2023年のライブ・エンタメ市場は初めて動員数5,000万人と市場規模5,000億円を超えるも全国的な市場の回復には至らず〜ACPC発表
コンサートプロモーターズ協会(ACPC)は3月26日、2023年1月~12月分のライブ・エンタテインメント市場について調査データを発表した(ACPC正会員社が調査対象のため、日本全体のライブ市場データとは異なる)。
ACPCは、1989年より「基礎調査」として全国の正会員社を対象にライブ・エンタテインメント市場の調査を重ねている。コンサートプロモーターの事業活動およびライブ市場の動向をデータ化した国内唯一の資料として知られている。
2023年の基礎調査概要
- 調査対象期間:2023年1月1日~12月31日
- 会員社数:76社(前年同期比2増)
- 総公演数:34,545本(前年同期からの増減+2,207本/前年同期比106.8%)※2019年同期比108.3%
- 総動員数:5,632万6,160人(前年同期からの増減+801万607人/前年同期比116.6%)※2019年同期比113.7%
- 総売上高:5,140億772万円(前年同期からの増減+1,155億7,502万円/前年同期比129.0%)※2019年同期比140.2%
※新型コロナウイルス感染拡大に伴う損失を測るために作成されたPDFでは、コロナ禍前の2019年との比較をすることができる
2023年の市場概況
- 動員数は初めて5,000万人を超え、市場規模も5,000億円を超えたものの、公演数・動員数がコロナ禍前の2019年を上回った地域は、アリーナ5会場が新設された関東のほか、東海・関西の3地域に限られており、なおも全国的な市場の回復には至っていない
- 関東圏(東京・横浜)におけるアリーナ5会場の営業開始により、アリーナ会場の公演数・動員数が大きく伸長した。ホール公演の動員数が初めてコロナ禍前を上回り、ライブハウスの動員数もコロナ禍前に近づく
- K-Popアーティストの大規模公演が増加しており、公演数658は全体の1.9%だが市場規模の668.4億円は全体の13.0%を占める
エリア別の動向
アリーナ5会場が新設された関東エリアで公演数・動員数・市場規模の拡大が顕著な一方、公演数・動員数がいずれもコロナ禍前の2019年を上回った地域は、関東・東海・関西の3地域のみだった。コロナ禍以降、どのエリアでも中核都市に公演が集中し、それ以外のローカルな公演が増えづらい状況が続いている。
会場規模別の動向
関東圏の新設アリーナ5会場で約500公演が開催されたこともあり、アリーナ会場の公演数・動員数が大きく伸長した。ホール公演の動員数が初めてコロナ禍前を上回り、ライブハウスの動員数もコロナ禍前に近づいている。
- スタジアム:公演数296 動員数987.9万人(2019年:公演数283 動員数921.3万人)
- アリーナ:公演数2,151 動員数1669.0万人(2019年:公演数1520 動員数1169.5万人)
- 野外:公演数493 動員数261.6万人(2019年:公演数347 動員数286.4万人)
- ホール :公演数14,318 動員数1821.5万人(2019年:公演数12,865 動員数1752.1万人)
- ライブハウス:公演数15,715 動員数565.6万人 (2019年:公演数15,453 動員数595.3万人)
招聘公演の動向
大規模会場での海外アーティスト公演が多数開催された。動員数では、2019年との比較でスタジアム184.9%、アリーナ162.6%だが、ホールは98.5%、ライブハウスは69.7%に留まった。また、K-Popアーティストの大規模公演の増加が市場の拡大に繋がっている。
2023年のK-Popアーティスト公演
- ※複数アーティスト出演イベント含む
- 公演数:658(シェア1.9%)
- 動員数:5,110,249(シェア9.1%)
- 市場規模:668.4億(シェア13.0%)
- チケット平均単価:13,080(K-Pop以外の公演の平均単価:8,731)
※参考データ
- 2019年K-Pop公演数:710 動員数:3,560,783(動員数シェア 7.2%)
- 2022年K-Pop公演数:366 動員数:2,428,970(動員数シェア 5.0%)
調査方法の変更
従来の基礎調査において、動員数と市場規模のデータは「その公演を開催した会員社の所在する地域」で計上していたが、会員社が所在する地域以外で実施する公演が増加しているため、2022年下半期より、動員数と市場規模のデータは「その公演が開催された地域」で計上している。