Apple Music、ドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレスオーディオを6月より追加費用なしで提供
Appleは5月17日、Apple Musicにドルビーアトモスによる空間オーディオを導入することによって、サブスクリプションの登録者に業界最高レベルの音質を提供することを発表した。
空間オーディオは、アーティストがファンに向けて、真の多次元サウンドと鮮明さを備えた臨場感あふれるオーディオ体験を作り出すことができる。さらに、Apple Musicのサブスクリプションの登録者は、アーティストがスタジオで制作したままのロスレスオーディオで、7,500万を超える楽曲を聴くことができるようになる。これらの新機能は、Apple Musicのサブスクリプションの登録者に来月から追加費用なしで提供される。
AppleのApple MusicおよびBeats担当バイスプレジデント、オリバー・シュッサー氏は「Apple Musicは、音質の面でかつてない大きな進歩を遂げることになります。ドルビーアトモスで曲を聴くのは、まるで魔法のようです。音楽が周囲のあらゆる方向から降り注ぎ、素晴らしい響きをもたらします。私たちはリスナーのみなさんに、この実に革新的で臨場感あふれる体験を、J.バルヴィン、グスターボ・ドゥダメル、アリアナ・グランデ、マルーン5、ケイシー・マスグレイヴス、ザ・ウィークエンドなど、みなさんのお気に入りのたくさんのアーティストの音楽と共にお届けします。また、サブスクリプションに登録されているみなさんは彼らの音楽をロスレスオーディオの最高の音質で聴けるようになります。私たちの知っているApple Musicは、まったく新しく変わろうとしているのです」と述べている。
ドルビーラボラトリーズのプレジデント兼CEO、ケビン・イェーマン氏は「本日発表されたApple Musicのドルビーアトモスの導入は、アーティストの音楽の作り方とファンの音楽の楽しみ方をがらりと変える、新しい音楽体験です。すべてのミュージシャンと音楽を愛するすべての人が、ドルビーアトモスによる空間オーディオを幅広く利用できるように、私たちはApple Musicと協力していきます」と述べている。
J.バルヴィン氏は「Apple Musicのこのプロジェクトに参加できてとても嬉しいです。いつも人より一歩前にいたいし、今回のプロジェクトもそうしたものの1つだと思うから。ロスレスでは、音楽の中のすべての要素がもっと大きく、もっと強く聞こえるようになります。でももっと重要なのは、音質がより良くなるだろうということです。自分の声と自分の音楽を初めてドルビーアトモスで聴いた時には、言葉ではうまく言えませんが、とにかくすごくて興奮しました。ファンのみなさんもきっとこの体験をすごく気に入ると思います」と話している。
グスターボ・ドゥダメル氏は「指揮者として、マーラーの至高の傑作『千人の交響曲』の演奏を率いるという、我を忘れるような圧倒的な体験は、とても言葉では表現できません。けれども今日、テクノロジーの進歩によって、その体験が私たちの耳に、私たちの心に、私たちの魂に近づきつつあります。我が最愛のロサンゼルスフィルハーモニー管弦楽団との、この記念碑的なライブ演奏が、Apple Musicで初めてドルビーアトモスオーディオテクノロジーでリマスターされました。LAフィルと録音したドイツ・グラモフォンの私のコレクションとともに、豊かな卓越した3Dサウンドでお楽しみください」と話している。
グラミー賞を受賞したプロデューサーでソングライター、そして作曲家でもあるジャイルズ・マーティン氏は「レコーディングが始まって以来、アーティスト、プロデューサー、エンジニアは、音によって絵を描き、リスナーをまるで知らなかった世界へ連れていこうとしてきました。音が1つのスピーカーからしか聞こえなかった時代にもです。臨場感あふれるオーディオが出現した今、私たちは音楽を愛する人々を音楽の内側へ連れていくことができます。好きなアーティストが自分と同じ部屋で歌っているのを聴いているような感覚から、フルオーケストラのど真ん中に座っているような体験まで、リスニング体験は斬新なものになり、クリエイターの可能性は無限です。これは技術の飛躍的な進歩です。ありがたいことに、私はこれまで何人かの歴史に残る偉大なアーティストのドルビーアトモスへのミキシングを手がけてきました。この仕事では、私自身が好きなアルバムの中に没入してしまうことがあります。自分自身が音楽の中にどっぷり浸って、よく知っている曲なのに急に新しく、新鮮に、すぐそばにあるように聴こえるという、独特な体験があるのです。Apple Musicを通じて、この素晴らしい体験を分かち合えるようになったことは、クリエイターとして喜び以上の気持ちです」と話している。
ミキシングエンジニアのマニー・マロクイン氏は「空間オーディオは音楽に新しいアイデンティティをもたらします。アトモスにミキシングするたびに、鳥肌が立ちます。未来が到来しました」と話している。
ロスレスオーディオでの視聴を始めるには、Apple Musicの最新バージョンを使用しているサブスクリプションの登録者は、「設定」>「ミュージック」>「オーディオの質」でオンにできる。ここで、モバイル通信、Wi-Fiなどのさまざまな接続方法、またはダウンロード用に、さまざまなレゾリューションを選択できる。Apple Musicのロスレスのレベルは、16ビット/44.1kHz(キロヘルツ)のCD品質から、最大24ビット/48kHzまであり、Appleのデバイスでそのまま再生できる。また、本物のオーディオファン向けに、Apple Musicは最大24ビット/192kHzのハイレゾリューションロスレスも提供する。
プロデューサーのパイパー・ペイン氏は「ミキシングの真髄は、ロスレスファイルに保存されているデータの余分なかけらの中に腰を落ち着けることです。マスタリングエンジニアとして、音楽を最高の品質でリスナーに届ける能力を持つことが、毎日の仕事での最終的な目標です」と話している。