エレクトロニック・ミュージックのファンダム拡大、グローバルサウスが台頭
4月に公表された最新のIMSビジネスレポートによると、エレクトロニック・ミュージックのファンダムの伸びは、2023年に他の主要ジャンル(ヒップホップ、ロック、ラテン)を上回り、前年のトレンドから好転した。グローバルサウスの伸びが貢献した。
文化・ファンベース・収益の面で、エレクトロニック・ミュージックの3大市場に長年君臨してきたのはドイツ、英国、オーストラリアだ。しかし、Spotifyの上位10市場を見ると、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカといったグローバルサウスが台頭。中でも南アフリカは同年に初めて10位内に入り、累積月間リスナー数は同国の人口の2倍となっている。
また、2023年にはアフロ・ハウスが、エレクトロニック・ミュージックのダウンロードサイト「Beatport」のトップ10ジャンルに初めて入った。サンプル・プラットフォーム「LoopCloud」の検索ワードでもトップとなり、同ジャンルのさらなる躍進が予想される。
世界のエレクトロニック・ミュージック産業の市場規模は、同年に17%増の118億ドルに達した。引き続きライブ(フェスティバル、クラブ)が伸びをけん引したが、レコーディングと出版も好調だった。
IMSビジネスレポートは、エレクトロニック・ミュージックの国際サミット「インターナショナル・ミュージック・サミット(IMS)」の委託を受け、英国の音楽専門コンサルティング・ファーム、MIDiAが作成している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「EDMが落ち着き、成長が鈍化したかに見えたエレクトロ市場だが、インドや南アフリカ、南米などストリーミングの普及で急成長するグローバルサウス諸国でヒップホップを超える成長を作り出している。アフリカ音楽シーンを牽引するナイジェリアのトップ100を聴くと洗練されたエレクトロが多く、グローバルメジャーの幹部が当国へ赴く報道も増えている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。