まりも氏より、設立50年以上の同社が働き方改革を全社へ導入した背景や実施施策、今後の展開、裏側の苦労などが詳しく紹介された。
2017年12月にU-NEXT社とUSEN社が経営統合し、USEN-NEXT GROUPが発足。社員数は約5,000名の規模となった。
新たな企業体となり、USEN-NEXT GROUPの企業ビジョンとして「必要とされる次へ。」を掲げ、東証一部上場企業グループとしての基準をクリアし、目指す姿と現状とのギャップを埋めていく中で、生産性の向上や、より活き活きとした社員が集まる企業体に生まれ変わっていく必要があったという点が、今回の働き方改革の背景となったという。
働き方改革プロジェクトの始動時には、まず他社情報のリサーチを行い、自社で展開していく際の“働き方改革のコンセプト”を作っていったという。「かっこよく、働こう。」というコンセプトは、生産性の高い働き方をしていくことで結果につながり、かつそれが社員それぞれの働きがいやプライベートの充実と繋がることで、USEN-NEXT GROUPらしい“かっこいい”働き方になるという想いが表れている。
USEN-NEXT HOLDINGサイト:
新人事プロジェクト『Work Style Innovation』
新人事プロジェクト『Work Style Innovation』第二弾
具体的な施策は、コアタイムやフレキシブルタイムを設けないフレックスタイム制度、IT技術を駆使し社内と同じ業務環境でのテレワーク勤務制度の導入で、グループ全社が順次導入している。
その他、夏期にはクールビズを活用し“より働きやすい格好でスタイリッシュにかっこよく働く”ことを目的とした「Cool&Smart BIZ!」や、普段の業務における課題に対してアイディアを出し合い、業務の中での改善案・新たに作りたい制度等を募集するコンテスト「Innovation コンテスト」、11月からはグループ間交流を図るために水曜日にフリードリンクや軽食を社内のラウンジで無料提供する「ハッピーアワー」イベントも開催している。
また、10月からは「Work Style Innovation」の一環として社員一人ひとりの成長を促す人材最適配置プログラム「Next Way」も実施している。「Shine U=キャリアエージェント制度」、「Want U=社内公募制度」、「Try U=ジョブローテーション制度」を順次始動しており、既に多数の異動が成立し、社員の様々な活躍の場が広がっているという。
こういった様々な施策を取り入れ、USEN-NEXT HOLDINGS社員向けにアンケートを実施。フレックスタイム制度では約9割の社員が「働きやすい環境になった」、約7割の社員が「効率よく働けるようになった」と回答。テレワーク勤務制度では約8割の社員が「働きやすい環境になった」、約7割の社員が「効率よく働けるようになった」と回答しているなか、課題も見えてきたという。
この「働き方改革」の本質である“生産性・結果を追求する”といった部分で、紙資料の削減や稟議の簡略化などが進んでいるが、まだ社員の意識改革にはまだ時間がかかると感じているという。また、チーム内のコミュニケーションや情報共有に課題を感じているということで、ツールの開発・導入を進めているという。例えば、人事評価の簡略化を図るため、コミュニケーションや人事評価シートの簡略化のために業務アプリ開発プラットフォーム「kintone」の開発を進めている。
本セミナーの第2部では、USEN ICT Solutions クラウドサービス部 部長 大下幸一郎氏より「kintone」や「LINE WORKS」などのツール活用事例について紹介された。
USEN ICT Solutionsは、ICTソリューションの「マルチサービスベンダー」として、法人向けのネットワークインフラからクラウドサービスまで幅広く事業を展開している。今回のセミナー開催は、企業より働き方改革に取り組みたいが方法が分からないという相談が多かったことがきっかけとなったという。
セミナーでは、大下氏の営業チームが業務の効率化に「kintone」「LINE WORKS」を活用した事例が紹介された。
大下氏のチームは営業職12〜3名で、チーム内で1名産休・育休を取る女性社員がいたことを期に業務の見直しが行われたという。出産の2ヶ月前から規定上では産休を取得できるが、遠方に住んでいるため半年前から通勤が辛い状態になっており、「辛い」ということも言いづらく育休明けも現状のままだと復帰が難しい状況だった。会社としては「既存のお客様の顧客満足とともに売上を上げたい」という立ち位置と、チームメンバーの立ち位置の溝があり、これをきっかけに在宅ワークができるようにツールを活用し在宅勤務が可能となる環境を整えた。
営業のチームとしては、顧客満足度向上のため顧客サポートを強化したいが、人のリソースが足りない状態、会社としては売上を向上させたいという命題があり、そのつなぎの部分をその女性社員が担えないかと在宅勤務ができるようツールを活用したという。
「kintone」は、簡単にいうと「あらゆることができるExcel」で、業務管理のツールを簡単に開発できるプラットフォーム。ビジネスアプリやデータベースを簡単に作成・共有できるクラウドサービスとなっている。
まず、「kintone」上のワークスペースでフォローコール業務をマニュアル化し、在宅で電話サポートができるように、コールの内容を選ぶだけで入力が完了するような仕組みを構築した。このような働き方をする中で顧客とのやり取りの情報共有など、コミュニケーションを多く取る必要があり、コミュニケーションツールとしてはビジネス版LINEの「LINE WORKS」を活用した。
「kintone」は業務の見える化、情報を貯めていく部分で効果を上げており、「LINE WORKS」は送ったメッセージを“誰が既読”にしたか確認ができるなど、タイムリーなコミュニケーションに向いているため、2つのツールを活用し、業務の見える化を図り在宅勤務を可能にした。
社員は自身の体調と相談しながら仕事をすることができ、チームリーダーとしてはメンバーのライフステージ変化への対応、顧客に対してプッシュ型のフォローが実現し顧客満足度の向上に繋がった。産休に入る社員、チームリーダー、会社、それぞれのニーズを満たすことに成功したという。
「働き方改革」は会社全体で取り組みが必要だが、まずは自身の担当業務改善から取り組むことが第一歩ではないかと提言された。
第3部では、サイボウズのオフィシャルSIパートナーであるジョイゾー代表取締役 四宮靖隆氏より、リリースしたばかりのノーコ-ディングで「LINE WORKS」と「kintone」を連携させるチャットボット「Joboco」の紹介がされた。