ライブネーション、50億ドルの集団訴訟に直面 司法省の提訴受け
米マンハッタンの連邦裁判所で5月23日、ライブネーション・エンターテインメントとその子会社チケットマスターに、数百万人のチケット購入者に対する50億ドル(約7,850億円)の損害賠償を求める集団訴訟が起こされた。米司法省が反トラスト法違反の疑いで両社を提訴すると発表したことを受けたもので、今後さらなる訴訟に直面する可能性がある。
ライブネーションはチケット販売のほか、コンサート興行なども手がける業界最大手だ。司法省などは同社が独占的な立場を利用してチケット価格をつり上げ、アーティストやファン、会場などに損害を与えていると指摘。反トラスト法違反の疑いがあるとして、会社分割などを求めた。これに対し、同社は「根拠がない」と反発。「ライブイベント市場にはかつてないほどの競争がある」と主張している。
ライブネーションは2010年、チケットマスターと合併。かねて反トラスト法違反の疑いが指摘される中、2022年のテイラー・スウィフトのツアーチケット販売で起きた大規模なシステム障害や高額転売などが調査を求める世論をさらに高めたとみられている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「数百万人のチケット購入者に対する50億ドル(約7,850億円)の損害賠償とアメリカの裁判は相変わらずスケールが大きい。背景にはコンサート・チケットの高騰がある。2009年には北米で平均60ドル超だったチケット単価は2023年には平均120ドル超と文字通り倍増。世界的なライブ産業の成長はチケット単価の高騰に支えられていたが限界を迎えようとしている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。