中国テンセント・ミュージック減収増益、新規有料会員が過去最多
中国最大の音楽配信サービス運営会社テンセント・ミュージック・エンタテインメント・グループ(TME)は5月13日、2024年第1四半期(1〜3月)の純利益が15億3,000万人民元(2億1,200万ドル)となり、前年同期比27.5%増加したと発表した。
旧正月の連休に合わせたマーケティング・プロモーションにより、四半期ベースとしては過去最多となる約700万の新規有料会員を獲得。これにより、音楽配信の売上高は39.2%増の36億2,000万人民元だった。3月末時点の有料会員数は1億1,350万人と、競合Spotifyの約半数となる。
総売上高は3.4%減の67億7,000万人民元。ソーシャルエンターテインメントサービス部門・その他の不振(49.7%減、17億6,000万人民元)が響いたが、音楽配信および広告サービスにけん引されたオンライン音楽サービス部門の伸び(43%増、50億100万人民元)がこれを補った。
オンライン音楽プラットフォームの月間平均利用者数は2.4%減の5億7,800万人。一方で、有料会員1人当たりの月平均課金額(ARPPU)は10.6人民元と、15.2%拡大した。
TMEは音楽配信サービス「QQ Music( QQ音乐)」「Kugou(酷狗)」「Kuwo(酷我)」のほか、ソーシャルカラオケゲーム「WeSing(全民K歌)」を運営している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「中国テンセント・ミュージック・エンタテインメント・グループ(TME)の音楽配信売上はApple Musicより多く、Spotifyに次ぐ。中国の音楽配信の特徴は音楽サブスクに『歌ってみた』の短尺動画を投稿できることで、視聴者は歌い手にギフティング(投げ銭)できる。これが記事にあるソーシャルエンターテインメント売上だが、若者の間でカリスマ的人物が誕生するのを恐れる中国政府が昨年、ギフティングを規制。それがこの業績に繋がった」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。