欧米で音楽サブスクの成長が鈍化 アメリカは2023年有料会員増加率が5.7%
音楽業界ニュースサイトのHypebotで「欧米で成長が鈍化する中、音楽ストリーミングはどう変わるのか?」をテーマに、5つの重要な変化が紹介されている。それによれば、「値上げ」「無料ユーザーの有料化促進」「体験の非画一化」「新たな収入源の模索」「節約」を通じ、成長から収益化のフェーズに移行しているという。
まず、昨年には全ての配信事業者が12年にわたり据え置いていた月額料金を引き上げ、再値上げも予定されている。また、 Spotifyが歌詞の無料表示件数に制限をかけたほか、ソニー・ミュージックグループ(SMG)が無料ユーザーへの課金を呼びかけるなど、無料ユーザーの有料化に向けた動きも活発化。なお、Spotifyのユーザー価値は、2024年第1四半期(1〜3月)に有料と無料の間で13倍の開きがあったという。
さらに、これまでは画一的な体験を特定の層に割引価格で提供するプラン形態だったが、今後は「音楽のみ」「音楽+オーディオブック」などに分け、収益向上とファンのセグメント化が進むと予想。また、Spotifyは「マーキー(Marquee)」などでリスナーの注目度を商品化し、有料プランを「バンドル」扱いに再分類することでロイヤリティーの支払いを削減していると指摘した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「サブスクの普及が終わり、いよいよポストサブスクの時代へ。欧米の音楽ストリーミングは成長率鈍化、アメリカで有料会員の増加率は2019年に28.8%が2023年は5.7%で今年はもっと減る。月額値上・有料会員比率の他にオーディオブックなど音楽以外の商材開発、スーパーファン向けの都度課金などが次の課題になっている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。