JASRAC、2020年度第1四半期の分配額は前年同期比16.7%増の310億3千万
日本音楽著作権協会(JASRAC)は7月20日、2020年度第1四半期(2020年4月から6月まで)報告を発表した。
2020年度第1四半期の徴収額は、2019年度同期比で3.2%増の268億6千万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるイベントの中止、社交飲食店の休業・廃業が相次ぎ、演奏等が大幅な減収となったものの、大手事業者との契約更改や過年度分の入金等があったインタラクティブ配信が大幅な増収となり、全体でも2019年度同期の実績額を上回った。緊急事態宣言及びイベント開催・飲食店営業等の自粛要請は6月に一旦解除されたものの、演奏等を中心に厳しい状況が続くものとみられ、2020年度の徴収額は減少が見込まれる。
また、分配額は2019年度同期比で16.7%増の310億3千万となった。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が本格化する前の2019年度下半期における徴収額を反映したものであり、インタラクティブ配信やビデオグラムが好調であったことに加え、分配早期化の取組の結果、一部のサブスクリプションサービスについて2期分を分配したことなどにより、2019年度同期の実績額を大きく上回り、6月分配期の実績額としては過去最高となった。なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、2020年度第3四半期以降に本格化することが見込まれる。
経常収益は、2019年度同期比で3.5%増の36億4千万円となった。2019年度同期比の伸び率が分配額の16.7%増よりも顕著に低いのは、2019年9月分配期以降の管理手数料体系について、より実態に即したものとするための変更をしたことによる。
経常費用は、2019年度同期比で7.3%増の24億6千万円となった。これは、海外出張費や旅費交通費が減となった一方、信託会計及び一般会計の経理処理を行うためのシステムのサーバ化に伴う一時費用及び在宅勤務の環境整備のためのシステム対応費用を支出したため機械計算関係費が増となったこと等によるものである。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年度の管理手数料収入の減少が見込まれることから、使用料の分配を滞りなく実施していくことを最優先事項としつつ、費用の支出削減を綿密に進めていくとのこと。