NexTone、23年4月~24年3月期は経常利益21.4%減 今期は51.2%増を見込む
NexToneは5月14日、2024年3月期の連結業績(2023年4月1日~2024年3月31日)を発表した。
主力の著作権管理事業及びデジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業が安定的に推移した他、第3四半期連結会計期間よりレコチョク及びエッグスの損益計算書を連結したことにより、事業規模が拡大し前年同期比で売上高は大幅増収となった。利益面では、既存事業の増収に伴う増益の他、前期に発生した役員退職慰労金制度廃止に伴う一時的な人件費増加要因がなくなった一方、レコチョク及びエッグスにおける成長分野へのシステム開発等の先行投資により、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。
以上の結果、売上高は134億3,350万円(前年同期比152.4%)、営業利益は6億5,700万円(同78.2%)、経常利益は6億6,141万円(同78.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億3,112万円(同84.1%)となった。
著作権管理事業は、変更前のセグメント区分における著作権等管理事業に含めていた楽曲の著作権に関わる2つの業務、NexToneの基幹事業である音楽著作権管理業務と、子会社のエムシージェイピーで展開している音楽出版事業を合わせて、新たに設定したセグメントとなる。音楽著作物の利用時期と同社著作権管理業務の売上計上時期にはおおよそ1~2四半期のタイムラグが生じるため、当連結会計年度の音楽著作権使用料の対象となる利用時期は主に2022年10月~2023年12月となる。当該期間のインタラクティブ配信徴収額はストリーミング音楽配信市場と動画配信サービス市場の引き続きの拡大や、AI等を活用した動画投稿サービスにおける作品特定精度の向上等により前年同期比113.5%となった。録音権にかかる著作権使用料徴収額は、CD/映像ソフトのリリース状況が堅調に推移し前年同期比101.3%となり、放送・有線放送徴収額は同社管理作品のCM利用や管理作品数の順調な増加等により大幅増となり前年同期比125.9%となった。また、演奏権及び海外の徴収額も順調に増加している。著作権徴収額全体で前年同期比112.9%となり、同社発足以降8期連続の増加となった。以上の結果、売上高は12億3,717万円(前年同期比121.8%)、セグメント利益は5億2,357万円(同102.1%)となった。また、委託権利者や管理作品が順調に増加し、他管理事業者からの移管として2024年4月から同社が新たに著作権管理を受託する2,416作品(うち、新規移管による純増1,585作品、委託範囲拡大831作品)の移管も実施した。移管作品の中にはこれまでのヒット作品も多く含まれている。これらは今後の同社事業基盤の強化につながり、業績のプラス要因となることが見込まれる。
DD事業は、変更前のセグメント区分における著作権等管理事業に含めていたNexToneのDD業務に、レコチョク及びエッグスのDD業務を加え、新たに設定したセグメントとなる。当連結会計年度のDD事業の業績は、レコチョク及びエッグスのDD業務においては損益計算書の連結を開始した2023年10月から2024年3月までの半期分の業績であること及びレコチョクにおけるDD業務がサービス開始準備中であることから、売上の多くを同社のDD業務が占めている。当該期間におけるDD事業は、取扱原盤は順調に増加し、レコチョク及びエッグスとの提携により事業規模拡大に取り組んだ。また、配信市場拡大に伴い市場成長率に変化の兆しが見られる中、更なる営業活動の強化による新規取引先との契約や多数の人気コンテンツを有する大口権利者との契約、海外におけるコンテンツの配信拡大を目指し米国の音楽テクノロジー企業AudioSalad社とのパートナーシップ構築等にも取り組んだ。以上の結果、売上高は75億6,291万円(前年同期比106.8%)と増収となったが、レコチョクにおけるシステム開発等の先行投資により、セグメント利益は7億8,581万円(同80.6%)となった。
音楽配信事業は、レコチョクにおける従前からの基幹事業である音楽配信(個人向け・法人向け)を音楽配信事業として、新たに設定したセグメントとなる。音楽配信(個人向け)は単曲ダウンロード及び定額制販売のストリーミングを提供し、音楽配信(法人向け)は店舗、カラオケボックスや結婚式場向けのBGM配信サービス等を行っている。なお、当連結会計年度の音楽配信事業の業績は、レコチョクの損益計算書の連結を開始した2023年10月から2024年3月までの半期分の業績となる。当該期間における音楽配信事業は、主力サービスのdヒッツは安定的に推移したほか、単曲ダウンロードはアーティスト毎のキャンペーンや協業企業の施策実施等もあり、平均購入単価が上昇する等好調に推移した。また、店舗向けBGM配信サービスの契約店舗数の拡大等にも取り組んだ。以上の結果、売上高は39億7,710万円、セグメント利益は5億9,941万円と、レコチョクの新規連結により前年同期比で純増加となった。
その他は、上記に含まれない各種の事業で、変更前のセグメント区分におけるキャスティング事業、子会社NexToneシステムズにおけるシステム開発・保守運用、レコチョクにおけるレコード会社・音楽プロダクション向けソリューション事業、及びエッグスにおけるインディーズアーティスト向け活動支援のエージェント事業等となる。当連結会計年度の業績は、キャスティング事業においてAfterコロナでのリアルイベント活性化を受け、国内外の人気アーティストのコンサートツアーや人気ミュージカルのライブビューイングが好調であったことに加え、自主興行フェスの開催等様々なサービスの開発提供に取り組んだ他、システム開発、ソリューション事業、エージェント事業において着々と各事業の拡大を進めてきた。以上の結果、売上高は13億776万円(前年同期比119.0%)と増収となったが、レコチョクのソリューション事業やエッグスのエージェント事業におけるシステム開発の先行投資等によりセグメント損失は8,046万円(前年同期は8,423万円の利益)となった。
2025年3月期の通期連結業績予想については売上高200億円(前年同期比148.9%)、営業利益10億円(同152.2%)、経常利益10億円(同151.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益6億円(同113.0%)を見込んでいる。