音源違法アップローダーの氏名等、開示命じる判決下る
2月12日、東京地方裁判所はインターネットサービスプロバイダのソフトバンクに対し、ファイル共有ソフト「Share」および「BitTorrent」を利用してインターネット上に大量の音楽ファイル(以下、音源)を継続して違法にアップロードしている4つのIPアドレス利用者の氏名、住所等(以下、発信者情報)を音源の権利を有する日本レコード協会会員レコード会社に開示するように命じる判決を下した(2月27日判決確定)。
本件は、同協会会員レコード会社がインターネットサービスプロバイダ14社を対象に、自らが権利を有する音源をファイル共有ソフト「Share」および「BitTorrent」を利用して許諾なくアップロード(公開)している者に対し、著作隣接権(送信可能化権)侵害に係る損害賠償請求等を行うため、「プロバイダ責任制限法」第4条1項に基づき26のIPアドレスを利用してインターネットに接続していた者の氏名、住所および電子メールアドレスの開示を昨年7月より求めていたもの。
そのうち19のIPアドレスについては任意に発信者情報が開示されたが、ソフトバンクが同社のサービスを利用する4つのIPアドレスについて発信者情報の開示に応じなかったため、昨年12月、同協会会員レコード会社が東京地方裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起していた。
同協会会員レコード会社は2013年から2017年までの5年間に、ファイル共有ソフトを利用して音源を違法にアップロードしていた130名について、インターネットサービスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行った。その結果、97名は訴訟によらず発信者情報が開示され、任意に開示されない場合には発信者情報の開示を命ずる判決を得て、最終的に全件発信者情報が開示されている。
なお、同協会会員レコード会社は開示された発信者情報に基づき、代理人弁護士を通じて違法アップローダーとの間で「今後著作権侵害をしない旨の誓約」および「損害賠償金の支払い」に関する協議を随時進めているとのこと。
同協会および同協会会員レコード会社は、音楽配信市場の健全な発展とこのような著作権法違反行為の撲滅のため、今後もファイル共有ソフト等を利用した権利侵害行為への対応を積極的に進めていくとしている。