JASRAC、ウクライナのクリエーターらを支援する取り組みを実施 ウクライナ出身の音楽家ナターシャ・グジー氏インタビュー公開
日本音楽著作権協会(JASRAC)は、CISAC(著作権協会国際連合)が実施している「Creators for Ukraine」と連携して、ウクライナのクリエーターらを支援する取り組みを実施している。
CISACは3月16日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により被害を受けているウクライナのクリエーターや著作権管理団体、その職員などの支援のため、220以上の加盟団体と協力して、「Creators for Ukraine」を立ち上げた。
「Creators for Ukraine」では、CISACがウクライナのクリエーターおよび軍事侵攻の被害者を支援するための基金を創設。JASRACを含む21の団体と創作者評議会から4月13日現在、120万ユーロ(約1億6,400万円)が集まった。第1弾として既に30万ユーロ(約4,100万円)が、ウクライナの700人以上のクリエーターに対する支援金の給付に使われた。
また、70万ユーロ(約9,600万円)が、ウクライナに隣接するポーランドの著作権管理団体(ZAIKS)が実施している、クリエーター支援活動や難民支援活動(施設提供や支援基金)に対する助成のほか、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、モルドバの難民支援の慈善団体やNGOに対する寄付に使われた。
JASRACは3月25日、この基金に1,500万円を寄付。現在、JASRACに著作権を管理委託する権利者や役職員からの寄付を募っており、後日追加で送金する予定とのこと。
また、CISACはウクライナのクリエーターや軍事侵攻の被害者と連帯する声明を公開。声明ではロシアに対し、罪のない市民の殺害、街や都市の破壊、自由と民主主義に対する攻撃、人権侵害、そして文化への暴挙を停止するよう求めるとともに、世界中のクリエーターに署名とハッシュタグ #CreatorsforUkraine でのシェアを呼び掛けている。
この支援声明は4月28日、世界50カ国・4,000人以上のクリエーターの署名と共に、ウクライナのオレクサンドル・トカチェンコ文化情報政策大臣に届けられた。近日中に、「オープンレター(公開書簡)」として各国の文化大臣にも送付される予定。CISACでは引き続き、あらゆるジャンルの創作者に署名を呼び掛けている。
さらに、世界の著作権管理団体が、自国の音楽配信事業者や放送局などを通して、ウクライナのクリエーターの作品の利用を呼びかけ、ウクライナの創作者コミュニティーへのロイヤルティーを増加させる「Songs for Ukraine」キャンペーンを実施。SNS上でハッシュタグ #SongsforUkraine を付けてお気に入りの作品をシェアすることも推奨している。ウクライナの音楽著作権管理団体(NGO-UACRR)とハンガリーの著作権管理団体(Artisjus)が協力して、ウクライナの楽曲を集めた三つのプレイリストを作成し、公開している。
なお、JASRACは、「Songs for Ukraine」キャンペーンの一環として、ウクライナ出身の音楽家ナターシャ・グジー氏(JASRAC委託者)のインタビュー記事を公開。祖国ウクライナへの思いを聞くとともに、ナターシャ・グジー氏がウクライナの音楽や文化を紹介している。
CISAC ビヨルン・ウルヴァース会長コメント
「Songs for Ukraine」は、国境を越えてウクライナの作品をプレイすることによって、クリエーター支援になるシンプルでありながら優れたスキームです。配信サイトや放送局にはこのキャンペーンに参加して、支援のためにできる限りのことをしてほしい。
CISAC ガディ・オロン事務局長コメント
ウクライナの方々がすさまじい苦難に直面している中、「Songs for Ukraine」は、世界の創作者コミュニティーがウクライナのクリエーターとの連帯を示すための一つの方法です。ウクライナの創作者の楽曲や作品を鑑賞し、プロモートし、シェアすることで、ウクライナへの支持を表明すると同時に、ウクライナのクリエーターがロイヤルティーを得る助けにもなります。
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