世界の音楽産業、2031年に1,000億ドル到達も 中国とグローバルサウスがけん引

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英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiAは5月23日、2024〜2031年の世界の音楽産業の予測レポートを公表した。音楽ソフトの売上高は、2031年までに1,000億ドル(※小売値ベース。IFPIの売上高は卸値ベース)に達する見通しで、その伸びをけん引するストリーミングが全体の4分の3を占めるとみている。また、市場としては、サブスクリプションサービス利用者の増加を背景に、中国が同年までに日本を追い越し2位へ浮上すると予想する。

サブスクサービスの契約者は2023年に7億3,790万人へ拡大。インドやブラジル、南アフリカなどグローバルサウス市場の成長が貢献し、2027年には10億人を突破すると予想されている。

売上ベースで見ると、1ユーザー当たりの平均売上高(ARPU) の高さから欧米市場が依然としてトップシェアを維持するものの、特にユーザー数においてはグローバルサウスの成長が期待されるという。

なお、ストリーミングが売上高の大半を占めるようになることから、業界にとってARPUが今後さらに重要な指標になると説明。一方で ARPUを構成する要素は、価格だけでなく、ASM(平均的なサブスク契約者の1年間当たりの契約月数)なども非常に大切だと指摘した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「音楽ソフト売上高1000億ドルはトヨタの2023年度売上高の3分の1ぐらい。コンサート売上を入れるとこの倍になるだろう。世界の音楽売上は今後、中国とグローバルサウス諸国が牽引して成長が続く。12年前、連載で予想した通りの展開。ARPUは、先進国ならYouTube・Spotify・TikTokにおける無料の音楽利用の比率と、インフレを反映しない月額利用料が主な課題」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。