第一興商、21年4月〜22年3月期は経常利益と純利益が2期ぶりに黒字転換
第一興商は5月12日、2022年3月期の連結業績(2021年4月1日〜2022年3月31日)を発表した。
同社グループでは、中核事業である業務用カラオケ事業及びカラオケ・飲食店舗事業のいずれにおいても新型コロナウイルス感染拡大のマイナス影響が継続していることから、「出を抑え、入りを増やす」という方針のもと、手元資金の流動性確保に留意しつつ、固定費の低減を図る一方で、カラオケ導入先との関係性強化に努め回復局面に備えるとともに、パーキング事業やデリバリー業態の拡充など新たな収益源の開拓を進めた。
また、雇用調整助成金や時短協力金をはじめとする各種給付金を「助成金収入」として、152億600万円(前年同期は37億8,100万円)を特別利益に計上したほか、コロナ禍における緊急事態宣言への対応に起因する費用を「新型コロナウイルス関連損失」として、64億5,200万円(前年同期は88億8,300万円)を特別損失に計上している。
以上の結果、当期の業績は、売上高は947億8,700万円(前年同期比1.6%増)となり、営業損失は2億8,900万円(前年同期は26億9,300万円の損失)、経常利益は8億8,800万円(前年同期は11億9,400万円の損失)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ特別利益が109億9,800万円増加したこと及び特別損失が132億1,700万円減少したことなどにより、51億9,600万円(前年同期は187億8,200万円の損失)となった。なお、当期までを対象とする各種給付金のうち、20億円程度は2023年3月期の決算において計上する見込みだ。
業務用カラオケ事業においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種要請により、特に上期においては顧客店舗であるスナック・バーなどのナイト店舗やカラオケボックス店舗の多くが長期間の休業や時短営業を余儀なくされるなど厳しい事業環境が続いた。緊急事態宣言が解除された10月以降は休業店舗の再開や新規開店が増加傾向で推移しており、年明けに再び感染が拡大した影響を受けつつも、当期末のDAM稼働台数は若干ながら前期末を上回る水準となった結果、売上高は前年同期比2.9%の増収となり、営業利益は前年同期比11.4%の増益となった。なお、緊急事態宣言に伴う減免施策に係る固定費5億9,900万円(前年同期は18億8,700万円)を「新型コロナウイルス関連損失」に振替え計上している。
カラオケ・飲食店舗事業においては、カラオケ5店舗、飲食3店舗の出店及びカラオケ23店舗、飲食6店舗の閉店を行ったことにより、当期末の店舗数はカラオケ503店舗、飲食175店舗となった。2度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴い、多くの店舗が長期間にわたり休業や時短営業となるなど、当期においても大きなマイナス影響が続いた。9月末には緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除され、最大繁忙期である年末を行政による各種制限の無い状況で迎えることができたものの、年明けには新たな変異株の感染拡大による影響を受けたほか、企業による会食自粛や小規模化といった影響が期末まで継続したことにより、通期の既存店売上高はコロナ禍以前に比べ6割減となった。これらの状況を受け、引き続き固定費の低減に努めるとともに、既存店舗のキッチンを活用したデリバリー業態の拡充など「出を抑え、入りを増やす」ための施策を継続する一方で、カラオケの楽しさをより高めることで顧客満足度向上につなげるため、ビッグエコー店舗においては最上位機種である「LIVE DAM Ai(ライブダムアイ)」への入替えを推進したほか、全店全ルームにハーモニーピンク/ホワイトのマイク設置を行いました。また、雇用調整助成金や時短協力金等の助成金を活用し、集客回復時に備え雇用と店舗設備の維持に努めた結果、売上高は前年同期比5.1%の減収となり、112億9,900万円の営業損失となった。なお、緊急事態宣言に伴う休業期間中の運営店舗の固定費58億2,000万円(前年同期は69億3,500万円)を「新型コロナウイルス関連損失」に振替え計上している。
音楽ソフト事業においては、新型コロナウイルスの影響による新曲の発売延期やイベント・コンサートの中止による商品販売減少などの影響を受けるなか、販売費等のコストコントロールに努めた結果、売上高は前年同期比7.9%の減収となり、営業利益は前年同期比68.6%の減益となった。
その他事業においては、前年に続き飲食店・カラオケ店への設置が多いBGM事業などにおいてはコロナ禍のマイナス影響を受けたものの、家庭用カラオケサービス「カラオケ@DAM」は好調に推移した。新たな収益の柱とするべく「ザ・パーク」ブランドで展開するパーキング事業においては、営業資産の買収を含む新規出店が好調に進展し、当期末時点で1,700施設、22,000車室を超える規模に拡大した結果、売上高は前年同期比19.4%の増収となり、営業利益は前年同期比82.0%の増益となった。
2023年3月期の業績については、売上高1,260億円、営業利益100億円、経常利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同期を対象とする助成金およそ20億円を含め90億円を見込んでいる。