アップル、クラシック音楽配信アプリ「Apple Music Classical」公開 日本でも順次利用可能に
Appleは米国時間3月28日、クラシック音楽の愛好家にふさわしいリスニング体験を提供するために設計された、新しい独立した音楽配信のアプリケーションであるApple Music Classicalを発表した。
Apple Music Classicalでは、Apple Musicのサブスクリプションの登録者は、世界最大のクラシック音楽のカタログから、あらゆる作品を完全に最適化された検索機能によって簡単に見つけることができ、また、没入感のある空間オーディオで最高の音質を楽しみ、多くのクラシック音楽をまったく新しい方法で体験し、エキスパートが監修したプレイリストや洞察に満ちた作曲者紹介や何千もの作品解説など、様々なコンテンツを楽しむことができる。
Apple Music ClassicalはApple Musicが提供されている全世界(日本、中国、ロシア、韓国、台湾、トルコを除く)で提供され、ほぼすべてのApple Musicのサブスクリプションの登録者は追加費用なしで利用できる。Apple Music ClassicalとApple Musicの組み合わせは、長年のクラシックファンから初心者まで、すべての人に完全な音楽体験を提供する。
「私たちは音楽を愛しています。それが、本当に私たちのすべてです。そしてクラシックはあらゆるジャンルの音楽の基礎になるものです」と、AppleのApple MusicおよびBeats担当バイスプレジデント、オリバー・シュッサーは述べている。「Apple Music Classicalは、クラシック音楽に詳しい人はもちろん、初めてクラシックに触れる人にも最適な専用のアプリケーションで、世界最大のクラシック音楽の作品の数々、非常に優れた検索や閲覧機能、空間オーディオによる最も上質なサウンド体験、そして何千もの独占コンテンツを提供します。私たちは、これがどこよりも優れたクラシック音楽のストリーミング体験であると信じていますし、私たちにとって、これは始まりに過ぎません」。
Apple Music Classicalは、500万以上の楽曲をそろえた、世界最大のクラシック音楽のカタログで、著名な作品から忘れ去られた作品まで、幅広く網羅している。初心者には、エディターが厳選した作品をおすすめする。また、特定の作品に詳しい人には、次なるステップとして、リストアップされた人気作品を比較対照して聴く楽しみ方を提供する。Apple Music Classicalは、世界的に有名なオーケストラの作品を含む、何千もの独占配信のアルバムを提供する。
クラシックの作品には複数の楽章やトラックがあり、有名な作品では、異なるオーケストラ、指揮者、ソリストによる何百もの録音が存在する。また、バッハのBWV(バッハ作品目録)やモーツァルトのK(ケッヘル番号)のように、多くの作曲家が独自の特別な作品番号を持っている。Apple Music Classicalではこのような複雑さを考慮し、作曲家、作品、作品番号、指揮者、アーティスト、楽器、作品の通称など、あらゆるキーワードの組み合わせで、ユーザーが求めているものを瞬時に提供できるように検索機能を再設計した。作品を検索すると、その作品のすべての録音に加え、エディターが選んだ録音が表示される。
Apple Music Classicalのインターフェイスは、作品名、オーケストラ、指揮者、客演アーティスト、録音年まですべてが一目でわかるようになっており、リスナーは自分が誰の何を聴いているのかを常に把握することができる。また、個人のライブラリについて、Apple Music Classicalではリスナーがアルバム、楽曲、プレイリスト、アーティストだけでなく、作品、作曲者、録音といったクラシックならではのカテゴリを追加することができる。
Apple Music Classicalは、サービス全体で最大24ビット/192kHzのロスレスオーディオを採用しており、リスナーはすべての演奏のニュアンスを味わうことができる。ハイレゾロスレスのモードでは、音符の一つひとつに触れることができるほど、鮮明でクリアなサウンドを実現する。また、ドルビーアトモスによる空間オーディオで、リスナーはコンサートホールの特等席で何千もの作品を楽しんでいるかのように、上からも含めて360度あらゆる方向から聴こえてくる音楽に浸ることができる。また、リマスターされた伝説的な作品や現代の演奏が、毎週新しく空間オーディオ対応で追加されます。
Apple Music Classicalのエディターは、リスナーを800年の音楽史に導くために700以上のプレイリストを作り、今後も追加されていく予定だ。初心者は、エキスパートによる解説と厳選された作品から、主要な作曲家、時代、楽器、クラシック用語を紹介する音声解説「The Story of Classical」から聴き始めることができる。詳しい人は、一流のクラシックアーティストが録音した音源の舞台裏についての、1曲1曲の音声解説を楽しむこともできる。さらに、Apple Music Classicalが厳選した「Hidden Gems」では、あまり知られていない作品を毎週紹介し、「Composer Undiscovered」では、有名な作品を新しい視点で紹介している。
Apple Music Classicalの「見つける」タブでは、作曲家、楽器、時代、指揮者、オーケストラ、合唱団、さらに室内楽や舞台作品といったクラシックのジャンルまで、リスナーの興味に合わせて世界最大のクラシック音楽のカタログを探索することができる。非常に多くの人法で探索できるため、新たなお気に入りを見つける可能性は無限に広がりそうだ。
Apple Music Classicalのリスナーは、数百のプレイリストのカバーアートや、世界の偉大な作曲家たちのユニークで高解像度のデジタル肖像画など、まったく新しい独占アートワークも楽しむことができる。様々なアーティストに制作を依頼したそれぞれの画像は、歴史的な研究と、関連する古典時代の色調や美術資料を融合して作られている。これらの新しい作品の多くはMacとiPadでデザインされており、細部までこだわり、バッハ、ベートーヴェン、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、ショパン、ジョン・ダウランド、ファニー・メンデルスゾーン、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキー、ヴィヴァルディなど、これまでとは異なるクラシック界を代表する音楽家とリスナーとの対面が実現されている。
さらにApple Musicは、サービス開始から今後も、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、カーネギーホール、シカゴ交響楽団、ロンドン交響楽団、メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク・フィルハーモニック、パリ国立オペラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を含む世界有数のクラシック音楽団体と提携し、Apple Music Classicalのリスナーにユニークで独占的なコンテンツを提供する。また、Apple Music Classicalは、2023年3月からToday at Appleのプログラムの一環として、これらの素晴らしいパートナーを招いたオーケストラの生演奏を、世界中のApple Storeで開催する予定だ。
AppleMusicは、現在最も著名なクラシック作曲家、アーティスト、音楽家と密接に協力し、このアプリケーションがアーティストに力を与え、世界中のクラシック音楽の愛好家を魅了する。
チェリストのヨーヨー・マは、このようなアプリケーションの必要性について、初期からの話し合いに参加しており、リスナーがクラシック音楽の世界にアクセスし、新たな探求方法を手に入れることを喜ばしく思っている。「クラシック音楽をはじめ、すべての文化で根本的に大切なことは、つながること、時間と空間を超えて理解の絆を結ぶことです」とヨーヨー・マは述べている。「このようなイノベーションは、そのつながりを可能にし、私たちの好奇心を刺激し、慣れ親しんだものを再発見し、予期せぬものを喜ぶための場所を提供してくれるのです」。
「Apple Musicが、ストリーミング時代のクラシック音楽の新たな基準を打ち立てるためにイニシアチブをとっていることに感激しています」とヒラリー・ハーンは述べている。「Apple Musicが本来持つ高品質の非圧縮オーディオなら、私の演奏、楽器、そして演奏している空間の繊細さを伝えてくれると信頼しています。また、ソロであってもクラシック音楽のレコーディングには深い共同作業が伴います。Apple Music Classicalの豊富なメタデータにより、作曲家、編曲者、指揮者、演奏者、プロデューサー、音楽出版社など、すべての人がそれぞれにふさわしい評価を得られるのです」。
「クラシック音楽のストリーミング配信の問題を解決するために、私はAppleと協力してきました」とジョニー・グリーンウッドは述べている。「デジタル配信におけるクラシック音楽の検索や収集を妨げる独特の問題に対して、Appleは実にエレガントな解決策を打ち出してきました。簡単に言うと、ジョニ・ミッチェルの「Blue」の録音は一つしかないけれど、「ラプソディ・イン・ブルー」には何千もの録音があります。クラシック音楽に興味を持ったばかりの人にとって、このような最初の検索は、とても不快で困惑することでしょう、ですから、新しい(そして従来の)クラシック音楽のファンにも歓迎され、音楽に対する熱意を直接、直感的に音楽で報いることができる、この驚くべき音楽の宇宙への道がついに開かれたことに、私はとても興奮しています」。
「音楽は私の人生の中心であり、作曲家として、また支援者として、音楽は私たちの人間性に不可欠であると長年考えてきました」とゴードン・P・ゲッティは述べている。「Apple Music Classicの登場は、私たちの職業にとって特別な節目です。様々なアーテイストを称え、伝説的な録音を尊重し、私たちみんなの好奇心を刺激する、ほかに例を見ない音楽配信サービスです。Appleは、私たちの情熱にふさわしいユニークな体験を作り出しました。私は、このサービスが何世代にもわたって音楽の目的を前進させると確信しています」。