Z世代が最も人気だと思う部活はダンス部、部活を通して養われるものは「忍耐力」「体力」から「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」に変化〜エイベックスが高校部活動に関する意識調査
エイベックス・アライアンス&パートナーズは、高校の部活動とダンス部に関する識査を実施した。エイベックスは、創業以来ダンスミュージックやダンスアニメ、ダンススクール、また、次世代を担う高校生にダンスを通じた社会経験機会の創出として「avex presents DANCE CLUB CHAMPIONSHIP(全国高等学校ダンス部選手権)」を開催するなど、多様な形でダンスカルチャーを盛り上げてきた。
パリオリンピックの新種目にブレイキンが採用されることで関心を集めているダンス。高校部活動とダンス部の実態を再認識することを目的に、X世代(1960年〜1979年生まれ)・Y世代(1980年〜1995年生まれ)・Z世代(1995年~2010年生まれ)ごとの、部活動に対する意識や役割と、ダンスの魅力についてアンケート調査を行い、調査結果を基にダンスカルチャーを今なお牽引するTRFのSAMへインタビューを行った。
その結果、Z世代において「ダンス部」が最も人気のある部活であり、部活動を通して養われるものが、「忍耐力」や「体力」など、いわゆる体育会系の能力から、社会や企業に求められている「コミュニケーション能力」や「リーダーシップ」に変化していることが分かった。
人気の部活動は、野球部、サッカー部から、ダンス部に移行
高校生の時人気だった部活は、全世代でサッカー部が最も多く、横ばいで推移している。一方で、X世代で人気が高い野球・ソフトボール部、テニス・ソフトテニス部は、Z世代では半減。また、X世代と比べZ世代で人気が高まったのは、ダンス部と吹奏楽部で、ダンス部は1.3%から10.4%、吹奏楽部の1.9%から6.8%に増加しており、若い世代での人気が急増していることが分かった。さらにZ世代の男女別でみると女性は12.2%と、女性人気が比較的高い。
また、今現在人気だと思う部活は、ダンス部がY・Z世代で最も多く、Z世代においては2番目に多いサッカーと比べ6.8%高く、またX世代においてもサッカーに次いで2番目に多く、全世代から人気の部活動と認識されていることが分かった。一方で、サッカーと野球は、X世代と比べ、Z世代で野球が4.3%、サッカーが11%低下しており、人気のある部活が多様化している傾向にある。
部活動を通じて養われるものは、忍耐力、体力から、コミュニケーション能力とリーダーシップへ
全体では、忍耐力と答えた回答が最も多かったが、X世代からZ世代にかけて減少傾向であることが分かった(5.5%減少)。また、体力・気力も同じくX世代からZ世代にかけて減少しており、部活動において、昭和世代にあった“体育会系”の価値観が変化している。
一方で、コミュニケーション能力は、X世代の5.8%からZ世代では12.9%、リーダーシップは、X世代の1.6%からZ世代では7.8%に大幅に増加しており、社会や企業で求められる能力と一致している。また、ダンス部に所属していた人を限定すると、コミュニケーション能力に加え、協調性や発想力・独創性が高く、ダンスを通じたグループワークから得られるコミュニケーションをベースとした、チーム力・表現力・クリエイティヴ能力が養われることが推測される。
アンケート結果
- 心や体が苦しくても最後までやり抜く精神力が鍛えられた(X世代/柔道部)
- 一つのものを作り上げる際に生じる軋轢などを、皆で話し合って調整して、より良いものを作りあげたという経験が、今の仕事において役立っている。(Y世代/吹奏楽部)
- 誰よりも先に動く、相手を思いやる行動をする、部員を大切にするという経験が、社会の中での人間関係を築く上で役立っている。(Z世代/ダンス部)
TRF・SAMが見るダンス部のコミュニケーション
振り付けを自分たちでつくるときはみんなで相談しながらつくるので、自然とコミュニケーションが生まれます。ちょっと仲が悪くなったり、それを取り持つ子がいたり、だけどまた何日か経ってごめんねってなったりとか、そういう精神的なやり取りがあると思うんですよね。
また、上手い子がリーダーシップをとりながら教えてあげるなど、チームを引っ張っていく役目になっているように感じます。
企業に求められる社会スキルは「コミュニケーション能力」
企業や社会で求められるスキルは全世代で「コミュニケーション能力」が圧倒的に高く、X世代からZ世代にかけて増加傾向にある。また、X世代は「忍耐力、最後までやり抜く力」の回答がY・Z世代よりも多く、いわゆる体育会系の能力を重視していることが考えられる。さらに、「コミュニケーション能力」は、高校の部活動を通して得られたものと一致しており、部活動で養われた能力や経験が、社会や企業においても役立っていることが分かった。
高校ダンス部の数は30年前に比べ、5倍に急増
通っていた高校にダンス部があったと回答した割合は、X世代が約10人に1人という結果に対し、Z世代では約2人に1人となり、約5倍に増加した。現在の高等学校総数4,874校(令和2年時点)に対し、約30年前は5,518校(1990年)で約2割減っているものの、約30年の間に高校ダンス部が、5倍程度に増加したことが推測される。
TRF・SAMが見る、ダンス人気の推移「ダンス人口が増えたのは1995年頃。スタジオが一気に増えた」
90年代後半から2000年の初頭はダンススタジオブームで、いわゆるスーパーキッズと言われるようなダンスが上手なキッズたちが増えました。僕ら世代のちょっと下の世代がみんな先生になって、自分たちが長い時間をかけて覚えたダンスのノウハウをいっぺんに教えるので、すぐに上手くなっていく。上手な人が増えると見習いたい人もどんどん増え、ダンス人口が一気に増えていったように感じます。
現在、高校部活動においてダンス部の人気が上がっている背景は、この時代のダンサーが指導者として様々なシーンでダンスカルチャーを発信・啓発していることで、日本のダンスカルチャーのベースをつくっていると思います。
調査概要
調査名:高校生の部活動に関する調査
調査委託先:マクロミル
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象者:全国18~64歳の最終学歴高校卒業以上の部活動経験者(現役高校生除く)
回答者数:1,104人
割付方法:世代別割付
調査実施期間:2024年3月13日~2024年3月19日