第一興商、23年4月~6月期は営業利益57.5%増 カラオケボックス市場など回復傾向で推移
第一興商は8月9日、2024年3月期第1四半期の連結業績(2023年4月1日~2023年6月30日)を発表した。
カラオケ業界は、コロナ禍のマイナス影響が弱まるなか、主力であるナイト市場・カラオケボックス市場を中心に、全体として回復傾向で推移し、各事業において諸施策を実施した結果、当第1四半期の業績は、売上高は353億8,100万円(前年同期比16.9%増)となり、営業利益は47億5,700万円(同57.5%増)、経常利益は50億300万円(同54.5%増)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期にあった助成金収入16億7,500万円が当第1四半期では剥落したことにより、34億4,300万円(同1.6%増)となった。
業務用カラオケは、事業環境の改善を背景に、機器賃貸件数の拡大とコロナ禍の影響により減速していた旧機種から新機種への入替えを推進することにより、安定的収益基盤の強化に努めるとともに、ライブ映像・アニメ映像・ミュージックビデオなどの映像コンテンツをさらに充実させることにより、カラオケDAMの商品力強化を図った。このようななか、4月にはフラッグシップモデルの後継機種である「LIVE DAM AiR(ライブダムアイアール)」を発売した。マイクを通して声による楽曲予約やリモコン操作を可能にした「Aiアシスタント」機能を拡充し、英語・中国語・韓国語の発話にも対応したほか、実在のライブ会場の音響特性を再現する「ライブサウンド」機能に、数千人の大合唱やコール&レスポンスを演出する「エキサイトライブホール」を追加するなど、うたう楽しさをさらに追求した機能が好評となり、発売以降、計画を上回る出荷状況となった。また、エルダー市場においては、コロナ禍においてかなわなかった介護施設等への訪問営業が一部で可能となるなど事業環境が改善するなか、オンラインイベントを定期的に開催するなどウェブの活用にも注力し、稼働台数の増加に努めた。以上の結果、新商品の好調な出荷とともに、機器賃貸件数及びDAM稼働台数が堅調に増加したことにより、売上高は前年同期比7.4%の増収となり、営業利益は販管費の増加などの影響により、前年同期比1.4%の減益となった。
カラオケ・飲食店舗は、カラオケ2店舗、飲食2店舗の出店及び飲食2店舗の閉店を行ったことにより、当第1四半期末の店舗数はカラオケ510店舗、飲食171店舗となった。5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが引き下げられたことなどにより、店舗の集客は期初から回復傾向で推移し、当第1四半期の既存店売上高はコロナ禍以前に比べカラオケ店舗で約10%減、飲食店舗で約10%増の水準まで回復し、前年同期比ではカラオケ店舗で約25%増、飲食店舗で約35%増となった。このようななか、9月に35周年を迎えるビッグエコー店舗においては、優里やももいろクローバーZといったアーティストとのコラボレーションを通じて、カラオケから足が遠のいていたユーザーの呼び戻しを図るとともに、最上位機種である「LIVE DAM AiR(ライブダムアイアール)」の早期導入やビッグエコーアプリへデンモクアプリ起動機能を搭載するなど、顧客満足度向上に努めた。また、飲食店舗においてはコールセンター機能の拡充を行い宴会予約の獲得を強化したほか、ダーツ業態である「ダーツワン上野駅前店」「REGALO新宿東口店」を出店するなど、幅広く集客の獲得を推進した。以上の結果、売上高は前年同期比32.1%の増収となり、12億1,900万円の営業利益となった。
音楽ソフトは、イベント・コンサート等が再開され始めるなど、音楽業界にも活気が戻りつつあるなかで、CD・DVD等の商品販売及びTV番組制作事業が堅調に推移した。以上の結果、売上高は前年同期比0.8%の減収となり、営業利益は前年同期比5.0%の増益となった。
その他は、新たな収益の柱とするべく「ザ・パーク」ブランドで展開するパーキング事業が堅調に推移し、当第1四半期末時点で2,100施設、27,000車室を超える規模に拡大した。以上の結果、売上高はパーキング事業収入の増加などの影響により前年同期比13.8%の増収となり、営業利益は前年同期比1.6%の増益となった。
2024年3月期通期連結業績予想は、売上高を従来予想1410億円から2.5%増の1445億円(前期実績1281億5,600万円)、営業利益を同150億円から20.0%増の180億円(同129億5,400万円)、経常利益を同160億円から19.4%増の191億円(同136億100万円)、親会社株主に帰属する当期純利益を同107億円から18.7%増の127億円(同83億2,000万円)と、それぞれ上方修正した。
修正の理由について、2024年3月期第1四半期の業績について、カラオケ・飲食店舗事業における集客が当初の想定を上回ったことなどから、売上・利益とも前回予想の前提を上回る推移となったことを踏まえたものと説明している。