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ACPC、2022年のライブ市場調査データを発表 全体の公演数・市場規模はコロナ禍前の2019年を上回るも全国的な市場回復には至らず

ビジネス レポート

コンサートプロモーターズ協会(ACPC)は5月19日、2022年のライブ市場調査データを発表した。同協会では全国の正会員社を対象に、ライブ・エンタテインメント市場の調査を実施している。この調査報告は1989年より始まり、コンサートプロモーターの事業活動およびライブ市場の動向をデータ化した国内唯一の資料として、調査を重ねているものだ。

2022年基礎調査概要

調査対象期間:2022年1月1日~12月31日
会員社数:74社(前年同期比2増1減)
総公演数:32,338本(前年からの増減 +5,955本 /前年同期比122.6%)※2019年同期比101.4%
総動員数:48,315,553人(前年からの増減 +25,474,410人 /前年同期比211.5%)※2019年同期比97.5%
総売上高:3984億3,269万円(前年からの増減+2453億5,143万円 /前年同期比260.3%)※2019年同期比108.7%

※ACPC正会員社が調査対象のため、日本全体のライブ市場データとは異なる
※新型コロナウイルス感染拡大に伴う損失を測るために、コロナ禍前の2019年との比較が可能なPDFをダウンロードすることができる

2022年の市場概況

  1. 全体での公演数・市場規模はコロナ禍前の2019年を上回ったものの、関東エリアの大幅な増加が主な要因であり、全国的な市場の回復には至っていない
  2. 動員数は関東で大幅に増加し、関西・東海エリアでもコロナ禍前と同水準にあるが、それ以外のエリアの動員数はコロナ禍前と大きな差が残る
  3. ホール・ライブハウスの動員数は増加ペースが緩やかであり、コロナ禍の影響が続いていると見られる

エリア別の動向

関東エリアの公演数・動員数・市場規模は、コロナ禍前の2019年の数値を大きく超えた。関西・東海エリアもコロナ禍前とほぼ同水準だが、一方で北海道・東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄といったコロナ禍前と大きな差が残るエリアが少なくない。コロナ禍以降はあらゆるエリアで、もともと公演の多い中核都市の公演が増加し、それ以外のローカルな公演が増えづらい傾向が続いている。

会場規模別の動向

2022年は大規模公演が本格的に再開された。アリーナ公演は関東圏の新設会場の稼働(約390公演)もあり、公演数・動員数が大きく増加している。

  • スタジアム:公演数233 動員数784.7万人(2019年:公演数283 動員数921.3万人)
  • アリーナ:公演数1972 動員数1409.7万人(2019年:公演数1520 動員数1169.5万人)
  • 野外:公演数311 動員数228.6万人(2019年:公演数347 動員数286.4万人)

ホールの公演数は14,147で、コロナ禍前の2019年比で110.0%と増加しているが、ホールの動員数1617.5万人は2019年の92.3%に留まる。

ライブハウスの公演数は12,946で、これは2019年比で83.8%に留まる。ライブハウスの動員数397.2万人は2019年の66.7%と、困難な状況が続いている。

オンラインライブは公演数304、動員数30.7万人となり、2021年より大きく減少した。なお、オンラインはACPC会員社が開催した公演を調査対象として、動員数は「有料公演のチケット販売数」を計上している。

招聘公演の動向

2022年3月1日より外国人の新規入国が段階的に緩和されたことで、大規模な招聘公演が再開したが、海外からの新規入国数の上限など、規制による影響はその後も残った。動員数でみると、2019年との比較ではスタジアム82.3%、アリーナ79.5%、野外95.9%だが、ホールは41.3%、ライブハウスは35.2%に留まっている。

調査方法の変更

従来の基礎調査において、動員数と市場規模のデータは「その公演を開催した会員社の所在する地域」で計上していたが、会員社が所在する地域以外で実施する公演が増加しているため、2022年下半期より、動員数と市場規模のデータは「その公演が開催された地域」で計上している。