2019年の音楽フェス市場、前年比12.1%増の330億円とするも2020年は9割近く消失する見込み〜ぴあ総研公表
ぴあ総研が7月30日、毎年行っている音楽フェスの市場動向に関する調査結果を公表した。
本調査では、音楽ポップス分野のフェスティバル形式(同時間帯に複数アーティストが出演する形式)のイベントのチケット販売額を推計し、音楽フェス市場規模を算出。2019年1月〜12月に開催されたイベントが対象となっている。
2019年の音楽ポップスフェス市場規模推計
2019年の音楽ポップスフェス市場規模は、前年比12.1%増の330億円へと拡大。動員数も、295万人(前年比8.5%増)となった。
2019年は、台風の影響により日程の一部を中止したフェスが複数あったものの、20年目を迎えた老舗フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が、開催日程を5日間に拡大し過去最大の計33万人の動員を記録、同じく20年目の「SUMMER SONIC」が東京と大阪の両会場あわせて計30万人を動員するなど、盛り上がりをみせた。
老舗フェスに加えて、新興フェスも市場を活性化させている。都市型ダンスミュージック・フェスティバル「Ultra Japan」は6年目を迎え、計6万人を動員。さらに、イギリスで2003年から毎年開催されているメタル・フェス「DOWNLOAD FESTIVAL」が、2019年3月に初めて日本で開催され、チケットを完売した。
しかし、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大による開催自粛により、音楽ポップスフェス市場規模は2019年の1割程度の水準に落ち込むとみられる(2020年7月25日時点での、開催済み・開催予定・中止延期情報に基づく試算)。
なお、ここでいう市場規模は、チケット売上の推計総額となる。フェスへの来場者が支出する交通・宿泊費や飲食費や、会場設営等にかかる事業費をあわせた直接経済効果はさらに大きく、これを基に誘発される生産波及効果はかなりの規模にのぼる。フェスの相次ぐ中止・延期による深刻なダメージは、ライブ・エンタテインメント産業のみならず、地域経済へも広く波及しているとみられる。
ぴあ総研では、2000年からライブ・エンタテインメント市場調査を継続しており、2019年のライブ・エンタテインメント市場全体の調査結果は「2020 ライブ・エンタテインメント白書」としてまとめ、今秋の公表を予定している。