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JASRACとCISACが共同会見を開催、デジタル社会におけるクリエイターへの対価還元に関する課題と取り組みを説明

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左からCISACガディ・オロン事務局長、CISACビヨルン・ウルヴァース会長、JASRAC伊澤一雅理事長

日本音楽著作権協会(JASRAC)と著作権協会国際連合(CISAC)は4月6日、都内で共同記者会見を開催し、CISACビヨルン・ウルヴァース会長、ガディ・オロン事務局長、JASRAC伊澤一雅理事長が、デジタル社会におけるクリエイターへの対価還元に関する課題と取り組みを説明した。

冒頭、スウェーデンのポップ・グループABBAのメンバーでもある、CISACビヨルン・ウルヴァース会長は「音楽ストリーミングは、クリエイターの人生を一変させました。莫大な利益をもたらしましたが、それと同時に、作詞家・作曲家を正確に特定し報酬を支払う、そのための安定したシステムの開発という挑戦を突き付けています。これは、配信が音楽業界の主要な収益チャンネルになるにつれ、大きな優先事項となっています」と述べたうえで、「アジア・太平洋地域のCISAC加盟団体が集結したGDSDX(Global Digital Service Data Exchange)のような取り組みは、この問題の解決に貢献するとともに、他の地域への模範となります。GDSDXプラットフォームは、より質の良い音楽メタデータ交換システム、さらにはクリエイターに対するより公平で効率的な対価還元に貢献することができます」と期待を寄せた。

続いて、CISACガディ・オロン事務局長は「GDSDXは、ストリーミング環境におけるメタデータ交換を改善する重要なプロジェクトであり、クリエイターや団体による集中管理システム全体にメリットをもたらすものです。JASRACが旗振り役となってアジアからの参加団体‐KOMCA、FILSCAP、MÜST、WAMI‐が協力するこの取り組みは、著作者のメタデータの分野での国際協力の新たな地平を切り開きます。GDSDXプロジェクトは、ストリーミング・プラットフォームの利用曲目データと各著作権管理団体が保有する権利者メタデータ、それぞれを相互参照する新しいツールを提供します。これはウイン-ウインのパートナーシップであり、デジタルサービスとクリエイターのコラボレーションが成功したことを示すものです」と述べた。

最後にJASRAC伊澤一雅理事長は、「急速なデジタル化・ネットワーク化の進展によって、膨大な量の楽曲が真に国境を超えることになり、その数はこれまでのやり方では消化しきれない規模になっています。デジタル時代の著作権管理の要諦はメタデータにあり、GDSDXはJASRACが立てた一つの道筋です」と示したうえで、「テクノロジーの活用の取り組みはライセンス価値の向上につながり、ユーザーはもちろん、社会全体にメリットをもたらすと考えています」と述べた。また、「人口減少が進む日本において、文化芸術を産業の基盤に据えることが重要です。だからこそ、クリエイターへの対価還元の強化は社会共通の課題といえます」と強調した。

会見で取り上げられたGDSDXの取り組みには、デジタル音楽配信事業者(DSP)のApple、YouTube、Spotify、TikTokから、賛同のメッセージを寄せられた。

また、GDSDXに参加する海外の著作権管理団体、インドネシア(WAMI)、韓国(KOMCA)、台湾(MÜST)、フィリピン(FILSCAP)の代表が来日し、会見に参加した。