ライブ市場の2021年上半期、公演数は216.2%に増加も市場規模は86.7%の462.3億円 コロナ禍前の2019年同期比29.4%に留まる〜ACPC発表
ACPCは11月11日、全国の正会員社を対象に実施した2021年上半期のライブ・エンタテインメント市場についての調査データを発表した。
この調査報告は1989年より始まり、コンサートプロモーターの事業活動およびライブ市場の動向をデータ化した国内唯一の資料として、調査を重ねている。
2021年上半期 集計結果
調査対象期間 2021年1月1日〜6月30日
会員社数 72社(前年同期比+1社)
総公演数 9,564本(前年同期比+5,140本 /比率216.2%)※2019年同期比64.0%
総動員数 712万3534人(前年同期比+18万0977人 /比率102.6%)※2019年同期比31.7%
総売上高 462億3,235万円(前年同期比-70億9,314万円 /比率86.7%)※2019年同期比29.4%
※ACPC正会員社が調査対象のため、日本全体のライブ市場データとは異なる
※コロナ禍前の2019年上半期と比較できるPDFファイルデータ
2021年上半期の市場概況
2021年上半期の公演数は9564本で、前年同期比216.2%と増加した。これはコロナ禍前の2019年上半期公演数の64%まで戻っている。
一方、2021年上半期の動員数712.3万人は前年同期比102.6%、市場規模462.3億円は前年同期比86.7%だった。コロナ禍前の2019年上半期との比較では、動員数は31.7%、市場規模は29.4%に留まっている。
会場規模別の動向
今期はホール・ライブハウスでの公演が中心となり、スタジアム・アリーナ・野外公演の本格的な再開には至っていない。2019年上半期のスタジアム・アリーナ・野外公演の合計は961本だったが、2020年上半期は256、2021年上半期は361に留まっている。
今期より枠を設けた「オンライン」での公演は、公演数387、動員数42.8万人だった。
招聘公演の動向
海外アーティストの招聘公演は極めて困難な状態が続いており、海外のアーティスト・コンテンツに関する展覧会のようなイベントが一部で開催されている。
エリア別の動向
大都市圏の公演は増加しつつあるが、それ以外の各エリアでの回復はまだこれからの状況だ。この傾向が今後も継続する場合、全国規模での産業の持続に対して大きなリスクとなりかねない。
課題・今後の見通し
各エリアにおけるライブ産業の継続と発展、技能の継承のためには、公演再開に向けた実効性のある支援が喫緊の課題だ。
コロナ禍以降、ライブ・エンタテインメント関連企業とフリーランスの技術者に対する事業機会の損失が長期化しており、このままでは文化および産業としての持続は極めて困難となっている。
ライブ産業の本格的な再開に向けて、「ワクチン・検査パッケージ」を活用した開催の促進、催物の開催制限の緩和、ワクチン接種の加速が求められる。
今後、国の実証実験・技術実験によるフル・キャパシティ公演の実施など、安心・安全な公演開催に向けた取り組みの進展も見込まれる。