JASRAC、エディット・ピアフの代表曲「LA VIE EN ROSE(ラ・ヴィ・アン・ローズ)」歌詞著作権管理を再開
日本音楽著作権協会(JASRAC)は11月2日、エディット・ピアフ(Édith Piaf、1963年没、以下ピアフ)が作詞し、ルイギ(Louiguy、1991年没)が作曲した楽曲「LA VIE EN ROSE」について、2024年1月1日から歌詞の著作権の管理を再開すると発表した。
楽曲「LA VIE EN ROSE(ラ・ヴィ・アン・ローズ、邦題「バラ色の人生」)」は、ピアフの代表曲として知られている。日本における本楽曲の歌詞の著作権について、JASRACでは、作詞したピアフの死亡年(1963年)の翌年1月1日を起算点として、50年間(2013年12月31日まで)および戦時加算による期間が経過する2018年4月29日まで管理し、翌4月30日にパブリックドメイン(PD)として管理を終結。ルイギが作曲した「曲」の著作権は、現在も管理を継続している。
戦時加算は、サンフランシスコ平和条約および日本の国内法により、通常の著作権の保護期間に、戦時に相当する期間を加算する制度。戦争期間中に連合国および連合国民が取得した著作権については、著作権を取得した日から各国の平和条約が発効した前日までの期間を加算する。
ピアフは連合国民(フランス)であり、本楽曲は戦時に相当する期間に発表された楽曲であるため、戦時加算の対象となる。本楽曲についてJASRACでは、日本地域の著作権を管理する音楽出版社(サブパブリッシャー、SP)からの届け出(1947年公表)に基づき、戦時加算による期間として1580日(公表年の最終日である1947年12月31日から、サンフランシスコ平和条約の発効前日である1952年4月27日までの日数)を加算していた。
変更前
その後2021年に、作詞のピアフが所属するSACEM(フランスの著作権管理団体)から「本楽曲の公表年は『1946年』である」との連絡があった。JASRACからSACEMやSPに対し資料の提供等を求めるなどしたところ、両者から1946年に公表されたことを裏付ける楽譜などの資料が提供された。
JASRACではこれらの資料を確認した上で、SPからの訂正の届け出に基づき、2023年10月、本楽曲の公表年を1946年に変更して取り扱うこととした。この変更により戦時加算の期間は1945日となり、2018年12月30日に施行された改正著作権法(著作権保護期間が死後70年に延長)の適用対象となることから、日本において歌詞の著作権は2039年4月29日まで保護されるとしている。
変更後
JASRACは、国内の利用者への影響などを考慮し、2024年1月1日から管理内容を変更することにし、それまでの間、楽曲利用者へ周知するとのこと。
なお、JASRACは長年、戦時加算義務の解消の取り組みを進めており、2023年10月現在、10カ国13団体から戦時加算を放棄することについて、同意を得ており、「引き続き戦時加算義務の解消に向け取り組んでまいります」と伝えている。