JASRAC、新体制発足に伴う記者会見を開催 新会長・弦哲也氏と新理事長・伊澤一雅氏が抱負を語る
日本音楽著作権協会(JASRAC)は7月8日、東京・渋谷区けやきホールで新体制発足に伴う記者会見を開き、4月1日付で会長に就任した弦哲也氏、6月29日付で理事長に就任した伊澤一雅氏が、それぞれ就任のあいさつと今後の抱負を語った。
弦会長は「世界中で政治も経済も不安定な状況が続いている。そんな中、安倍元首相が撃たれた事件に心を痛めている。会長に就任して3カ月が経過した。コロナとの闘いでもJASRACはスピード感を持って対応している。音楽の利用者から適正な使用料を徴収し、権利者へ適正に分配するという基本は今後も変わらない。JASRACと利用者、JASRACと権利者との間の不安を少しでも取り除き、信頼や絆の糸を太くしたいと思っている。新体制となり、日本および世界の平和のために、音楽の力を信じ発信していきたい」と抱負を述べた。
伊澤理事長は、浅石道夫前理事長が推進した「改革と挑戦」を継承し、その取り組みの成果を検証して次の進路を定めていくことを2年間の任期のテーマとし、今後JASRACが注力するポイントとして「デジタル化の推進」と「社会各層あらゆるステークホルダーとの連携強化」の2つを挙げた。
「デジタル化の推進」については、個人の音楽クリエーターに向けたブロックチェーン技術を活用した存在証明機能付き楽曲情報管理システム「KENDRIX」、世界の著作権者への正当な対価の還元を目的とした「グローバル・デジタル・サービス・データ交換のためのソフトウェア(GDSDXシステム)開発」など、これまでの取り組みを紹介しつつ、「今後磨きをかけていく」と述べた。
続けて、「社会各層あらゆるステークホルダーとの連携強化」について、伊澤理事長は「音楽利用への対価を次の創作に繋げていく『創造のサイクル』は、音楽リスナー、エンドユーザーを始めとする社会全体との関係がなければ成り立たない。創作者、利用者、社会は地続きのものととらえ、社会的な理解・共感を得ながら管理事業を推進していきたい」と抱負を語った。
その後、2022年度第一四半期の徴収・分配の速報値に触れ、「年度当初の計画を上回る数字で推移している」と説明した。