TikTok、法廷闘争失敗ならアメリカで閉鎖も 関係者
中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営元であるバイトダンス(北京字節跳動科技)は、米国で成立したアプリ配信禁止法案を巡る法廷闘争が失敗した場合、同国事業を閉鎖する方針のようだ。同アプリのアルゴリズムが同社全事業の中核的な要素だとみなされることから、事業を売却する可能性は低いという。情報筋の話を元に、ロイター通信が4月25日伝えた。
同月24日に成立したこの法案は、米国内で中国など「敵対する外国」の企業が管理するアプリの配信を禁じるもの。ティックトックは米国事業を1年以内に非中国企業に売却しなければ、全米で利用できなくなる。これを受け、親会社は全面的に争う姿勢を示している。
関係者は、バイトダンス全体の総売上とデイリーアクティブユーザー数(DAU)に占めるTikTokの割合は小さく、米国事業の閉鎖が同社の業績に与える影響は限定的だと指摘。バイトダンスは財務情報を公表していないが、収益のほとんどは足元の中国からで、その大半は中国版TikTok「抖音(Douyin、ドウイン)」が占めると説明した。
TikTokの米国事業は、利用者が1億7,000万人ほどで、世界全体の売上高の約25%を占めているという。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「TikTokのアルゴリズムはYouTubeにない独自性があり、音楽プロモーションの武器になってきた。だが楽曲使用料がYouTubeと比べても極端に低く、放送時代のように『プロモーションになるのだから安くていいだろう』ではストリーミング時代のエコシステムと適合しないと見られている。実際、ユニバーサルミュージックが楽曲をTikTokから引き上げる事態となった。
TikTokのアメリカでのサービス閉鎖はほぼ確実で、日本やNATO加盟国でも同様の法案が提出される可能性もある。その場合、『次のTikTok』がどこになるのかが業界にとって焦点となるだろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。