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Apple Music、ドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始

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6月8日、Apple Musicはドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始した。サブスクリプションの登録者は追加費用なく、新次元のサウンドを楽しむことができる。

Apple Musicはドルビーアトモスによる空間オーディオを導入することで、大好きな音楽をより一層身近に感じることができる、プレミアムなリスニング体験を提供する。空間オーディオは、モノラルからステレオへと進化してきた録音技術の、まさに次のステージと言える。音楽に包み込まれ、頭上を含むあらゆる方向から聞こえてくる。これはサウンドの未来であり、音楽の聴き方やアーティストの創作活動に革命を起こす、実に大きな飛躍だ。

同日より、サブスクリプションの登録者は世界のトップ・アーティストや様々なジャンルから、何千もの楽曲を空間オーディオで楽しむことができるようになった。空間オーディオに対応するアルバムは詳細ページにバッジが表示されるので、簡単に見つけられる。また、Apple Musicのエディターが厳選した空間オーディオのためのプレイリストも公開され、リスナーは好きな音楽を見つけたり、新しいお気に入りに出会うことができる。

これらの厳選されたプレイリストは、ロックからヒップホップ、ジャズ、クラシック、ラテン、ポップまで、空間オーディオで制作された新しい音楽から、空間オーディオにリミックスまたはリマスターされた過去の名曲まで展開。

ザ・ウィークエンド、アリアナ・グランデ、テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、ザ・ローリング・ストーンズなど、ドルビーアトモスによる空間オーディオの魔法を存分に味わえる楽曲の数々を集めたプレイリスト「空間オーディオの世界」。ビリー・アイリッシュ、ジャクソン5、コールドプレイ、サム・スミスなどの輝かしいヒット曲の数々を、これまで体験したことのないサウンドで楽しむことができるプレイリスト「空間オーディオ:ヒッツ」。ビートルズ、プリンス&ザ・レヴォリューション、イーグルス、ガンズ・アンド・ローゼズなどの楽曲を集めた、まるで伝説的なスタジオやステージ上で、バンドの演奏を浴びるような臨場感を味わうことができるプレイリスト「空間オーディオ:ロック」。マルーン5、Cardi B、レディー・ガガ、セレーナ・ゴメスなど、ダンスフロアの真ん中で、ポップソングのきらめく光を浴びるような体験ができるプレイリスト「空間オーディオ:ポップ」。リル・ベイビー、カニエ・ウェスト、ミーゴス、ポスト・マローン、ジェイ・Zなど、サンプリングにビート、MCのラップが迫り来る楽曲の中に踏み込むことができるプレイリスト「空間オーディオ:ヒップホップ」。ケイシー・マスグレイヴス、ジョニー・キャッシュ、キャリー・アンダーウッド、フロリダ・ジョージア・ラインなど、カントリーミュージックの最大の魅力、温かさときらめきを極上サウンドで味わうことができるプレイリスト「空間オーディオ:カントリー」。ハービー・ハンコック、ハリー・コニックJr.、リー・モーガン、ダイアナ・クラールなど、ジャズが放つエレガンスと魔法を、新たなサウンドで体験することができるプレイリスト「空間オーディオ:ジャズ」。ボストン交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団、など、指揮者の隣でオーケストラの壮大なサウンドに身を委ねるような音楽体験ができるプレイリスト「空間オーディオ:クラシック」。

これらのプレイリストでドルビーアトモスの空間オーディオを一挙に楽しむことができる。これらのプレイリストは、特集ページ「ドルビーアトモスの空間オーディオ」に公開されており、またそれぞれのプレイリストの解説も掲載されている。

特集ページ「ドルビーアトモスの空間オーディオ」には、「注目のプレイリスト」「新着ミュージック」「ベストニューソング」「注目のアルバム」「ポップ」「ヒップホップ」「カントリー」「ダンス&エレクトロニック」「ロック&オルタナティブ」「クラシック」「ジャズ」「R&B」「ラテン」などのカテゴリーが設けられており、小澤征爾、アリス=紗良・オット、村治佳織などの日本人アーティストを含む様々な作品を楽しめる。

さらに多くのアーティストが空間オーディオの体験に特化した音楽の制作を始めており、Apple Musicはアーティストやレーベルと協力してニューリリースや人気のカタログ作品を追加していく。Apple Musicとドルビーは、ミュージシャン、プロデューサー、ミキシングエンジニアがドルビーアトモスで簡単に曲作りができるように取り組んでいる。主要マーケットでのドルビー対応スタジオ数の倍増、教育プログラムの提供、インディペンデントのアーティストへのリソース提供などの活動を進めている。

さらに、Appleは臨場感あふれる音楽制作ツールをLogic Proに直接組み込んでいく。今年中に、AppleはLogic Proのアップデートをリリースする。これにより、ミュージシャンは誰でもApple Musicと互換性のある空間オーディオで楽曲を制作しミックスできるようになる。

また同日より、Apple Musicで7,500万を超える曲のカタログがロスレスオーディオで利用できるようになった。Appleはすべての音源ファイルの保存にALAC(Apple Lossless Audio Codec)を使用している。つまり、Apple Musicのサブスクリプションの登録者は、アーティストがスタジオで制作したのとまったく同じものを聴くことができるようになる。

ロスレスオーディオでの視聴を始めるには、Apple Musicの最新バージョンを使用しているサブスクリプションの登録者は、「設定」>「ミュージック」>「オーディオの質」でオンにできる。ここで、モバイル通信、Wi-Fiなどのさまざまな接続方法、またはダウンロード用に、さまざまなレゾリューションを選択できる。

Apple Musicのゼイン・ロウ氏は、空間オーディオがいかに音楽を変革していくかを以下のようにコメントしている。

Apple Musicのゼイン・ロウ、空間オーディオが音楽にもたらす変革について語る

Apple Musicで本日から空間オーディオが利用可能になりました。この音楽ストリーミングサービスでArtist Relations共同代表を務め、ラジオ番組のDJでもあるゼイン・ロウが、この新しいテクノロジーが音楽ファンやアーティストにとって意味することについて語ります

AirPods ProとペアリングされているiPhone 12 Proに表示された、Apple Musicのアリアナ・グランデのアルバムカバー。 Apple Musicのサブスクリプション登録者は、ドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレスオーディオを利用できます。

モノラルから始まり、次にステレオ、そしてこの度、空間オーディオへと進化しました。空間オーディオは、さまざまな方向からサウンドが降り注いでリスナーを包み込む、臨場感あふれる音楽体験です。これまでこのような体験をしたことがあるのは、映画館の中だけでした。それが音楽ではどのような効果があるか、想像したことはありますか?私はあります。

まずはAirPodsで空間オーディオを聴く機会がありました。最初は困惑しましたね。「AirPodsで本当に効果があるのかな?特別なスピーカーがあるリスニングルームみたいな場所にいつ行くんだろう?」ですが担当者は「いやいや、ただ再生ボタンを押してみて」という感じでした。

最初にレディー・ガガの「Rain on Me」やカニエ・ウェストの「Black Skinhead」などを聴きました。ステレオの時代に生まれた私にとっては、言葉にするのは難しかったです。これまでずっと2チャンネルの環境しか知らなかったのですから。そして段々、過去や現在の数多くのアーティストたちが、このようなテクノロジーがあったら喜んで使ったであろうということが分かってきました。彼らはこのようなテクノロジーを使って、曲をいきいきと表現し、さらに大きく聴かせ、まだ誰も想像すらしたことのないレベルへと引き上げたことでしょう。しかし、アーティストの曲を再生するのは2つのステレオチャンネルだけでした。それが今、次のステージへと進めるようになりました。つまり、あらゆる曲のパートが自分の背後や周りから聴こえるようになるということでしょうか?私は「まさにこれだ。なるほど」と思いました。テレビはHDになりました。今度は音楽が空間オーディオになる番です。

すぐに頭に浮かんだのは「アーティストたちはこれをどう使う?」ということです。「リル・ベイビーならこれをどう使う?オリヴィア・ロドリゴやペギー・グーならどう使う?フランク・オーシャンはどう使う?彼らは現在の2チャンネル環境とは異なる3次元環境というアイデアを取り入れて、音楽制作を始めるだろうか?」

お気に入りの曲を空間オーディオという別の方法で聴いた時に、自分はどのような感情を抱くのか、ぜひ知りたいと思いました。なぜなら、これは耳を通して何かを呼び起こすような体験だからです。これらの曲を空間オーディオで聴いたとき、そのように思いました。とてもよく知っている曲を聴いているのに、何か違うことを感じたのです。ですから、これはサウンドの聴こえ方だけに留まらず、曲をどんな風に感じるかにも大きな影響があります。

今後、アーティストたちはこれまで聴いたことのないものを聴くことになると確信しています。ビリー・コーガンがエンジニアにこのように言っているところを想像してください。「1993年に『Quiet』のイントロのギターを作ったとき、出だしはリスナーの5kmくらい後ろから聴こえるようにして、それから3.2秒で、ジミー・チェンバレンのドラムが入るのに合わせてリスナーの目の前に落ちてくるようにしたかったんだ」ご存じのように、私はビリー・コーガンではないですし、これは私の作り話です。ですが、もしこの話の続きを考えるなら、彼ならどうするでしょうか?

現代の音楽の多くは、イノベーションに大きな影響を受けています。マルチチャンネル録音に始まり、エレキギターやマイクにシンセサイザー、テープエコーやサンプラー、そしてMIDIやiPodまで、非常に多くのテクノロジーが、音楽の演奏、再生、記録、レコーディング、ミキシング、共有のために発明されました。空間オーディオが登場したことで、ミュージシャン、エンジニア、プロデューサーはこの素晴らしい新たなツールを使い、数千万の人々に新しい3D体験をもたらします。いつだって、すべてはアーティストが新しい1つのツールを試すことから始まります。それがやがては「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」や「Pet Sounds」へとつながります。

それは新しいツールを取り入れるアーティストから生み出されます。それはツールを使う人やツールを気に入った人による投資が必要です。子どもの頃、私がビートを作り始めたときは、サンプラーを買うためにたくさん貯金をする必要がありました。サンプラーはすぐに買えるものではなく、店頭にほとんど置かれていませんでした。空間オーディオなら、AirPodsを耳につけ、再生ボタンを押せば、空間オーディオ体験ができます。音楽ファンやアーティストは今、空間オーディオで音楽を聴いたり、空間オーディオで音楽を作る方法を手に入れています。これこそ物事が変化するときであり、そこに座って音楽を聴いている若者に影響を与え、「自分の音楽をこれくらい良いサウンドにしたい」と思わせるようになります。

ここからが本当にワクワクする旅の始まりです。私がステレオの時代に生まれたように、いずれは空間オーディオの時代に生まれた新しいアーテイストたちが登場するでしょう。未来のアーティストたちは空間オーディオしか知らないので、ステレオ録音をしようと思うことなどないかもしれません。空間オーディオを使った音楽制作はますます向上していくでしょう。Appleでは年内に、臨場感あふれる音楽を制作するためのオーサリングツールをLogic Proに直接組み込む予定です。そのため、あらゆるミュージシャンがApple Music向けに空間オーディオを利用した曲の制作やミキシングを、スタジオでも自宅でも、どこにいてもできるようになります。

もちろん、ステレオはこれからも存在します。モノラルが廃止されなかったように、ステレオを廃止しようとする人はいません。私はたくさんのモノラルレコードをコレクションしていますが、それらのレコードはモノラルで聴くことを前提に作られているので、素晴らしいサウンドを響かせます。ステレオで聴くために作られた音楽は、これまで通り、ステレオで見事なサウンドを聴かせてくれるでしょう。しかし今、音楽は空間オーディオを使った環境に向かっています。これは何かの終わりではありません。何か新しいことの始まりなのです。

—ゼイン・ロウ、Apple Music

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