ぴあ総研、2019年のライブ・エンタメ市場が6,000億円を突破し過去最高となる速報値を公表 2020年のコロナ禍の影響を試算
ぴあ総研が、ライブ・エンタテインメント調査委員会からの委託を受けて実施したライブ・エンタテインメント市場規模の調査速報値を公表した。
今回公表した2019年(暦年)のライブ・エンタテインメント市場規模(速報値)は、統計を開始した2000年以降で最高の6,295億円(前年比7.4%増)を記録した。しかし、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大による開催自粛が、好調な成長に急ブレーキをかける模様だ。ここでのライブ・エンタテインメント市場規模は、音楽コンサートとステージでのパフォーマンスイベントのチケット推計販売額合計と定義している。
音楽市場について
2019年の音楽市場規模は、前年比9.4%増の4,240億円(速報値)と推計される。収容人数4万人規模以上の大規模会場での公演回数増が市場を牽引した。その筆頭は、2020年12月31日をもって活動を休止することを発表した嵐で、約1年間にわたる全50公演で延べ約237万人を動員した。三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、AAA、サザンオールスターズ、乃木坂46がそれに続く。
ステージ市場について
2019年のステージ市場規模は、前年比3.6%増の2,058億円(速報値)と推計される。収容人数1,000〜2,000人規模の会場での公演回数増がプラスに寄与した。2019年2月に大阪市に劇場型文化集客施設クールジャパンパーク大阪(WWホール1,138席)が、10月には渋谷区に渋谷公会堂(1,956席)が、そして11月には豊島区に豊島区民芸術文化劇場(1,300席)がそれぞれ新開場した。また、11月に耐震工事による休館を経て京都南座(1,086席)が再開場するなど、供給の“場”の相次ぐ整備が成長エンジンとなった。
2020年の市場規模の試算について
新型コロナウイルス感染症拡大により、今年2月以降、数多くの公演が開催中止や延期となり、ライブ・エンタテインメント市場は大幅な縮小を余儀なくされた。非常事態宣言解除後も、収容人数や収容率の制限など自粛緩和は段階的であることなどから、市場の回復は緩慢なものとなることが想定される。現時点でこれらの影響を複合的に考慮すると、2020年のライブ・エンタテインメント市場規模は1,836億円と試算され、過去最高を更新した2019年から一転、3割にも満たない水準になるとみられる。
なお、2019年の市場調査の詳細分析については、「2020 ライブ・エンタテインメント白書」としてまとめて、秋頃に発行予定だ。
本ライブ・エンタテインメント市場調査について
ライブ・エンタテインメント市場を客観的に評価する市場規模や動員数等のデータがほとんどないという状況を受けて、ぴあ総研が2000年から推計をスタートしたもの。2011年からは、その主旨に賛同する業界団体・企業によって構成される「ライブ・エンタテインメント調査委員会」が同調査の実施を引き継ぎ、ぴあ総研が同委員会から委託を請けて行っている。日本で唯一のライブ・エンタテインメント市場全体を捉える統計調査として信頼を得ている。
ライブ・エンタテインメント調査委員会の参画団体・企業
- 日本音楽事業者協会
- 日本音楽制作者連盟
- コンサートプロモーターズ協会
- 日本音楽出版社協会
- 日本音楽著作権協会
- 日本演劇興行協会
- 電通
- 博報堂
- 博報堂DYメディアパートナーズ
- ぴあ
- ローソンエンタテインメント
- イープラス
- コミュニティ・ネットワーク