ソニー・ミュージックCEO、ストリーミング無料ユーザーへの課金呼びかけ

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Spotify SME CEO

ソニー・ミュージックグループ(SMG)会長で、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)CEOも務めるロブ・ストリンガー氏は、5月30・31日にオンライン開催された同社グループの事業セグメント会議で、音楽配信サービスにおける広告付き無料配信への課金開始を呼びかけた。

同氏は、昨夏に値上げしたSpotifyの有料会員数が伸びていることなどを踏まえた上で、「無料と有料の価格差が広がっている」と指摘。成熟した市場で広告付きサービスを利用する消費者に「追加でわずかな料金を支払うよう求める」ことで、「自社のパートナーがこのギャップを埋めることを望んでいる」と述べた。

無料サービスの有料化は、DSP(デジタル音楽配信事業者)にとってはリスクが高いようにも思える。だが、ストリンガー氏は「無料ユーザー層のマネタイズ改善は(DSPとの)共通の関心である」とした上で、「(SMGは)誰もが事実上すべての音楽にアクセスするために喜んで対価を支払うと考えている」と楽観的な見方を示した。

なお、デジタルメディアにおける広告付きサービスへの課金は増加傾向にあるが、一般的には広告付き無料配信に課金するのではなく、有料プランに広告を追加する手法が取られている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Spotifyの広告付き無料会員は歴史的使命を終えつつあるので、Netflixにあるような広告+わずかな月額の会員に改めるよう交渉してゆくとSME CEO。世界2位のレーベルの意向なので影響力は大きい。YouTubeやTikTokも音楽を無料で聴けるが、交渉のため消費者が納得の行きやすいSpotifyに話を絞ってきた印象。『無料で宣伝してCDを買ってもらう』放送時代の常識は過去になり、ネットの成熟で『音楽を聴いた時点で消費が始まる』ようになったのが背景にある。なおアメリカのSMEと日本のSMEは姉妹会社で、親子関係にはない」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。

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