コルグの動画配信システム「Live Extreme」立体音響「MPEG-Hオーディオ」のライブ配信に対応

ビジネス 音楽業界

コルグは6月18日、インターネット動画配信システム「Live Extreme」の次期バージョンであるv1.14(8月リリース予定)において、立体音響フォーマット「MPEG-Hオーディオ」の配信に対応することを発表した。

コルグが2020年9月に発表したLive Extremeは、オーディオ・クロックを配信システムの軸とした「オーディオ・ファースト思想」や、ロスレス/ハイレゾ・オーディオに対応した高い音質が好評を博し、これまでに150公演以上のコンサートやイベントの配信に採用されてきた。2023年にはAURO-3Dやドルビーアトモスによる立体音響配信機能も追加し、既に多くの配信で利用されている。このたびコルグは、世界をリードするドイツの音響研究所「Fraunhofer IIS」とライセンス契約を締結し、MPEG-Hオーディオのライブ配信機能を搭載することを決定した。

MPEG-Hオーディオは、パーソナライズ可能な没入体験を提供する次世代オーディオ技術だ。このオブジェクト・ベースのシステムは、主要プラットフォームで利用可能な、ソニーの「360 Reality Audio」音楽ストリーミングの基盤となっている。韓国の地上波UHD TVサービスで唯一の音声コーデックとして採用されているほか、ブラジルの「TV 3.0」放送サービスでは唯一の必須音声コーデックとなっている。さらに、日本の次世代地上デジタル放送仕様でも採用が決定している。Live Extremeの対応コーデックに新たにMPEG-Hオーディオが加わることで、高音質配信や立体音響配信の更なる普及が見込まれる。

6月22日〜23日に東京・東京国際フォーラムにて開催される「OTOTEN 2024」のコルグ・ブースでは、MPEG-H 3D Audioを搭載したライブ配信エンコーダー「Live Extreme Encoder v1.14」をデモ展示予定。さらに、MPEG-H 3D Audioをはじめ、各種立体音響フォーマットの再生に対応したSTB(セットトップ・ボックス)用アプリケーション「Live Extreme Experience」の参考出品も予定されている。

コルグ取締役 大石耕史氏コメント

Live Extremeの使命は、他のストリーミング・システムでは実現できない最高品質のオーディオを提供することです。22.2チャンネル・ベースのオーディオや、ピュア・オブジェクト・ベースのストリーミングといった機能は、MPEG-Hオーディオの機能なしには実現できませんでした。多くの配信が、この最高のクオリティで提供される日が待ち遠しいです。

フラウンホーファーIIS メディア技術シニア・エンジニア ヤニク・グレーヴェ氏コメント

MPEG-HオーディオをコルグのLive Extremeに統合することは、より多くの家庭に最高品質の次世代エンターテインメント体験をストリーミングするための重要なステップです。コルグとのパートナーシップは、完璧さを求める共通の情熱によって推進されたものであり、世界中の視聴者にとって忘れられない体験となることでしょう。

MPEG-Hオーディオの配信仕様

  • 配信プロトコル:HLS, MPEG-DASH
  • 配信形式:
    • ライブ配信
    • 疑似ライブ配信(収録済みコンテンツのライブ配信)
    • オンデマンド配信
  • 音声:
    • オーディオ入力:最大25チャンネル
    • コーデック:MPEG-H 3D Audio Baseline Profile
    • サンプルレート:48kHz
    • ビットレート:32, 40, 48, 56 64, 80, 96, 112, 128(kbps/ch)
    • チャンネル・ベース:2ch, 5.1ch, 7.1ch, 5.1.2ch, 5.1.4ch, 7.1.4ch, 22.2ch
    • オブジェクト・ベース:最大24エレメント
    • メタデータ入力:MPEG-H Control Track

関連タグ